尾上先生の勉強風景 (30)

自分用
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尾上正人 @9w9w9w92

「本格的な手話は、社会のしきたりによって何か月間も、あるいは何年間も喋ることがタブーとされる集団において発達する傾向がある…たとえば、親族の死後、女性は何か月も喋ることを禁じられている[オーストラリアの]地域では、手話が音声言語に劣らぬほどの表現力を有するまでになっている」351-2

2019-08-25 07:20:33
尾上正人 @9w9w9w92

「ロバート・モンローとジョン・フォート…環境温度だけで、言語の聞こえ度の変動の約3分の1を説明できる…温暖な地域の言語は、寒冷地の言語に比べて母音の数が多く、しかも聞こえ度の最も高い母音aがよく使われる…温暖な地域…n, l, r…寒冷地の言語では…iのような、聞こえ度の最も低い母音」354-5

2019-08-25 07:31:51
尾上正人 @9w9w9w92

「文化進化は、遺伝的進化で対応するような適応上の問題の多くを、より迅速に、種分化のプロセスを経ずに解決することができるのだ」356頁

2019-08-25 07:34:26
尾上正人 @9w9w9w92

「ヒトが生まれつきもっている色知覚の生理学的・認知的制約は、もともと言語とは関係のないものなのだが、連続的な色のスペクトルを言葉を使って区切るために、文化進化によって利用されているのだ」359-60頁

2019-08-25 07:39:13
尾上正人 @9w9w9w92

「新たな色名の習得は、ヒトの認知能力に影響を及ぼして、大脳の灰白質を増加させていった」360頁

2019-08-25 07:40:58
尾上正人 @9w9w9w92

「現代の西欧の子どもたちは、昔の世代に比べると、幼いうちから基本色名をマスターするようになっている。文化的なシステムが進化して、こうした知識をすみやかに伝達できるようになっているようだ」361頁

2019-08-25 07:43:44
尾上正人 @9w9w9w92

「集団脳の拡大に付随して起きる語彙数の増大が、私たちに新たな認知能力を授け、そのIQを高めている可能性がある」362頁

2019-08-25 07:46:17
尾上正人 @9w9w9w92

「統合化された市場社会の大規模集団は、孤立した小規模な言語共同体よりも音素数が多いという傾向……話者数の多い言語ほど、異なる音として認識される音の種類(すなわち音素数)が多い……音素数の多い言語ほど、単語が短くなる傾向」363-4頁

2019-08-25 07:52:03
尾上正人 @9w9w9w92

「総じて、規模が大きく成員同士の結びつきの強い集団ほど、音素数は多く、単語は短くなる傾向があることを示す証拠が集まりつつある。…大きな集団で使われている単語は、小さな集団の言語よりも情報伝達効率が良いと考えてよさそうだ」364頁

2019-08-25 07:53:58
尾上正人 @9w9w9w92

「共通の語彙がありさえすれば…文法など必要ないばかりか、単語の並べ方がその言語の文法ルールに違反していても意味は伝わる。…文化進化によって、こうした単語ストックに文法のルールやツールが徐々に加わることで、単純だった共通基語(祖語)が次第に複雑なものになっていったのだろう」365頁

2019-08-25 08:50:49
尾上正人 @9w9w9w92

「まず初めに内容語(その単語のみで具体的な意味をもっている単語)を奪ってきて、その本来の意味を徐々に抜いていき、そのあとたいてい、伝達効率を高めるためか、長さを切り詰めてしまう。このようなプロセスを<文法化>と呼んでいる」366頁

2019-08-25 15:39:50
尾上正人 @9w9w9w92

「『after』、『before』、『because』といった従属接続詞は、有史時代に入ってから進化したもののようだ。そうなると、合成弓がヒトのテクノロジーに特徴的なものだとは言えないのと同様に、従属接続詞が<ヒト>の言語の特徴とは言えなくなる」369頁 チョムスキーのリカージョン(再帰)への反証かの

2019-08-25 15:44:48
尾上正人 @9w9w9w92

「複雑な階層構造や従属関係の多くは、長い歳月をかけた累積的文化進化の産物らしい。だからといって、階層的な入れ子構造を組み立てる高度な能力は、ヒトが生まれつきもっている能力ではないと言っているわけではない…こうした能力を引き出す優れた文法ツールは、文化進化によって構築された」370頁

2019-08-25 15:47:37
尾上正人 @9w9w9w92

「多数の異質な言語共同体を含んでいて、成人後に言語を習得する者が多い大規模な集団では、文法が形態論的に簡素になる傾向がある。…集団が大きくなるほど、成人後に言語を学ぶ者が増えるが、成人は形態論的に複雑な言語を学ぶのが苦手だからというのである」370頁

2019-08-25 15:51:17
尾上正人 @9w9w9w92

「言語共同体が大きくなるほど、単語数、音素数、そして文法ツールの種類が多くなる。つまり、大きな言語共同体の言語ほど複雑になる傾向があるのだ。…また、心理学的な証拠から、語彙内容や文法規則が、記憶や知覚といったヒトの認知能力を変化させうることが明らかになっている」370-1頁

2019-08-25 15:57:48
尾上正人 @9w9w9w92

「生まれつきヒトに備わっている心理的機能をうまく利用する言語ほど習得しやすく、したがって、将来、他言語に取って代わられる可能性も低い。…子どもたちが事もなげに言葉を覚えてしまうのは、そもそも現在使われている言語が、文化進化を経て習得しやすくなった言語だからなのである」371・373頁

2019-08-25 16:00:47
尾上正人 @9w9w9w92

「実社会で使われる自然言語を話す子どもたちの研究によって、言語のもつ規則性が言語の習得を容易にしている事実が、よりいっそう確認された。規則性の<高い>言語を話す子どもたちのほうが、規則性の<低い>言語を話す子どもたちよりも、『馬が牛を蹴った』のような文の意味を<明確>に理解する」372-3

2019-08-25 16:03:33
尾上正人 @9w9w9w92

「統語規則のような、どの言語にも見られる特徴のいくつかは、特に語彙が増大していくときに、習得しやすさを損なうまいとする文化進化の力が働いた結果に違いない」373頁

2019-08-25 16:05:15
尾上正人 @9w9w9w92

「非言語的なコミュニケーションに徐々に言語的要素が追加されていくようになり、発話に関わる遺伝子に有利に働く選択圧が生じたのである」375頁 原注でコーバリスの言語手話起源説が引用されとる。560頁 twitter.com/9w9w9w92/statu…

2019-08-25 16:27:44
尾上正人 @9w9w9w92

Corballis, Michael C. (2002) From Hand to Mouth: The Origin of Language, Princeton University Press. =2008 大久保街亜訳『言葉は身振りから進化した――進化心理学が探る言語の起源』勁草書房

2018-08-27 15:59:44
尾上正人 @9w9w9w92

「手首を使う系列動作学習をヒトとサルで競わせると、課題に階層構造が含まれている場合に限って、ヒトのほうが高い成績を挙げる」378頁

2019-08-25 16:32:29
尾上正人 @9w9w9w92

「①非言語的な例列動作を習得する能力の遺伝的進化が、文法習得能力を高めた。つまり、道具と言語との間には相乗作用が見られる」378頁

2019-08-25 16:35:12
尾上正人 @9w9w9w92

「②しかし、非言語的な系列動作(道具作り)の習得能力を高めるだけでは、文法習得能力の遺伝的進化は妨げられた。つまり、文法習得に<特化した>遺伝子が優位になることはない」378-9頁

2019-08-25 16:36:46
尾上正人 @9w9w9w92

「③にもかかわらず、人工ニューラルネットワーク上の文法習得能力は向上した。なぜなら、既存の人工ニューラルネットワークが容易に学べるように、<文法自体>が文化進化を遂げたからだ。つまり、文化進化によって習得しやすい文法ができあがったのである」379頁

2019-08-25 16:38:47
尾上正人 @9w9w9w92

「非声調言語の出現が、2種類の遺伝子[ASPMとMCPH]バリアントの伝播を促す要因となったらしいのだ」380頁

2019-08-25 16:43:34
尾上正人 @9w9w9w92

「[言語での]複雑なコミュニケーションレパートリーの進化がスタートするためには、その時点ですでに、協力上のジレンマがいくらかでも解消されている必要がある…言語こそがヒトの協力上の問題を解決したとする主張の多くは、こうした認識に欠けており、そもそも文化の存在を大前提にしている 382-3

2019-08-25 17:00:13
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