日活「夕陽の丘」の石原裕次郎、と、東宝「夜叉」の高倉健

三一十 四四二三 @31104423

「夕陽の丘」 兄貴分の彼女(浅丘ルリ子)に手をつけてしまった裕次郎が函館に逃げる。後からルリ子も逃げてくるはずだったが、いつまで待ってもこない。 (彼女は何故来ないのだろうか…もしや、僕たちの愛は偽りのものだったのか？いや、そんなはずはない…しかし、連絡一つよこさないのは何故か？いや pic.twitter.com/4BO9OGRikk

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まさか彼女は兄貴に殺されたのではないかブツブツブツ) 延々と裕次郎の心の声を聞かされるが、この臆面もない独り言の羅列が日活アクション、特にこの時期のムードアクションの特徴だ。 「何を未練がましい言い訳を並べてるんだ！この女々しい奴！」と怒る人は、こんな映画は受け入れられないだろう。 pic.twitter.com/TO8KgX1E5q

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男は黙って…と、ひたすら無口に、自分の内面を晒さずに行動する健さんの任侠映画は、こうした多弁なムードアクションの反動みたいなものだ。 裕次郎の饒舌に辟易した人が黙ってる健さんに走った、というのが、この時期あたりを境に形成逆転する日活と東映の関係になるのだろう。 (「夕陽の丘」は pic.twitter.com/iJ38WMmxbp

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「モスラ対ゴジラ」と同時期公開。激しく競い合い「夕陽の丘」に軍配が上がった。まだ裕次郎強しの時代であった) pic.twitter.com/FDab25haj8

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Nobu Hayashi @NobutakaHayash9

ユウチウブで｢夕陽の丘｣をセレクトすると、歌とともにこの映画の映像が流れます。ルリ子さん、本当に綺麗だなぁと今さらながら想います。💕✨🐷 twitter.com/31104423/statu…

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@NobutakaHayash9 浅丘ルリ子は色っぽい情婦と清純な娘の二役で、どっちもいいんですよ。

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(続き)「夕陽の丘」 前半は、裕次郎がルリ子をただ待っているだけ なのだが、役者の力でもたせてしまう。しかし中盤、ちょっとダレてくるので、裕次郎が地元のヤクザと賭博で勝負する「本筋と全然関係ない話」が入ってくる。いつまでたってもルリ子が来ないので、むしゃくしゃした裕次郎が暴れる、 pic.twitter.com/oOU4vNoHCE

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という、それだけのシークエンスなのに、地元のヤクザ組織が壊滅寸前に追い込まれるのだから、さすがは裕次郎だ。「俺はただ、怒る相手を探していただけなんだ…」と、言い訳するが、そのために組織の残党に弟分の野呂啓介が殺される。 …で、どうなるのかなぁ、と思って見ていると、なんと どうにも pic.twitter.com/gXEgNRy3Q9

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ならない。そのあと、ルリ子が函館にやってきて、本筋に戻るからだ。 死んだ野呂啓介は、そのまんまで無視。もう一人の弟分 和田浩治が 「なんだよ兄貴！引っ掻き回すだけで、後始末は無しかよ！」 と怒るのも当然だ。しかし、この和田も、本筋とは関係ない男であるから、後半は大変粗末な扱いとなる。 pic.twitter.com/VYh5A50KEV

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(続き)「夕陽の丘」 全く本筋と無関係な地元ヤクザとの抗争。 普通は、あまり関係なさそうなエピソードでも、少しは本筋に関わるように作るものだが、本作の場合はグリコのおまけみたいな感じになっており、本筋のどの部分とも共鳴しない。 つまりこれは尺合わせの水増し部分なのだが、グリコのおまけ

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がキャラメル以上に重要なように、この賭場の争いは、それなりに力を入れて演出されており、決して「無駄」にはなってない。 ただ、こうした映画の作法的に正しくない「作り」を非難するなら、本作は、これ一発で全否定のアウトということになるだろう。 厳しく見ない、という見方をマスター

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しなければ、楽しめない映画もある。 おまけの地元ヤクザとの抗争を経て、映画は再び、裕次郎とルリ子のメロドラマに戻る。 ここから先は、異様な展開となる。前半、あれだけ心情を口にしていた裕次郎が、饒舌をもってしても語り尽くせない複雑な心境に陥り、映画は悲劇的な結末となる。 pic.twitter.com/yxb24121Nd

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(続き)「夕陽の丘」 兄貴分から逃れて、やっと裕次郎のもとにやってきたルリ子。ルリ子は兄貴分の居所を殺し屋に伝え、兄貴分を抹殺しようとする。今後、裕次郎と安心して生活するには、これは間違った選択ではない。 しかし裕次郎は、このルリ子の行為が許せない。 「兄貴を売るより、逃げ回ってる方

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がましだ！」 と言い、ルリ子を突き飛ばしで、兄貴分を助けに行くのだ。これ、理解できるだろうか？ 卑怯なことはしたくない、という単純なプライドというなら、服役中の兄貴分の情婦を寝取った行為だって、相当に卑劣だ。それを棚上げして、兄貴を助けなきゃ！というのは、わからない。 しかし、この

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わかりにくさには味がある。あれだけ心情を口に出して言い続けた裕次郎が、結局、整然と語れない不思議な心境に突き動かされてしまう、人生の謎、みたいなものを感じるからだ。ルリ子には裕次郎の気持ちがわからない。兄貴分も、何故、裕次郎が助けに来たのかわからない。観客にもわからない。

三一十 四四二三 @31104423

兄貴分は自分を売ったルリ子を殺し、自分も殺し屋の銃弾に倒れる。二人の間に立つ裕次郎は呆然としている。 そして言う 「わからない。本当にルリ子を愛していたのか？もわからなくなった」 何じゃそりゃ？アホか？でも、このわからなさ具合のリアリズムが私には心地よい。そういうこともあるよね…

三一十 四四二三 @31104423

(続き)「夕陽の丘」には夕陽は出てくるが、丘なんか出てこない。同じムードアクションの名作「赤いハンカチ」にも赤いハンカチなんか一瞬も出てこない。ただヒット曲のタイトルを付ければ、客が集まるだろう、という安直な考え。タイトルが内容を全く反映していない。今なら文句言う人がいるだろうな。

鳥を見た @jmyqy196

@31104423 「兄貴分も、何故、裕次郎が助けに来たのかわからない」には、ファンの人には悪いが笑ってしまった。このワケのわからなさが「文学的」というものかもしれない。できるだけ「文学的」な難しいものを避けてきた私はそう考えている。

三一十 四四二三 @31104423

@jmyqy196 ある時期の日活アクションは、(基本的に)主人公が自己満足を得るために行動するドラマなので、必ず「あんたが理解できない」と言う人が出てくるんですよ。その葛藤は文学的といえば文学的ですね。

三一十 四四二三 @31104423

「夜叉」のビートたけし は、福井の漁師町にふらりとやってきた「さすらいのギャンブラー」を装い、漁師達に覚醒剤を広めるヤクザである。この手法は実際にあるらしい。 たけし 自身もシャブ中で、ついに狂乱し、包丁を振り回すのだが凄まじい迫力。「野獣刑事」の泉谷しげる と並ぶ二大ヤク中演技だ。 pic.twitter.com/O9mRH6oxn8

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三一十 四四二三 @31104423

(続き)「夜叉」 漁師町に入り込み覚醒剤を蔓延させたヤクザ ビートたけし が、組織への上納金をちょろまかしたことで監禁される。たけしの愛人である居酒屋の女将 田中裕子は、元ヤクザの漁師 高倉健に たけしの救出を依頼する。高倉健は、この依頼を受け、組織に乗り込んでいく。高倉は田中裕子に pic.twitter.com/SW78rMcce5

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三一十 四四二三 @31104423

惚れているからだ。 しかし、この経緯はかなりわかりにくい。 高倉健には女房も子供もあり、その関係は決して悪くない。田中裕子に惚れたと言っても、単なる浮気程度にしか描写されてない。 高倉は例によって、黙っており、女房を含めた周囲の人物には、その本意が判然としないし、見ている我々も

三一十 四四二三 @31104423

何で高倉健がそこまでしようとするのか？がよくわからない。しかも救出に向かう相手は、惚れた女の愛人であり、漁師仲間をシャブ漬けにした極悪人なのだ。 これが日活アクションの裕次郎なら、くどいほどの台詞量で、何故、こんな理不尽なことをするのか？を語るだろう。そして観客は、一応の納得は pic.twitter.com/NbIqkb5hL4

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