ウォッチングSL(腐向け)

ウォッチング経由の騎士皇子、ギアス現パロ
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白馬 @NotHAKUBA

ウォッチング騎士皇子を気軽にいってみよう

2019-07-24 00:11:08
白馬 @NotHAKUBA

カーテンはいい。包まれていると安堵を覚える。これは常に人目に晒される身でありながら命を狙われる、皇族特有の習性というものだろう。護衛もなく庶民の学校に通っているとなると猶更。友達がいなくて身の置き所がないという戯けた理由ではもちろんない。友達はいる。まだ予定の段階だが、いる。

2019-07-24 00:21:31
白馬 @NotHAKUBA

だからカーテンはいい。直射日光さえ避ければいいだろうという浅墓な発想で選ばれただけの、遮光は想定外、厚地だけが取り柄の安物の布を頬に引き寄せ、校庭に視線を落とす。ターゲットを捕捉して、自然と笑いが込み上げてくる。今日のあいつは玉蹴りに勤しんでいる。つくづく玉が好きだな、お前。

2019-07-24 00:32:05
白馬 @NotHAKUBA

俺には秘密が多い。隠れ皇族というのが一つ、未確認の騎士が一人、遠距離友達が一人、父は一人だが母はややこしく、兄弟姉妹が数多、家は一つでも自室は複数、得手不得手はないがインドアを希ぼ…心得違いの玉がホームランよろしくネットを飛び越えていった。「ごめん!僕が取りに行く!」俺ルールめ。

2019-07-24 00:47:05
白馬 @NotHAKUBA

「スザク、すまない。父上の許可が下りない」情けない顔をした我が騎士の視線の先では、級友たちが上空を高速移動する玉を必死に追いかけている。「ああ、騎士にイレブンは相応しくないと…なぜか兄上に諫められた」落ちこむ我が騎士の肩をリヴァルが叩く。安心しろ、お前は悪友だ。「時間がいる」

2019-07-29 00:24:17
白馬 @NotHAKUBA

「わかっている。まずお前の意向を聞くところから始めるべきだということは」一瞬目が合った気がしたが気のせいだ。リヴァル、お前は振り向かなくていい。「だがこういうことは難しいんだ」死角から飛来した玉を条件反射で手刀で弾き、あっ…と零す。馬鹿、騎士として当たり前だろう。「自覚してくれ」

2019-07-29 00:34:30
白馬 @NotHAKUBA

「スザク」ふと桟に指を滑らせ、窓の機能を著しく低下させている堆積物に、これが庶民か…と呟く。昨日我が騎士が食べていたサンドイッチに噛りつき、やはりこれが…と憂う。「これがお前の世界…俺はお前に何をしてやれるだろう」まずは食の、いや栄養管理からか。それとも制服のほつれを指摘…?

2019-07-29 00:53:23
白馬 @NotHAKUBA

やはりカーテンはいい。「スザク…ナナリーがお前に会いたいと言っていて」予定を順調に消化中の友達は、今日は裏庭で缶投げに興じている。缶…猫缶?「ん?俺の妹だよ。言わなかったか?」変な顔をするな。指に齧りついた子猫が驚くだろ。「ナナリーとは母が同じなんだ」「慌てたらダメだよ」「違う」

2019-08-07 23:51:44
白馬 @NotHAKUBA

「将来的にお前とナナリーを結婚させる計画は今考えたところだ。初対面の挨拶はまだ12通りしか想定していないし」「がっつきすぎ」餌に群がる子猫たちに、あいつの、我が騎士の目が一層優しくなる。「…夢見ただけだ。別にいいだろ」「ダ~メ」「馬っ…俺は猫じゃない」「ふふっ。甘えちゃって。にゃ」

2019-08-08 00:19:32
白馬 @NotHAKUBA

「そんなことを言われたのは初めてだ」「鳴いてごらん?」「な…!」「…なぁ、ルルーシュ。直接話せば?」一緒に昼食を取っていたリヴァルがカーテン外から話しかけてきた。「独り言だ」「ぃや、独り言っつーか…」窓の下、猫と戯れる我が騎士を数秒見下ろし、リヴァルが小さく呻いた。「何ソレ」

2019-08-08 00:38:33
白馬 @NotHAKUBA

俺はカーテンを無条件に愛しはしない。丈が短すぎる。上半身を覆いはするが下半身は隠さず、俺という確証はなくとも誰かがいることは知れてしまう。死角を駆使するにも限界があった。だが空き教室では予定が滞る。教壇の机に潜むなどもっての外、だが。「手伝ってもらってごめんね」時と場合による。

2019-08-10 18:17:23
白馬 @NotHAKUBA

「この量を一人でって、先生ひどくない?」女か。「うん、押しつけられた。別のクラスなのにありがとう」「枢木君に用があったから」声で二人の位置を測り、教壇から顔を覗かせた。ふん、隣の浮かれ女か。男と見たら媚を売「ね、枢木君」「あ、ちょっ…!?」「しよ?」「…しないよ」悪くない答えだ。

2019-08-10 18:47:34
白馬 @NotHAKUBA

「ふーん、彼女いるんだ」「こういうのは駄目だ」しな垂れかかる女をやんわり引き剥がすその手は労りさえ見せて…我が騎士は手練れか?「男は危ないから」「枢木君も?」「もちろん。実は理性総動員中」我が騎士をちら見して、思わず苦笑した。「説得力ない~!」「説得力ないぞ」「え」女とハモった。

2019-08-10 23:45:58
白馬 @NotHAKUBA

我が騎士の気配が変わった。何か──あった?確かに教卓の守りは完璧ではないが、女は俺に気づきもしない。「枢木君…?」ほら、まだお前に媚びている。早く切り捨てろ。「半端に優しいんだよ、お前は」「僕は優しくないよ」もう一度女を引き剥がし、声が刃を抜いた。「娼婦は抱かない」「はァ!?」

2019-08-18 00:24:12
白馬 @NotHAKUBA

「ふざっけんな!」飽きるほど見てきた展開だが。「これ以上許すな」「…ぶたれてあげてもいいんだけど」甲斐性のない男っぷりにますます女が激昂する。「私のどこが!?」「臭いんだよ」「ごめんね、鼻がいいんだ。娼婦の、饐えた臭いがする」…最近、我が騎士が妙に言い訳がましいんだが、イジメか?

2019-08-18 00:56:05
白馬 @NotHAKUBA

はぁあ──…我が騎士のため息が深く重い。安心しろ、走り去った女には俺の方からやんわりと釘を刺しておく。「ダメだな、僕は」なぜ落ちこむ?「もう少しうまくやらないと」教卓にどさどさ物が置かれて、あまりの現実感のなさに俺は自分の口を押さえた。声なき声が我が騎士を呼ぶ。「スザク」「うん」

2019-08-18 01:13:00
白馬 @NotHAKUBA

俺はカーテンを過信していたのかもしれない。所詮は布、しかも粗悪品。そんなものに包まれて目立つなという方が無茶だということは承知していた、だが不可能とは言えない。試す価値はある。勇敢?違うな、まちがっているぞ、俺はた──校庭の我が騎士とまた目が合った、気がした。もちろん錯覚だ。

2019-09-01 00:30:22
白馬 @NotHAKUBA

読唇術の心得はない。あれは皇族のジャンルではない。だがニュアンスで精確に心情を読み取るスキルは履修した。三階の教室と校庭、この程度の距離などあってなきが如し。「梅干し?」「シャケだ。あれはいい思い出になったよ」「一生の?」我が騎士の苦笑に俺は余裕の笑みで応えた。「いや、青春の」

2019-09-01 00:44:51
白馬 @NotHAKUBA

「次は納豆巻きを試しなよ」飛んできた玉を振り向きざま棒で打ち返し、我が騎士が排他的国民性を推してくる。今日は玉打ちか…迷子になった玉の捜索指示を「僕が行く!」「待て、スザク。そういうゲームじゃないのか?」「スザク!バッターなら走れ!」「知ってるー!」リヴァル、窓を開けて怒鳴るな。

2019-09-01 01:04:37