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イカゴジラ @pascal_syan
一通りカステラを堪能したあと。 「さて」 シグルイが立ち上がった。 「もう一戦といこうか?」 「そうですね!」 「イッパイ、イッパイ、戦ウノネ!」 サキとヨーコも立ち上がる。 オクトーはさりげなく、ドリンクの容器などを片付けていた。 夜はまだ、長い。満喫しなければ。
イカゴジラ @pascal_syan
「申し訳ありません……」 しかし、出鼻をくじかれた。 「ただいま混雑しておりまして、次のバトルまでお待ちいただけますか?」 「そうですか……」 「観覧席に空きがございますので、よろしければそちらで」 整理券をもらい、オクトーが帰ってきた。 「あらま~……」 フェスではよくあることだ。
イカゴジラ @pascal_syan
「でも、観戦できるんでしょ?」 戦うだけでなく、見るのも楽しみかたのひとつだ。 四人は観覧席へと移動する。観覧席がどよめく。さっきまで試合してた有名人が、いきなりやってきたのだ。そりゃ驚く。
イカゴジラ @pascal_syan
頼んでもいないのに、席が4つ並んで空けられた。しかも結構いい席だ。トップスターの威力ってすごいな……と思いながら、サキは座った。先ほど戦ったばかりの戦場が、遠く広く見える。新鮮な視点だ。
イカゴジラ @pascal_syan
試合が始まる。 「がんばれー!青がんばれー!」 「アーッ!アブナーイッ!」 普通にキャッキャ盛り上がる女子組。塗って塗られ返す、ほぼ互角の戦い。気を抜けば一気に逆転されそうな、手に汗握る展開だ。応援する声が一層大きくなる。 …かと思えば、一方的な展開で、あんまり面白くない試合もある。
イカゴジラ @pascal_syan
三試合ほど観戦したが、自分達の番がまだ回ってこない。なんだかヤキモキしてしまう。 「来ないな」 流石のシグルイさんも気にしてるなあ、とサキは思った。 「受付に問い合わせてみます」 オクトーが席を立った。 「あ、私お手洗い行きますね~」 次の試合までは時間がある。行けるうちに行かないと。
イカゴジラ @pascal_syan
観覧席には、ヨーコとシグルイが残った。ヨーコは、二つ分の空席を詰めて、シグルイの隣に座った。 「二人キリ、ハジメテネ!」 「思えば、そうだな」 電話なら二度ほどしたが、面と向かって二人きりは初めてだ。 いや、正確には初めてではない。 バトルを除けば初めて、というだけ。
イカゴジラ @pascal_syan
バトルでは、何度か顔を合わせている。公式大会の決勝戦で、真正面から挑んで返り討ちにされたことだってある。チーム加入時の「面接」も顔を合わせた機会の一つだ。 「アノネ、」 改めて言いたいことがある。そんな切り出しかただ。
イカゴジラ @pascal_syan
「チーム、入レテクレテ、アリガトデス」 「何かと思えば、それか」 「候補、イッパイ、イタ。選ンデクレテ、スゴク、嬉シカッタノネ」 「それは何よりだ。慣れてきたか?」 「スゴク、リラ~ックス、デキルノネ!楽シイヨ。イイチーム!」 「……何かと不遇だったらしいな?」 「ウ、ウン……」
イカゴジラ @pascal_syan
ヨーコもこれまで、フリーランスとして活動してきた。様々なチームを転々として、居心地のいいところがあれば定着しようとしてきたのだが…… 何かとトラブルに巻き込まれたりして、なかなかそれが叶わなかったのだ。 慣れない地上の世界で、様々な厄介ごとに巻き込まれて、正直とても辛かった。
イカゴジラ @pascal_syan
それでもやってこれたのは、友人サキのおかげである。共に笑い、共に泣ける存在が、どれ程貴重なものか。ヨーコほど理解している人は、そうそういないだろう。 「ワタシ、ヤッパリ、変ワッテル。……慣レテキタ?」 「愚問だな。俺がオクトーを連れている時点で察してほしいものだ」
イカゴジラ @pascal_syan
「アー、……」 やっぱりバレてたか、と言いたげだ。 「安心しろ。言いふらしたりはしないさ」 「助カルデス……」 「やはり、言葉には苦戦するか?」 「チョット、難シイ……ワタシ、オベンキョ、苦手ナノネ」 どちらかというと、実技で点数を稼ぐタイプだ。
イカゴジラ @pascal_syan
「オクトー、トテモ、綺麗ネ。アナタ、教エタ。オクトーカラ、聞イタノネ」 「苦労したぞ、あそこまで仕上げるのは。初めの一年は、今のお前と大差なかった」 「ソーナノ?」 「俺が覚える方が早かったくらいだ」 「?」 きょとんとするヨーコ。
イカゴジラ @pascal_syan
『こういうことだ』 「エッ……」 『まあ、簡単な単語しか分からないが』 『ちょ、ちょ、ちょっと待って。喋れるの!?嘘!?』 『素の口調はそんなものか』 『ひ、人いっぱいいるから、今は控えておきましょう?』 「……お前がそう言うのなら」 「ビ、ビックリスル!ビックリスルノネッ……!」
イカゴジラ @pascal_syan
「こちらのほうが好みだな」 「……ソウ?変ダヨ?」 「そうは思わないな。愛らしくていいじゃないか」 「ア、アイラシ……エエッ?」 「分からないなら翻訳してやろうか?」 「イ、イイノネッッッ!分カッテルネ!!馬鹿にしないでっっっ!」 「ふふ、うまく言えたじゃないか」 「ンンンンン……!」
イカゴジラ @pascal_syan
怒ったような、照れたような顔だ。オクトーもよく、こういう顔をする。オクタリアンというのは、そういう種族なのかもしれない。 「ただいまヨー……コ?」 サキが戻ってきた。ヨーコの顔が赤いのを見て、……何かを察したように、 「……もう一回お手洗いに行くべき?」 「ナンデ!?」
イカゴジラ @pascal_syan
「逃げるな。友人を助けてやれ」 「やっぱりイジってたんですか!?やめてください!ヨーコは照れ屋さんなんですよ!そこがかわいいんですけど」 「ほう」 「サキ、ドッチノ味方!?」 「いつだってヨーコの味方だよ」 「今ノ、ソウ見エナイノネーーーッ!!」 ぽかぽかとサキのお腹のあたりを叩く。
イカゴジラ @pascal_syan
「あと一試合で空きが、」 オクトーが帰ってきた。 三人の様子を見て、一瞬だけ黙る。 「……できるそうですが」 「そうか」 シグルイは立ち上がった。 「準備するとしようか」 「……ウン……」 「そうですね!」
イカゴジラ @pascal_syan
「……あの男は、相変わらずね」 四人の一連の騒ぎを、遠巻きに見つめる影が二つ。 「まあ~、仲良しそうで。妬いちゃいますね」 「くだらない。茶番など、勝利には必要ないわ」 「あれま。相変わらずお厳しいこと。お誘いを蹴られたの、まだ根に持ってるんですか?」
イカゴジラ @pascal_syan
「その減らず口を閉じなさい。あれは、必ず取り戻すわ」 「いやあ、無理でしょう。だってもう、申請出しちゃったみたいですよ?」 「そんなもの、いくらでもねじ曲げられるわ」 「おお怖い、おカネと権力ってやつは」 「最強になるために、必要なことよ」
イカゴジラ @pascal_syan
「そんなに欲しいものですか?最強の称号って……」 「黙りなさい。……もうすぐ試合よ。準備をしなくては」 「はいはい、分かりました。さて、お相手はどんな、」 踵を返す直前、 「……やだなあ。お相手さん、私たちに気づいてますよ?目が合っちゃいました」
イカゴジラ @pascal_syan
にやにやと囃すように、 「ご挨拶してきましょうか?」 「放っておきなさい」 「いいんですか?」 「報復は試合で、と決めているわ。余計な手出しはしないで」 「お嬢様がそう言うなら、そうしますけど」
イカゴジラ @pascal_syan
チーム・サキモリ。サイキョー杯優勝候補チームのひとつである。 リーダーの名はアヤメ。一流企業の社長令嬢だ。全員揃いの特注ギアを纏うことで有名。 「えーっ!」 ロビーのモニターで、次の試合の対戦カードを見たサキが叫ぶ。 「次の対戦、チームサキモリが出るって!」
イカゴジラ @pascal_syan
「ワオ!スゴイノネー」 「見たかったなあ。でも、次試合だし……」 「録画、シテルノネ。後デ一緒、見ル?」 「ありがと~、助かるわ~!」 呑気な女子組に対して。 「やはり来ていたか」 「王者派ですね。……なるべく当たりたくないものです」 「…………」 無言。否定はしないようだ。
イカゴジラ @pascal_syan
「ブキ、どうしましょう?」 サキが相談を投げ掛ける。 「さっきと同じにしますか?」 「いや……変えたほうがいいかもしれないな。サイキョー杯に向けて、持ちブキでのチームワークも確認しておきたい」 「わかりました!じゃあ銀モデで行きます!」 サキ、即決。
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