じゃぶらふきゅーさんによる『ユリイカ 初音ミク特集』感想

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jabrafcu @ja_bra_af_cu

ユリイカの初音ミク特集を読了し、ノートも取った(http://www.twitlonger.com/show/ahsq7r)ので、全体の感想などをつぶやいてみる。

2011-05-23 21:52:49
jabrafcu @ja_bra_af_cu

この特集は、2008年段階での発行にもかかわらず、現在に至るVocaloidムーブメントの中心的な論点をしっかりカバーしていると感じた。編集者に賛辞を送りたい。

2011-05-23 21:55:20
jabrafcu @ja_bra_af_cu

中心的な論点とは、DTM、音声合成、同人音楽、調声、萌え≒欠落・未成熟さ、「声のコスプレ」、ニコ動などのアーキテクチャ、アイドルと理想の女性、そして声とキャラクターの関係などである。これだけみても現在でもアクチャリティーがあるのはわかると思う。

2011-05-23 22:00:12
jabrafcu @ja_bra_af_cu

しかし、これらがまだ有効な視点たり得ているというのは、ある意味ではVocaloidカルチャーの語り口がこのあたりからあまり変化(進歩)していないという状況の反映でもあるかもしれない。

2011-05-23 22:03:16
jabrafcu @ja_bra_af_cu

本書を読んでいて不十分であると感じた点の一つは、「心をもった機械との恋愛やその不可能性」といった「SF的悲恋」について。小谷真理の論考はあったが、他の記事では「SFでよくあるテーマですよね~」と前提するばかりであった。SF界ですでに議論があるなら文献の言及が欲しかった。

2011-05-23 22:09:10
jabrafcu @ja_bra_af_cu

“GS、ロカビリー、プレスリー、ヒャダイン、声のジェンダーとニコ動「歌ってみた」と声優、女声、歌声論したい”http://togetter.com/li/136176 の後半で議論になったような、声とジェンダーの話題と本書での石田美紀、平沢進などの論考はつながると思われる。

2011-05-23 22:21:46
jabrafcu @ja_bra_af_cu

「他人の声を使って自分で歌える」すなわちキャラクターとの二人羽織や、理想の女性像との一体化、所有願望などをVocaloidが可能にしているのでは、という議論だが、キネクトやUTAUがある現在、もっと深められる話題ではないだろうか、

2011-05-23 22:30:07
jabrafcu @ja_bra_af_cu

本書でもっとも興味深かったのは討論会「初音ミクと未来の音:同人音楽・ニコ動・ボーカロイドの交点にあるもの」であった。

2011-05-23 22:32:09
jabrafcu @ja_bra_af_cu

ここでの東浩紀の「音をこう変えたとかダンスをこう変えたとかいう現象があるのか」(:153)という指摘は重要だと思う。ムーブメントとしてのVocaloidだけでなく、音楽そのものの評価もそろそろでてきてよいと思う。

2011-05-23 22:34:07
あおいん @aoiiiin

@ja_bra_af_cu あれ、それってDJ-TECHNORCHさんとの対話の場面ですか?それなら厳密にはJ-COREの話ですが

2011-05-23 22:36:41
jabrafcu @ja_bra_af_cu

@aoiiiin 厳密にはそうですね。参照項がアニメやゲームになることの影響を語ってたのでボカロにも通じる話ではあると思いますが。

2011-05-23 22:38:48
あおいん @aoiiiin

@ja_bra_af_cu あ、なるほど… 実際J-COREは露骨にアニメ声ネタが入ってない限り他のハードコアテクノと何が音楽的に違うのか良く分からんのですよねw

2011-05-23 22:41:40
jabrafcu @ja_bra_af_cu

@aoiiiin ハードコアを聞いてる人にはわかる「微妙だけど決定的な違い」があるっていってますね。J-COREはよく知らないですが、日本初のポップスとしてはめずらしい電波ソングの強烈な様式感はもっと評価してもいいんじゃないかと思いますw

2011-05-23 22:46:12
jabrafcu @ja_bra_af_cu

同人音楽やゲーム音楽にルーツを持つことによる歌詞のテーマの変化、PCと事務椅子で聞くことによるリズムの変化(シュルるPやペンプロ氏)など、具体的な音楽の内容・様式の変化は実際にある。「しょせん○○の真似」とい片付けずにしっかり考えていきたい。

2011-05-23 22:37:03
jabrafcu @ja_bra_af_cu

そして討論会における谷口文和(@ taninen)先生の指摘はどれも興味深くかった。人力Vocaloidによる「あらゆる人間の声がキャラ化され得る」可能性。ドリ音Pの神業や宇多田ろいどの出現などがよく知られているが、「既存の声→違うキャラ」といった動きは広がるだろうか。

2011-05-23 22:54:28
jabrafcu @ja_bra_af_cu

谷口:「なんで萌えるのが『声』でなきゃいけないのか」。なぜ人はこうも「歌」が好きなのかという問題があるかも。なお、この時点ではまだUTAUが一般化していなかったが、「楽器は声シリーズ」などどう思われるだろうか。「柚子音ぽん」や「物音サシ」などかなり萌えるのだがw

2011-05-23 23:01:15
jabrafcu @ja_bra_af_cu

谷口:ボカロがいわばお人形遊びだとすると、次に流行るのは自分がお人形になることだろう。「自分の声をメディア上で操作対象にしていくという流れが来てもいいはずだと思います。プリクラや写メールの音版はどうやって出てくるだろうか」(p.160)

2011-05-23 23:10:44
jabrafcu @ja_bra_af_cu

ちょうどhttp://togetter.com/li/136176で声の変換について話したところだった。 お人形あそびといえばまさにUTAUやMMD。キネクトで「俺が美少女だ!」は可能になったが声による「俺がアイドルだ!」はいつ可能になるだろうかw

2011-05-23 23:13:54
jabrafcu @ja_bra_af_cu

しかし、増田聡や谷口文和をはじめ(他ならぬボカロPですら!)キャラ萌えに馴染みがない・好きでないからか、キャラクターに歌を歌わせられる・歌ってもらえることへの評価が低いように感じることが多い。この快楽をきちんと、積極的に評価できないものだろうか。

2011-05-23 23:23:12
jabrafcu @ja_bra_af_cu

中田健太郎が指摘したように「声[=対象aのひとつ]だけがむき出しで現れることは、非常に不安なこと」(p.196)であるから、従来の音声合成は(技術的な未熟のせいはもちろんあったろうけど)変で気持ち悪いといわれてたのでは。

2011-05-23 23:30:23
jabrafcu @ja_bra_af_cu

それがキャラと結びつくことでシンガーとしての可能性を大きく花開かせたのは素敵な事じゃないか。本気で歌うゆっくりに涙する人が出るなんてsofttalkを開発した人には思いもよらなかったのでは?w

2011-05-23 23:31:49
jabrafcu @ja_bra_af_cu

Further Readingsを貼って締めよう。まずは声論関係。

2011-05-24 00:24:00
jabrafcu @ja_bra_af_cu

【文献】川田順造 1988 [1998] 『聲』ちくま学芸文庫

2011-05-24 00:24:38
jabrafcu @ja_bra_af_cu

【文献】ロラン・バルト 1984 「声のきめ」 『第三の意味』沢崎浩平訳、みすず書房、p.189

2011-05-24 00:25:07