茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第2315回「ソクラテスとプラトン」

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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート2315回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

2019-08-27 06:04:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

周知のように、ソクラテスは自分では書物を書かなくて、その言動を、プラトンが後に記して作品となって後世に伝わったわけだけれども、では、ソクラテスは一体どのような気持ちだったのか、ということを考えてみると興味深い。

2019-08-27 06:05:01
茂木健一郎 @kenichiromogi

「今、ここ」で起こっていることは、そのものは絶対に記録できないわけで、言葉で記述することは、「今、ここ」の事象とはずれてしまっているわけで、その意味では、ソクラテスが自らは書物を残そうとしなかったことは、潔いとも言える。なんらかの生の哲学があったのだろう。

2019-08-27 06:06:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

一方、どんなにすばらしい哲学があって、その人が生きている間はみんなが知っていることでも、その人が死んでしまったらそれでおしまいなわけで、周囲の人の記憶にしばらくは残っていたとしても、やがて少しずつ消えていってしまうはずで、それはもったいないような気もする。

2019-08-27 06:06:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

ソクラテスが生きている間に、自分の言動を将来プラトンが伝えるということを知っていて、そのつもりでプラトンの前でふるまっていたのだとしたら、そこには演劇性が生じるけれども、それよりも、ソクラテスは、本気で自分が言ったことはそれでおしまいで消えてしまうと思っていたと考える方が楽しい。

2019-08-27 06:07:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも時間というのは不思議で、流れて消えてしまったら何も残らない。生きている時間がすべてで、後世のことなどわからないという見方もある。アステカ文明にはたくさんの天才がいただろうけれども、その生きた時間は消えて我々は知らない。「永遠の名声」など、子どもらしい幻想だとも言える。

2019-08-27 06:09:00
茂木健一郎 @kenichiromogi

アインシュタインの名声、ひととなりだって、地球に小惑星がぶつかって人類が滅亡したら誰もしらない。だから、ソクラテスの態度は、ある意味徹しているとも言える。それを記して後世に残したのは、プラトンの師に対する愛であろう。

2019-08-27 06:09:48
茂木健一郎 @kenichiromogi

今の自分の言動が残ろうが残るまいが知ったことではないということは、子どものかわいらしいふるまいには純粋に残っている。人のふるまいの中に、そのような無私性が現れることがある。誰の中にも少しずつソクラテスはいるだろう。そしてプラトンもいる。生きることはふわふわだが、言葉はたのもしい。

2019-08-27 06:11:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、以上、連続ツイート2315回「ソクラテスとプラトン」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2019-08-27 06:12:10