初音ミク「ハジメテノオト」の歌詞を韻による意味の伝達という観点から評価する
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yaoki_dokidoki
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http://www.nicovideo.jp/watch/sm1274898 初音ミクオリジナル曲 「ハジメテノオト(Fullバージョン)」 2007年10月14日に公開される。
2011-05-25 21:43:23
今回、6月12日文学フリマにて頒布される筑波批評での「Os-宇宙人」論ではまったく触れることのできなかったボカロ曲について、本論でかくことのできなかった押韻の話をしてみたい。
2011-05-25 21:46:39
初音ミクにもどろう。「ハジメテノオト」は初音ミクの姓からとられたことばだろう。ちなみに初音とは、年の初めに聞く鳥の声、とくに春を告げるウグイスの鳴き声をさすらしい。だからミクは緑色なのかな?
2011-05-25 21:51:22
前にボカロ/ウタウのプレイリストを紹介しあうイベントで触れたことを、すこしここで展開したいと思う。http://curation.fumikarecords.com/matomefumika_001.html
2011-05-25 21:56:16
「ハジメテノオト」で聴いていて耳に訴えてくるのは「わ」という音だと思う。この音が印象的なのは、そこにわかりやすく構成があるからだ。構成とは、かたちのつくりのことである。
2011-05-25 22:03:32
僕たちは歌の構成はよくしっていても、歌詞の構成についてはよくしらないことが多い。歌の構成とはAメロ、BメロのつぎにサビがきてまたAメロがはじまるという、歌のかたちのこと。そのかたちは、なぜ僕たちにわかりやすいのか。
2011-05-25 22:06:07
歌の構成がわかりやすいのは、同じかたちをもったものが同じかたちだよというふうにわかりやすく置かれているからだ。この置かれかたを、構成と呼んでいる。
2011-05-25 22:08:34
歌の1番のつぎに2番がくるという構成がわかりやすいのは、1番の始まりから終わりまでの全体的なかたちと、2番の始まりから終わりまでのかたちが同じかたちに見えるからだ。
2011-05-25 22:10:32
かたちとについて、まずは旋律つまりメロディーが同じかたちをしているときのわかりやすさがある。つぎにことばだ。歌詞が1番と2番の対応する箇所で対句表現をとっていたりするというときのわかりやすさだ。
2011-05-25 22:13:09
たとえば、今、僕が話したい「ハジメテノオト」についていう。1番は「はじめてのおとは なんでしたか/あなたのはじめてのおとは」で始まっている。2番は「はじめてのおとはありましたか/あなたのはじめてのおとは」で始まっている。これが対句表現だ。
2011-05-25 22:18:06
僕もじゃぶらふきゅーさんに同意で、なぜか初音ミクの「わ」の音はいい声だと感じる。アペンドではだいぶクセがなくなったけど、かつては「あ」の母音の伸びがなかなか優越しているように聞こえていたと思う。
2011-05-25 22:24:10
いま対句表現といったけど、歌詞において同じかたちだとわかりやすいものは、ふたつある。ひとつは音の数で、たとえば1番「はじめてのおとはなんでしたか」の14音、2番「はじめてのおとはありましたか」の14音。音の数がおなじた。これは歌詞のかたちのひとつ。
2011-05-25 22:37:04
今の歌詞だと、「はじめてのおとは」までが同じで次に「なんで/ありま」とルートが分岐して「したか」と再び同じにもどっている。つまりちがいは3音なんだけど、音の数の面からいえば3音と3音でかたちがたもたれている。
2011-05-25 22:42:39
歌詞でわかりやすいふたつめのかたちとは、意味だ。こんどは1番の1連「はじめてのおとは」と2連「はじめてのことばは」を比べよう。ここでは音の数は変わっている。「はじめての」までが同じかたちで「おと/ことば」で分岐し再び「はなんでしたか」で同じかたちに戻る。
2011-05-25 22:49:25
「おと」と「ことば」は一瞬たちどまると意味がにていたり逆だったりかといえばそうでもない。まあ、音は耳に聞こえてくるもの、ことばは口から発するものといえなくもないけどね。
2011-05-25 22:54:23
だから別に無理やり結びつけて説明しようとも思わない。この歌詞はこの部分では「同じかたち」であろうとしていないというだけだ。音の数は「2:3」だし、意味も似ていない。そういうつくりなのである。
2011-05-25 22:57:57
そんな風に僕たちはたぶん、構成を知っているというときは、同じかたちがどこにあるのかということに注目して、それ知るのだと考える。
2011-05-25 23:01:48
同じということ、違うということ。そんなあれやこれやを判断しながら僕たちはいつも音楽や歌を聞いている。そんなふうに思うんだ。(ミスチル風に)
2011-05-25 23:05:50