生物多様性ホットエリアからノネコを地域外へ譲渡・移送して殺処分を極力回避しよう

奄美大島の多様な生物相を保護するため、「ノネコ管理計画」が進められている。計画は、主に完全室内飼いを前提にした譲渡と、引き取り手のない捕獲個体の殺処分を柱としており、殺処分への批判が管理計画反対派から多く寄せられている。ここでは、殺処分の代わりに生物多様度の低い島への捕獲猫の移住という手法を考えてみたい。
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1.生物多様性保護のためのノネコ排除
2.奄美大島の現況
3.ノネコ管理計画
4.殺処分は回避できないか?
5.人獣共通感染症のリスクを減らす
 (1)トキソプラズマ症
 (2)重症熱性血小板減少症候群 SFTS
 (3)猫ひっかき病
 (4)パスツレラ症
6.猫の主な感染症
7.正しいネコの飼い方って?
 (1)日本におけるネコの飼育状況 2018
 (2)日本におけるネコの処分状況 2017
 (3)ネコの飼育をめぐる諸問題
 (4)奄美大島のノネコ管理計画への私見
8.関東地方の自由行動ネコの鳥獣への影響
9.徳之島の事例

 希少な固有種を含む生物多様性に富んだ地域では、優れたハンターであるノネコを捕獲して排除すべきである。
 捕獲したノネコのうち、猫免疫不全ウイルスと猫白血病ウイルス感染が確認された個体は原則殺処分とする。
 それ以外の個体にはマイクロチップ装着、不妊・去勢手術、健康診断、主な人獣共通感染症の抗体・糞便検査、ワクチン接種等を行い、繁殖抑制と衛生的安全性を確保する。
 安全性の確認には、人獣共通感染症のリスクをゼロに近づけるため、個別飼育下で少なくとも2週間の観察期間が必要だろう。
 安全性を確保できた個体は、完全閉鎖空間での飼養を確実に、かつ生涯にわたって実施できると認定できる地域外の譲渡希望者もしくはグループへの譲渡を試みる。
 譲渡者募集期間は、最短でも安全性確認期間2週間をカバーし、捕獲したノネコの馴化施設等のキャパシティや捕獲状況によって決まるであろう。

 健康状態や安全性に問題が無いにもかかわらず募集期間内に譲渡が成立しなかった個体は、別の島に移住させる。
 移住させるべき島は、少なくとも陸域の生物多様性が貧弱で、固有種・貴重種が生息しない小島で、住民がネコの受け入れに協力的で給餌に努め、ネコを地域振興に活用する意志のある島に限る。

 猫愛護派からは、完全室内飼いでなければダメ、不妊・去勢手術は行うべきでないなどの異論が出るかも知れない。
 生物多様性保全派からも、完全室内飼いでなければダメという異論が出そうだ。島への移住に対しては、たとえ普通種ばかりの小島でも、ハンターであるネコを野外に放して在来種の捕食を許すのはダメという理由で。
 落としどころは、不妊・去勢手術と小島への移住の容認だと考える。

「猫の島」の1つ、相島(あいのしま)には1.25平方kmの面積に150個体ほどの地域猫・野良猫が生息するという。1平方kmあたり生息密度は120個体という計算になる。奄美大島には、約700平方kmの面積に600~1200個体のノネコが生息すると推定されており、これが正しいとすれば、1平方kmあたり生息密度は0.9~1.7個体となる。
 相島のような小島では、野生動物を捕食して暮らすノネコとしてのライフスタイルは維持できないのではなかろうか。「猫の島」の猫は地域猫あるいは野良猫として住民に給餌されて生きていくしか生き延びるすべは無く、野生動物の捕食は数的・量的に少ないのではなかろうか。

 もちろん、1個体の不妊去勢ネコが保護区に侵入してヒメアジサシの111巣のコロニーの繁殖放棄を招いたという例もある。「猫の島」の森林的環境に猫は出没するのか、何かの在来動物に悪影響を与えていないか、調査する必要がある。
 徳之島では外ネコへの給餌が在来種の捕食を減らしているとも受け取れる論文の内容を紹介した。


1.生物多様性保護のためのノネコ排除

今井長兵衛 @medanjin
生物多様性保全という目的からは、生物多様性を保全すべき地域の外へ譲渡された個体以外はすべて殺処分するのがベスト。「奄美大島ノネコ管理計画」では、島内外へ譲渡された個体以外は殺処分することになっている。 env.go.jp/nature/kisyo/a…
今井長兵衛 @medanjin
奄美大島のように希少な在来生物が生息する地域では、捕食動物となり得るノネコの排除はやむを得ないと考える。ただし、根強い反対意見にも耳を傾け、データに基づく施策を展開する必要がある。
今井長兵衛 @medanjin
予防原則だけに依拠するのではなく、希少在来哺乳類リスト、各種の生息数、年間死亡数、ノネコによる年間捕食数などの可能な限り正確な推定値を公開し、正々堂々の議論がなされるべきだ。 webronza.asahi.com/science/articl…
今井長兵衛 @medanjin
野外のイエネコは小型哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、昆虫類等を食べ、食べる目的以外でも動物を襲う習性がある。繁殖力が高く、生後4~12 ヶ月で繁殖可能、一度の出産数4~8頭、年に2~4回出産する(環境省,2011:もっと飼いたい?犬や猫の複数頭・多頭飼育を始める前に)


2.奄美大島の現況

今井長兵衛 @medanjin
環境省那覇自然環境事務所(2015)平成26 年度奄美大島生態系維持・回復事業ノネコ生息状況等把握調査業務報告書では、2011 ~2014 年に撮影されたネコの画像解析から、奄美大島の森林内にノネコが広く分布し、その頭数は約600~1,200 頭と推定されている。PDF env.go.jp/nature/kisyo/a…
今井長兵衛 @medanjin
下記論文によると、奄美大島のノネコによる年間捕食数は、アマミノクロウサギ10601、ケナガネズミ21497、アマミトゲネズミ25292と推定されている。これらの被食種の生息数はどれくらいだろうか。PDF repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstre…
今井長兵衛 @medanjin
奄美大島森林内で採取したノネコの糞102 個のうちの97 個(95.1%)から哺乳類の毛や骨を検出。在来希少哺乳類の割合はケナガネズミ43.1%、アマミトゲネズミ38.2%、アマミノクロウサギ15.7%。 奄美大島における生態系保全のためのノネコ管理計画(2018 年度~2027 年度) kyushu.env.go.jp/naha/0328amami…
今井長兵衛 @medanjin
環境省によると、アマミノクロウサギの推定生息数は奄美大島で2,000~4,800頭、徳之島で約200頭(2003年時点)。 env.go.jp/nature/kisho/h… 前ツイ論文と照合すると、毎年生息数の約2倍のクロウサギを捕食していることになり、ノネコ捕食数の過大推定かクロウサギ生息数の過少推定が生じている。
今井長兵衛 @medanjin
環境省の2019年開示資料では、奄美大島内で発見した糞の量による従来法にカメラ撮影データを加えた算出で、2015年度時点のアマミノクロウサギの推定生息数は1万6580~3万9780個体。この推定値でも、ノネコは2~4年間でウサギを食い尽くしてしまうことになる。 asahi.com/articles/ASM2M…
今井長兵衛 @medanjin
2019年7月27日の時点でも環境省HPに2003年のデータを載せているのは、クロウサギが少ないことを強調したいのだろうか。こういう対応がノネコ管理反対派の不信感を強め、問題をこじらせる原因ではないか。 kyushu.env.go.jp/okinawa/awcc/r…
今井長兵衛 @medanjin
環境省Q & A (PDF文書) では、2015年のクロウサギ生息数の推定値が十分に信頼できないため、2003年の推定値をいまだに使用と回答。2015年データが信頼できないなら、同じ方法で推定した2003年のデータも同様に信頼できないので、「生息数は不明」とするのが妥当なはず。 env.go.jp/nature/kisyo/n…
今井長兵衛 @medanjin
環境省の意図的?なデータ取捨選択にもかかわらず、また、ノネコ推定生息数が信頼できないものであっても、糞調査からノネコがかなりの高率で在来固有種を捕食しているのは事実のようだ。それゆえ、冒頭でも述べたように、奄美大島ではノネコを排除すべきだという考えは妥当と思う。

動物の個体数の推定は難しいものだ。ノネコが希少動物をどれだけ捕食しているかを推定することも。
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しかし、ノネコの糞に希少種がかなり高い割合で含まれていたこと、捕食現場の写真が存在することから、ノネコが希少動物を捕食していることは事実と考える。
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したがって、生物多様性の高い地域からのノネコの排除は必要と考える。


3.ノネコ管理計画

今井長兵衛 @medanjin
「ノネコ管理計画」によると、奄美大島では2017年12月末の時点で、4444個体の飼い猫が登録され、マイクロチップ装着率は30%(1337個体)。不妊・去勢手術を施されたのは、飼い猫1813個体、野良猫2033個体だった。
今井長兵衛 @medanjin
2017年度までの野良猫の不妊・去勢手術(TNR)の累計実績は2382個体で、2018年度は1030個体の施術を計画。島内の野良猫は推定5千~1万匹。条例で野良猫への餌やり禁止、放し飼い猫の不妊手術義務付けなどを定めているが、住民の理解はなかなか深まらないという。 headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180622-…
今井長兵衛 @medanjin
奄美大島のノネコ管理計画では、捕獲したネコのうち、所有者が判明しない個体は県が引き取り、飼養希望者への譲渡に努め、譲渡できなかった個体は安楽死させることになっている。計画反対派の反発は「安楽死」に集中しているようだ。
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コメント

nekotama @nukotama001 2019年8月5日
猫様は最凶の外来生物だからなあ。外の猫好きに引き取ってもらっても、処分される個体の方が多くなるんだろうな。