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イカゴジラ @pascal_syan
イカことインクリング達は、基本的に楽天的で享楽的だ。遠い未来のことをあれこれ考えるより、今を楽しむことの方が大好き。それに単細胞だ。細かいことは気にしない。要するに、アホっぽいところがある。
イカゴジラ @pascal_syan
そうは見えないイカもいるが……結局のところ、「彼」もイカだ。彼がやけに寛容なのは、大物だからという理由もあるけれど、イカ本来の性質が作用している部分もある。……誰を想像したかは、あえて触れないでおこう。
イカゴジラ @pascal_syan
とにかく。イカは、楽しいことが大好きだ。当然、お祭りも大好きである。全国津々浦々、いろんなところでいろんなお祭りがあったりするが、イカたちにとって、お祭りといったら真っ先に出てくるのは……
イカゴジラ @pascal_syan
「こんちゃーっ!ハイカラニュースの時間だよ!」 「今日もハイカラスクエアの片隅から、テンタクルズがお届けします」 毎朝流れるお馴染みのニュースだ。 いつもは、ナワバリバトルなどのスケジュールを発表するのだが…… 「イイダ!ステージ発表の前に、臨時ニュースよろしく!」
イカゴジラ @pascal_syan
「エッ!?急に?何でしたっけ?」 中央のモニターの映像が変わる。 古めかしいファクシミリの機械に、呪術めいた札が何枚も貼られている。その周囲には、蝋燭の怪しい灯火が。まるで、曰くつきのものを封印しているかのような雰囲気だ。 イカたちは、これを「カミ様」と呼んでいる。
イカゴジラ @pascal_syan
「カミ様」がガタガタと奇っ怪な音を立てながら動き出した。 「カミ様が動き出してるってことは、例のアレっしょ!」 「『フェス』ですか!」 フェス。 イカ達の、イカ達による、イカ達のためのお祭りだ!
イカゴジラ @pascal_syan
カミ様は、フェスの到来を告げる、大事な存在だ。 「イイダ、フェスのお題、まだー?」 「ちょっと待っててくださいね……」 カミ様の中から、光る何かが吐き出された。それは……紙。何かが書かれている。すぐにスタジオに届けられ、ヒメが受け取った。
イカゴジラ @pascal_syan
「フェスのお題は……うおっ!?」 ヒメはその内容を読んで、驚愕した。 「ヒメセンパイだけ見てないで、早く教えてくださいよ!」 「それじゃ、はっぴょーーするよ!!」 ごくり。イイダは唾を飲み込んだ。スタジオだけでなく、ハイカラスクエア全体にも緊張が走る。
イカゴジラ @pascal_syan
フェスというのは、要するに陣営戦のナワバリバトルだ。相反する二つの勢力。どちらか好きな方の陣営に所属して、より多く得票し、より多く勝つことで勝敗が決まる。 お題は、その「勢力」が何なのかを決める、フェスには必要不可欠な要素なのだ。
イカゴジラ @pascal_syan
今回のお題は…… 「どっちを応援する?『王者』VS『挑戦者』~~!!!」 「おお~、これはアツいお題ですね!」 バトル受付ロビー前に集まった若者たちも、沸き立つ。 「珍しく真面目なテーマだね!」 「ソーナノネ~」 サキとヨーコも現場に駆けつけていた。確かに、いつもより真面目だ。
イカゴジラ @pascal_syan
マヨネーズvsケチャップとか、ポテトvsナゲットとか、からあげにレモンかけるvsレモンかけないとか…… 割とくだらないお題が多かったりする。だが、イカたちは真剣だ。数ヵ月おきにしかやって来ない、大事な大事なお祭りなのだから。
イカゴジラ @pascal_syan
スタジオの二人も、今回のお題について語り合う。 「やっぱり、応援するなら挑戦者ですよね~!ひたむきに努力する姿が応援したくなります~!」 イイダは挑戦者派のようだ。対してヒメは……
イカゴジラ @pascal_syan
「どっちも応援してーところだけどなー、アタシは王者を応援するかなー」 「エエッ!?何でですか?」 イイダは驚いている。 「スポーツ中継とか見てるとさー、なんかこう、王者にグッとくんだよな!だってさ……」 サキたちの脳裏に浮かぶ、とあるチームメイトの姿。
イカゴジラ @pascal_syan
「王者ってのは1人しかなれねーだろ?ずっと1人……王者でいる限りは孤独な存在なんだよ」 孤高と言うかえるもできるだろうが、本質は同じだ。 「誰か現れたと思ったら、ソイツは自分を倒しに来た『挑戦者派』……負けたらすべて失う、そう思ったら、王者を応援したくなっちゃうだろ?」
イカゴジラ @pascal_syan
ヒメの視点は、実に斬新だ。普通、かっこいいーとか、すごいつよそうだからー、とか、そういった理由で選ぶものだ。 「でもセンパイ、王者だって、最初は挑戦者だったわけじゃないですか」 イイダが反論する。彼女の言うことは正論だ。上級者も最初は初心者だった、というのと似たようなもの。
イカゴジラ @pascal_syan
「ムム、まあそうだな……」 「大勢のライバルたちとバトルして、強くなって、最後に王者へ挑む!応援しがいがあります~」 挑戦者。漫画やアニメでは、もっぱら主人公と呼ばれる存在だ。はじめは弱くても、その成長の過程をワクワクしながら見守る。よくある王道だ。
イカゴジラ @pascal_syan
「それで、特訓の途中に出会った子とちょっぴりロマンスが起きたりしちゃうんですよ~♪」 イイダはうっとりしている。 「それ、イイダが最近ハマってるドラマのストーリーまんまじゃねーか……」 「あ、いや、そうですけど~…ワタシは挑戦しつづけるほうを応援したい派です!」
イカゴジラ @pascal_syan
「なるほどねー!アタシは、王者だからって1人じゃねーんだぞ!って気持ちで応援したい派だな!」 テンタクルズの意見が綺麗に割れた。まあ、いつものことだけど。 二人とも違う意見を選ぶからこそ、長年コンビを組んできているのだろう。
イカゴジラ @pascal_syan
「……てなわけでみんな、どっちかに投票よろしく!」 「投票したら、ちゃんとフェスTを借りられているか、チェックしてくださいね!」 臨時ニュースのコーナーが終わり、いつものバトルスケジュールが発表される。散らばらと群衆が散り始めた。いつも通りの日常。けれど、その心のなかには熱情が。
イカゴジラ @pascal_syan
「お題、どうしようね」 サキはいつも、よほどの信念がない限りは、周りに合わせて決めている。前のフェスも、ヨーコに合わせて投票した。 今回もそうするつもりだ。というか、そうしなければならないだろう。だって今は、チームを組んでいるのだから。
イカゴジラ @pascal_syan
「ウーン……アノ2人、ドッチ、選ブト思ウ?」 「……王者だと思うなあ」 王者と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、やっぱりシグルイだ。二週間後に迫るサイキョー杯の優勝候補のひとり。生ける伝説とも呼べる存在なのだから。
イカゴジラ @pascal_syan
「デモ、コレ、『ドッチ応援スル?』ナノネ。王者ガ王者、応援スル?」 「するんじゃないの?だって同族でしょ?」 「同族、ナカヨシ、必ズジャナイネ。ムシロ、イガミアイ、多イノネ……」 まるで、その現場の数々を見てきたかのような言い方だ。
イカゴジラ @pascal_syan
「……確かに、雑誌とかでよく取り上げられてるよね。あのチャンピオンとあのエリートは不仲だとか……」 「ミンナ、自分ツヨイ、思ッテル。他ノヒト、ミンナ邪魔ナノネ」 「そうだよねえ……となると、挑戦者を応援する……のかなあ?それはそれで、なんか変かな?」
イカゴジラ @pascal_syan
「フツー、自分ノ敵、応援シタクナイ。ワタシ、モシ、王者ナラ、チョット考エチャウ……カモ?」 「だよねえ。自分の座を脅かすやつに、頑張れー!なんて言いづらいよね」 「……デモ、シグルイ、変ワッタヒト。違ウコト、考エテル」
イカゴジラ @pascal_syan
サキは頷く。 「ヒメちゃんみたいに、別の切り口からものごとを考えてそうだよね。……私みたいなのをチームに入れてくれたぐらいだしさ」 「サキ、謙遜、ヨクナイ。モット、自信モツ。シグルイト、約束シタデショ?」 「そ、そうだった。いけないいけない……」
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