副腎皮質ステロイドとニューモチスチス肺炎

副腎皮質ステロイド使用患者におけるニューモチスチス肺炎のリスクと予防方法について考察。
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ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

今夜も少しだけ呟いていきます。

2019-08-14 00:39:55
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この間は、副腎皮質ステロイドの副作用についてお話しさせていただきました。

2019-08-14 00:40:30
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今日はステロイド使用患者で注意が必要な「ニューモチスチス肺炎」について話していきたいと思います。

2019-08-14 00:42:36
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ステロイド薬の効果の裏返しでもあるのですが、免疫抑制状態の患者は、ありとあらゆる感染症のリスクが上昇してしまいます。

2019-08-14 00:44:26
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そのような患者において、致命的な有害事象の一つがニューモチスチス肺炎です。

2019-08-14 00:45:04
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ニューモチスチス肺炎とは、真菌の仲間であるPneumocystis jiroveciiが免疫不全状態のヒトに感染することによって発症する肺炎です。薬剤による免疫抑制状態の患者での発症率は2%程度と言われています。 Clin Infect Dis. 2002;34: 1098–107.

2019-08-14 00:49:23
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しかしながら発症した場合の死亡率は30%-40%とも言われており、絶対に発症させてはいけない合併症と言えます。

2019-08-14 00:50:49
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一般的に予防薬として第一選択で使用されるのが、スルファメトキサゾール/トリメトプリム錠®︎になります。

2019-08-14 00:51:52
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しかしながら、ST合剤は細胞のDNA合成の際に必要となる、葉酸の合成阻害と、活性化阻害薬の合剤であるため、副作用として血球減少の原因となる場合があります。 その発生頻度は、予防投薬での使用で約30%との報告もあります。

2019-08-14 00:54:31
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その場合第二選択として使用できるのが、 アトバコン内用液、ペンタミジンイセチオンのネブライザーによる吸入になります。 しかしながら、アトバコン、ペンタミジンを使用した場合薬価が継続的にST合剤の100倍以上かかってしまうため、ST合剤で予防できるのに越したことはありません。

2019-08-14 00:57:34
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予防薬を使用した場合、91%のニューモチスチス肺炎は予防できるとの報告があります。 Green H, et al. Prophylaxis of Pneumonia in immu- nocompromised non HIV-infected patients: System- atic review and meta-analysis of randomized con- trolled trials. Mayo Clin Proc 2007; 82: 1052-9.

2019-08-14 00:59:30
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我々臨床家がしばしば悩むのが、どれくらいステロイドを使った場合に予防投薬が必要なのか、あるいは、どのくらいST合剤を使えば良いのか、と言うところです。

2019-08-14 01:01:10
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まず前者ですが、プレドニゾロンとして16mg以上の用量で8週間以上継続内服している場合にリスクが高く、予防投薬が推奨できるとする報告が2004年にされています。 N Eng J Med 2004;350: 2487-98

2019-08-14 01:03:21
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

また、エビデンスレベル的には落ちますが20mg以上継続内服している場合や、10mg以上を継続内服している場合必要、との報告もあり、一定の見解は得られていない現状です。

2019-08-14 01:09:49
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

予防方法についてですが、ST合剤は1日1錠連日投与、あるいは2錠を週3回経口投与が推奨されていますが、添付文書通りの投与方法では約30%で何らかの副作用が出現し、継続が難しくなるので、さらなる投与方法の工夫がなされています。

2019-08-14 01:14:00
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

Utsunomiyaらの非盲検ランダム試験での報告では ST合剤0.5錠連日投与法が優れた予防投薬法だと結論付けています。しかしながら、研究対象患者がそれぞれの郡で50名程度であったことから、運よく患者が出なかっただけである可能性も否定できません。 Arthritis Research & Therapy (2017) 19:7

2019-08-14 01:19:29
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

まだ決着のついていない問題であると言えそうです。

2019-08-14 01:19:52
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

ちなみに、近年発売されたアトバコンは忍容性が高く、副作用もST合剤と比べて起こりづらいため、ST合剤の使用がどうしても難しい場合は選択肢になるかと思います。

2019-08-14 01:21:06
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

今日のまとめです。 ①PSL内服患者ではニューモチスチス肺炎の予防が重要。 ②PSL何mgから高リスクかは意見が分かれるが、15mg以上で予防が必要という強いエビデンスがある。 ③ST合剤の予防投与方法は最適化されていないが、場合によっては減量レジメンの使用も考慮できるかもしれない。

2019-08-14 01:24:01
ファーマ💊@薬学系Vtuber @vt_pharma

いつも以上にマニアックな内容となりました。 ・・・なんだかすみません。

2019-08-14 01:24:32