茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2301回「ハサンミンハジの『愛国者として物申す』は、コメディの進化の可能性を示す傑作」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２３０１回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

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ネットフリックスから配信されているハサンミンハジの「愛国者として物申す」(Patriot act）が面白い。社会問題について鋭く切り込むのだけれども、このコメディショーの画期的なところは、コメディと「調査報道」を融合させている点にある。

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これまでも、アメリカで言えばデイリーショー、レイトショー、イギリスで言えばHave I got news for youなどのコメディショーはその時々の政治的、社会的問題をコメディアンやゲストたちが解きほぐしてきた。「愛国者として物申す」にもその側面はあるが、さらに踏み込んで調査の結果の新事実を明かす

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たとえば、『愛国者として物申す』の先週配信のエピソードは、ゲーム業界が労働者を過酷な条件で「使い捨て」している問題を扱っているし、昨日配信された最新エピソードは、合成オピオイド、フェンタニルがアメリカ社会にもたらしている問題、そして製薬会社が暴利を貪っていることを告発している。

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『愛国者として物申す』は、サウジアラビアの政治、中国の検閲題、銃規制、学生ローンど、世界を揺るがすテーマについて、その詳細や深層を明らかにする調査報道を行ってきた。さらにはスーダンのデモ、クリケット界の闇、インドの総選挙など、表のメディアではなかなか扱われないことも掘り起こした。

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『愛国者として物申す』のすばらしい点は、これらの「調査報道」を、お硬い社会派ドキュメンタリーとして扱うのではなく、ホストであるハサンミンハジがスタンダップコメディアンとしての技術をもって「笑い」として提供していることで、視聴者は笑いながら新しいことを学ぶことができる。

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アメリカやイギリスには社会的問題や政治的な課題を扱った批判的コメディのすぐれた伝統がある。これまでは、その時々で起こる問題について、コメディアンが「突っ込み」を入れて結果としてより柔軟で高度なメタ認知が立ち上がるというのがその効用であった。

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このような批判的コメディの伝統を受けて、ハサン・ミンハジの『愛国者として物申す』は、さらに、調査報道によって新しい事実を掘り起こして、ともすれば緊張や先入観が邪魔をして伝わらないことを笑いによってリラックスさせて視聴者に伝えるという新しいフォーマットに成功している。

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ハサンミンハジは、イスラム系インド人の家系で、アメリカに移住した両親のもとに生まれた。「デイリーショー」で何年かcorrespondentをやって、その後独立して、『愛国者として物申す』を制作している。Rotten Tomatoで１００％の評価を受けるなど、批評的にも大成功するコメディシリーズとなった。

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ハサンミンハジの『愛国者として物申す』を見ていると、コメディにはまだまだ進化の余地があるのだなという思いを新たにする。今第４シリーズが毎週日曜に公開中で、毎回、新しいエピソードを見るのがほんとうに楽しみだ。

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以上、連続ツイート２３０１回、「ハサンミンハジの『愛国者として物申す』は、コメディの進化の可能性を示す傑作」をテーマに９つのツイートをお届けしました。