(新連載まとめ22)朝の三分小説~おかん~(関所やぶり編)
おかん336 おかん達は木曽駒ヶ岳の道なき道を歩み、途中遭難したものの無事に市街地の様な所に抜け出した。 「ここってどこの街なんだろうな」 大きな街道の様だが通行人は少ない。 「そこのお前達、怪しい旅人か」 ドーナツを食べながら二人組の武士がやって来た。 「通行手形を見せてみろ」
2017-02-22 06:58:22おかん337 「通行手形?」 「街に入る時に関所で発行しただろ」 「いるのかそれ」 「木曽の街は岐阜県各務原市と紛争中だ。怪しい奴を入れる訳にってもしかし て持ってないのか」 「じゃああんた達がまず見せてよ」 武士達が手形を出すと 「なるほど、それじゃあそれをいただいていくぜ」
2017-02-23 06:59:28おかん338 名もなき武士など山で鍛えられたおかんの敵ではなかった。 「この手形は貰っていくし変わりに特製タオルあげるよ」 二人組の武士を木に縛り付けると駅前の定食屋でカレーと五平餅を食べた。 「じゃがいもの入ってるカレーは美味しいなあ、ん?」 店の壁に自分の手配書を見つけた。
2017-02-24 06:59:12おかん339 手配書は下手な似顔絵だが自分の事だと解った。 「手配書かい。愚かだねぇ」 と店のおばちゃんが。 「木曽一族の人間から通行手形を奪った奴らしいよ」 「へぇー」 「知らんかい?長野四天王で戦闘力最強の木曽なかよし様を」 「いやーカレー辛いですね」 変な汗が出ている。
2017-02-27 06:56:50おかん340 正体がばれる前に定食屋を後にした。手配書の似顔絵が似てないから助かったが木曽福島の宿場町からは早く脱け出すべきだろう。ドーナツを食べている見回りの武士の数も異様に多い。というよりは既に囲まれている。 「覚悟しろ侵入者」 「なぜばれたんだ」 「定食屋から通報があった」
2017-02-28 06:57:04おかん341 おかんを囲む十人ほどの武士は刀を抜いた。 「よしムーンライトさだみつ、いつもの奴で戦うぞ」 「うん」 「必殺ソーラー拳」 これはムーンライトさだみつが高速で寿司を握りながらおかんが太陽光エネルギーを体に集めてビームを放つ技だ。これは空が晴れてないと出来ない技だ。
2017-03-01 06:56:29おかん342 ビームで武士達が少し引いた隙におかんは逃げ出した。 「馬鹿め、この街はどこに行っても武士達がお前を遠くから見守っているぞ」 木曽一族の武士にいつの間にか追い込まれ、後方は武士、前方は関所という状況に陥ってしまった。 「あの関所さえ越えれば木曽福島からは出れるぞ」
2017-03-02 06:56:15おかん343 「大丈夫だ、私達は通行手形を持ってる。ここはひとつ穏便に通して貰おう」 「馬鹿め、関所を通るのは手続きとかで時間がかかるんだ」 「しっかり掴まりなよ、ムーンライトさだみつ」 「えっ」 おかんはレッカー車形態に変形してそのまま関所に突っ込んだ。
2017-03-03 06:55:26おかん総集編三十七 特に悪気があった訳ではないが木曽福島を支配する木曽なかよし率いる木曽一族に喧嘩を売ってしまったおかんだった。 ここはひとつ穏便に関所を突破したい所だが流石に今回ばかりは相手が悪いぞ。 そして特に悪気はない。
2017-03-05 22:32:33おかん344 レッカー車形態で関所の門をぶち破ったおかんだったが、強い力に阻まれてしまった。おかんを手で押し返しているのは武士だ。 「はじめましておかんさん、私は関所の門番木曽たかひろと申します」 和服なのにネクタイをしているこの男のセンスにおかんは思わず人間に戻ってしまった。
2017-03-06 06:57:18おかん345 今までレッカー車形態のおかんを止められたのはニ十七人しかいない。つまりこの男は強い。 「関所破りは重罪ですよ、逮捕したいですね」 「あっ自分DVDレンタルしに来ただけですから」 「なんだそっちでしたか」 この関所はレンタルビデオショップと一体になっている。
2017-03-07 06:57:38おかん346 「じゃあ会員証を作りますので身分証と通行手形をおねがいします」 「はい大型免許」 「んっなんか通行手形に記載されてる情報と免許証と違わないですかね。もしかして関所破り?」 「先手必勝ッ」 おかんの不意を突いた頭突きで木曽たかひろは吹き飛んだ。 「あぁ、なかよし様だ」
2017-03-08 06:56:41おかん347 その日関所には偶然にも木曽なかよしはトーマスのDVDを借りに来ていた。そして、おかんと出会った。 「待ってたぜおかん」 「誰ですか」 「木曽なかよしです」 「うん」 「俺は長野四天王のドラボーロを倒したお前とずっと戦ってみたかったんだ」 彼の認識は少し間違っていた。
2017-03-09 06:56:29おかん348 「俺はドラボーロが負けたという話を聞いたが、その裏で暗躍した存在の噂も聞いてるぜ」 「何言ってんのこの人」 「つまり俺は強い奴と戦いたい。お前は合格だ」 「何言ってんのこの人」 「俺は強い奴と戦うのが生き甲斐でね。こうやってバトルの記録をノートに付けてるほどだぜ」
2017-03-10 06:57:53おかん総集編三十八 実力者揃いの信濃大町の人々よりも強い幻の大型サイ「アルキメデス」と強力してやっと倒せたり倒せなかったりしたドラボーロ氏よりもはるかに強い木曽なかよしと戦う事になりそうなおかんはどうなってしまうのだろうか。
2017-03-12 22:47:35おかん349 「別にバトルしなくてもいいけどさ、その時は通行手形不所持で逮捕なんだぜ」 と言って木曽なかよしは刀を抜いた。 「結局こうなるのかよ」 とりあえずホワイトおかんになった。 「いいねぇ強そうだぜ」 木曽なかよしはスマホで写真とかを撮り初め、撮り終わったら殴ってきた。
2017-03-13 06:59:26おかん350 おかんは木曽なかよしに一方的に殴られている。 「どうした、さっさと本気になりやがれ。俺もまだ次の形態とかあるから早くしてくれよ」 「今は本気に慣れない、ご飯食べてないから」 ご飯はさっき食べたけど時間を稼ぐにはこれしかなかった。 「仕方ない、ピザでもとってやるか」
2017-03-14 06:55:10おかん351 イタリアン料亭「ピザモンスターズ」なら長野県内はどこでも注文から三十分以内で宅配します。食べれるマウスパットピザも新発売です。 ピザが来たらおかんは戦わなければいけない。そう考えたムーンライトさだみつは関所を抜け出して塩尻方面へ北上した。ピザの宅配を妨害する気だ。
2017-03-15 06:57:28おかん352 ムーンライトさだみつは路上にバリケードを作ろうとしたのだが、音速で走る配達員ほけつ丸の想像以上のスピードに思わず通過を許してしまった。 「うわ行っちゃったよ。まあいいか」 ムーンライトさだみつはコンビニでアイスを食べながらおかんが来るのを待った。
2017-03-16 06:55:19おかん353 その頃おかんはピザが来るまでの間に木曽なかよしの弱点をネットで検索していた。 木曽なかよしは 「関所にピザ釜を作ってさ、ピザモンスターズ木曽福島店をやってもらいたいよな」 とか素敵な思いつきを語っていた。 「どうもピザモンスターズです」 戦闘開始(ピザが来た)
2017-03-17 06:56:53おかん354 ピザの代金を払うのと完食するのはほぼ同時だった。 「この木曽なかよしよりも一切れ多くピザを食べただと」 木曽なかよしを精神的に追い詰めるための作戦だったが少し効きすぎたようだ。 「こうなったら関所を身体に取り込み、完全態になるしかない」 「いや、やりすぎでしょこれ」
2017-03-21 06:56:50おかん355 「大変だなかよし様が関所と融合するぞー」 木曽なかよしの家来達は逃げて行った。 関所は光となって木曽なかよしを包み込み、光の玉となったかと思うと、卵を割る様に中から悪魔そのものの姿で出てきた。 「我が名はSGP(セキショ・ゴッド・ファントム)だ」
2017-03-22 06:58:43おかん356 「どう考えてもそれ名前的に関所に取り込まれてるよね」 「別にそんなことはない。我は究極のパワーを手に入れたのだ。この姿の我に勝ったのはスーパーしが意外にいない。もはやお前には多分負けない」 「それはどうかな」 「なにっ」 「私もまだ変身を残している」 嘘である。
2017-03-23 06:58:09おかん357 「変身しろ。早くお前も変身して戦え」 「今は出来ないが変身したらお前なんてリサイクルセンターに引き渡すくらいは余裕だよ」 「なぜ変身しないのだ」 怒り狂ったSGPは刀からビームを出して周囲の山を焼き払った。 こんな奴とまともに戦えばバーベキューになってしまうだろう。
2017-03-24 06:59:01おかん358 「実はゴルフで全コースホールインワン出来る相手じゃないと本気になれないんだよ」 「なにぃ任せろ」 SGPはビームで山を切り開きゴルフ場作りを始めた。だがそれが自然界の怒りに触れた。すさまじい地鳴りと共に山肌が開いて巨大ロボが出現。 「山の神が怒っているのか」
2017-03-27 06:59:41