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この世界の中の「存在」は観測者や測定機に依存した概念だった

この世界の中の「存在」は観測者や測定機に依存した概念だった  心に響いた物理学の見識について、記録をとどめておきたくなりました。 ホッタ先生の説明はいつもわかりやすくていいですね。
存在 基礎物理学 量子論 観測 量子力学
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Masahiro Hotta @hottaqu
時間は深淵です。最新の量子情報物理学の立場では、過去も未来も、現在における情報に過ぎません。例えば不安定粒子が崩壊する時刻は、量子力学では確定せず、確率的に揺らいでます。その観測を論じるには、崩壊時刻を自動的に記録する量子的なノートである「量子歴史書」が必要となります。
Masahiro Hotta @hottaqu

Theoretical Physicist. Relativistic Quantum Information, Quantum Energy Teleportation, Black Hole Physics, ...

http://t.co/zWueTszXpi
Masahiro Hotta @hottaqu
粒子が平均寿命をもって崩壊する現象を記述するためには、量子力学で時間の確率分布を導入する必要があります。専門的な話になりますが、ハミルトニアンと正準共役な自己共役的な時間演算子は、一般に存在しないことも知られてます。エネルギーに下限がある系では、そういう演算子はないのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
粒子崩壊のような現象を示す系には、そのヒルベルト空間にそれを記述する部分空間があって、そこでは一方向性ダイナミクスという時間発展が生じてるのです。そのおかげで、その部分ヒルベルト空間内に対して、時間の確率分布を導入することができます。
Masahiro Hotta @hottaqu
(このあたりの詳しい話は、5月末に出る予定の「量子情報と時空の物理【第2版】」(サイエンス社)の第5章を参照してください。)
Masahiro Hotta @hottaqu
量子力学では時間は外部から定められるパラメータであるので、それ自体が確率的に揺らぐことはありません。しかし、ある部分ヒルベルト空間に限定すると、粒子の崩壊寿命の平均値や揺らぎが計算できるようになります。
Masahiro Hotta @hottaqu
粒子崩壊の時刻は、ノートにあたる量子系に記録されます。だから特定の時刻において、物理的なこの量子系である歴史書のいろいろな物理量を測定することで、それまでの崩壊の「歴史の確率分布」が得られます。
Masahiro Hotta @hottaqu
一般に、事象の時間的記録を観測する場合には、歴史書である量子ノート上の記録として、異なる歴史状態の線形重ね合わせが起きて、その量子的な揺らぎも生じます。対象がミクロでもマクロでも、このことは原理的には変わりません。歴史も量子的に揺らぐのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
ある人物が生まれる時刻という歴史的事実も確率的に分布しますし、更にその人物が生まれなかった世界の歴史も、量子的に重ね合わさります。シュレディンガーの猫のように、です。
Masahiro Hotta @hottaqu
量子論の立場では、人間を含むマクロな量子系でも原理的には同じです。仮に、孤立したマクロ量子系の星を考えた時、その星のある王朝が滅びた時刻も、量子的に揺らぐのです。そしてその星を観測した時点で、初めてその星の過去の歴史は1つに定まるのです。これが量子力学的世界像なのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
一方、その星の住民にしたら、外の観測者とは関係なく確定的な1つの歴史を各時刻に経験し続けている実感があるはずです。でもその"事実"を外の観測者が知る科学的な術は測定するまで全くないがポイントです。星の外の外部観測者にとっては、その星の沢山の異なる歴史が量子的に重なるのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
原理的には、異なる歴史状態の間の量子的干渉効果を測定することも、量子力学では可能です。外部観測者がその星の住民に体験を聞かずに、重ね合わせのまま特定の巨大装置を星全体に作用させると、2重スリット実験のような干渉縞を、ある物理量に関して測定することができるからです。
Masahiro Hotta @hottaqu
星の外の部観測者のこの干渉測定実験装置は、星の全ての住民の脳の分子原子にも作用して、その記憶を完全に書き換えてしまいます。その結果、干渉実験終了後には、実験前に自分達がどんな歴史を体験したのかをはっきり断定できなくなるのです。それで全体の話の辻褄が合うようになっています。
Masahiro Hotta @hottaqu
もし星の住民をずっと観測していたら、その外部観測者にとって、星の波動関数の収縮が起きてしまい。歴史の干渉はもう観測できなくなります。星全体をマクロ孤立系として扱い、情報を何も取り出さずに星内部のダイナミクスだけで時間発展させた場合にだけ、その歴史は量子的な重ね合わせになるのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
量子論では、歴史は確定したものではありません。その星の過去に「ある人物が実在したか」という問いの答えは、場合によります。「実在」という概念を絶対視せず、量子力学と整合するように、我々の頭を柔らかくする必要があるのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
現代物理学において、量子力学は重要な柱になっています。またその研究は多くのサプライズを人類に与えてきました。五感で感じる物体や時空は、決して感じるままの存在ではないことを教えてくれます。この世界の全ての物質は「そこにはっきりと実在する」という単純素朴な存在ではないのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
現在人類が手にしている、到達できるミクロ領域でも実験的に検証済みである根源的理論は、場の量子論です。素粒子の標準理論も、この場の理論で記述されています。その場の理論における「存在」の概念とは、日常とは随分違うものになっています。
Masahiro Hotta @hottaqu
例えば、「粒子」は粒子測定機が測定するものという定義が自然だと分かっています。人間がその粒子を捕まえる前から、「粒子」はある領域に素朴に存在しているという描像は、うまくいきません。
Masahiro Hotta @hottaqu
そのことを教えてくれる1つの例が「ウンルー効果」です。慣性運動をしながら真空状態の場と相互作用する測定機はもちろん粒子を観測しませんが、同じ真空中を一様加速度運動する測定機は、量子場がもつ零点振動を、加速度に比例した温度の粒子の集まりとして観測するのです。 mhotta.hatenablog.com/entry/2014/05/…
Masahiro Hotta @hottaqu
五感をもった人間も測定機の一種です。だから真空中を慣性運動する人間は粒子を感じないのですが、一様等加速度運動する人間は、同じ真空に沢山の熱的な粒子を感じます。ですから本来「粒子」とは観測者や測定機に依存した概念だったのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
量子場を記述する量子力学においては、この他にも沢山の観測者依存性がある現象が知られています。たとえば量子テレポーテーションでも、どの観測者がそれを見ているかによって、その過程で量子情報が空間的に離れた2地点の間を移動していく様子は全く違います。
Masahiro Hotta @hottaqu
量子テレポの送信者にとっては、量子情報は送信者自身の測定実験の瞬間に受信者に届いています。一方受信者にとっては、送信者から連絡があった瞬間に、手元の量子系へ量子情報が届いたように見えるのです。mhotta.hatenablog.com/entry/2016/02/…
Masahiro Hotta @hottaqu
また送信者と受信者とは違う外部の第3者からは、量子テレポで量子情報は送信者から受信者に光速度以下の速度で移動して見えますが、それは実空間のどこかを伝搬するのではなく、量子的に重なり合った送受信者達の異なる歴史の間を干渉項として飛んでいくように見えるのです。mhotta.hatenablog.com/entry/2016/02/…
Masahiro Hotta @hottaqu
この世界の中の「存在」は観測者や測定機に依存した概念だったと言うこの結果は、現代物理学が明らかにした驚異的な事実の1つなのです。
Masahiro Hotta @hottaqu
今では量子力学の研究は多岐に渡るようになり、量子コンピュータや量子通信などの工学的な応用も活発に行われています。基礎の中の基礎としての基礎物理学であった量子力学の研究は、応用工学の最先端に躍り出ている現状です。またこの量子技術の進展は基礎物理学にも大きなフィードバックを与えます。
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コメント

彫木🌧️環🧷✂️✏️(安倍首相に疲れました) @CordwainersCat 2019年9月9日
この考え方ってもはや素朴実在論は捨て去って、観測者ごとに異なる過去(歴史)を認識すると言う認識論になってるような気がするのだけど違うか知らん?
たるたる @heporap 2019年9月9日
「我思う、故に我在り」
あおば:S*AOBA/aeuler @ssaoba 2019年9月9日
理系だと自認してるような人は哲学のさわりくらい勉強してますよね?という話に見えるが
田中一郎 @eggmanpat 2019年9月10日
アインシュタインは言った。「じゃあ、あの月は私が見ていないときは存在しないと言うのかね。」
びよんど @apam2233 2019年9月10日
ssaoba 「どうも、界隈への嘆きを投稿したらいつの間にか様々な創作に適当に引用されまくっておりますシュレディンガーです。」
Masahiro Hotta @hottaqu 2019年9月17日
「量子場を記述する量子力学においては、この他にも沢山の観測者依存性がある現象が知られています。たとえば量子テレポーテーションでも、どの観測者がそれを見ているかによって、その過程で量子情報が空間的に離れた2地点の間を移動していく様子は全く違います。」というTW部分ですが、量子情報(量子状態)の変化を物理的な現象と捉えられる誤解の可能性があるために、削除しました。量子テレポは観測者毎に時間発展の記述は異なることを強調したものですが、どの観測者にとっても実験結果自体は変わりません。
Masahiro Hotta @hottaqu 2019年9月17日
しかし、量子情報がどのように送信者から受信者に移動していくのかということの数学的描像が全く異なるのが、量子力学の特徴でもあります。
Masahiro Hotta @hottaqu 2019年9月17日
ある系の量子状態(または波動関数)は、観測者と、更にその観測者が定める「時空の内での時間一定面」に依存した概念です。そしてこれは物理的な存在ではなく、「○○という測定をすると何%の確率で××という結果を得る」という注目系の情報の集まりに過ぎません。だから局所的な観測で系の知識が増えたならば、量子状態や波動関数が時間一定面上での遠くの地点で変わる「波束の収縮」自体は、実は全く不思議なことではないのです。知識の増加に過ぎません。
Masahiro Hotta @hottaqu 2019年9月17日
しかし、一方量子状態に含まれる量子情報こそが、それぞれの物理系(モノ)の個性を決めているという事実もあります。机であるとか石であるとか辞書であるとか、それぞれのモノの個性こそが、観測者にとってのモノの本質だと思うならば、量子テレポはそのモノの個性である量子状態を転送する技術と表現することができます。
Masahiro Hotta @hottaqu 2019年9月17日
量子テレポでは、そのモノの個性である量子情報の移動の仕方は、送信者と受信者と外部観測者によって、少なくとも数式とその解釈において全く異なるのが際立った特徴です。
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