- pokke_yamada
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図書館でたまたま読んだ『魂の殺害者』という心理学書、難しくてだいぶ斜め読みなんだけど最近読んだ本でいちばん怖かったのでメモします フロイトの精神分析で取り上げられて有名になったダニエル・シュレーバー裁判官の症例を筆者が別の角度から論じていく本なんですが
2019-09-09 18:58:25シュレーバーは1891年41歳で統合失調症を発症して、妄想や神秘体験を詳細に綴った回想録をのこした 妄想の内容はおもに迫害体験「いつも神の光線にさらされている」「体の一部が突然暑く(冷たく)なる」「脱男性化される」など多岐にわたっている
2019-09-09 19:06:14フロイト分析で(ざっくりいうと)「同性愛傾向を抑圧した結果」としたんだけど、ここに筆者が待ったをかける というのはシュレーバーの父は著名な教育者で、膨大な育児書を残した人物だった にもかかわらず次男シュレーバーは発狂、ちなみに長男は若くしてピストル自殺で亡くなっている…
2019-09-09 19:10:00やばいのでは?と教育書を読み解くとおぞましいといっていい内容で 基本思想としては子どもは下等なので悪の芽を徹底的に摘み取るべき、生まれてから二十歳までは監視下におき父は家庭内の神とならねばならない、親に完全服従をしつつ服従を自ら望むようになってこそ子どもは自由を獲得する…など
2019-09-09 19:14:39実践法も虐待に近く、理不尽な命令でも背いたら叱れとか、姿勢矯正具で座る時や寝る時に縛ったり、体は状況に応じて冷水または熱湯で洗えとか、それらの「教育法」がシュレーバーの幻覚症状と驚くほどリンクしていることを筆者は暴いていく
2019-09-09 19:19:03父は「愛の光線によって子どもを貫き通せ」と書き息子は「神の光線が私を貫く」と苦痛を訴える、でも父を敬うことをインプットされ続けてるので父=神の構図に息子は気づかないまま亡くなるんですよね そしてフロイトも父の著作群には一切触れない、なんでなのか?と疑問が湧くんだけれど
2019-09-09 19:21:48当時ドイツではこの教育法が普通に受け入れられていたらしい そして最後にヒトラー『わが闘争』を引用してみると、為政者対大衆についてグロテスクなほど似通った構図で語られていて、つまりこの家父長制を地獄の釜で煮詰めたような時代精神がミクロ的にもマクロ的にも共同体を支配していたという…
2019-09-09 19:28:11そして世界史的に何が起こったかは知っての通りです 最後の『わが闘争』のくだりとかウワーッとなってしまった 訳者あとがきの一文「本書に描かれているのは、愛と尊敬と信頼と感謝で結ばれていたある親と子の物語である」が怖すぎる 長くなったけどメモはおしまいです
2019-09-09 19:32:22急にRTされだした 私の理解力のせいで当時のドイツ怖!という単純な印象にまとめてしまったので一応補足をくっつけます twitter.com/hachimoto8/sta…
2019-09-14 00:01:26補足:本書のサブタイトルは「教育における愛という名の迫害」 我々が今信じている愛も迫害かもしれないがそれを見抜くことはとても難しい、と書かれていてそうだなあと思った あと当時これらの思想に真っ向から反対したのが幼児教育の祖にして幼稚園(Kindergarten)を開いたフレーベルだそうです
2019-09-09 19:39:13@hachimoto8 現代では多動症とか難読症などの子どもたちに同様なことが行われています。つまり親が他の子供と違うということを受け入れられず、塾に通わせたり野外活動を強制したりしています。もっとも遊びが必要な年代の時間を親が奪うということは犯罪に匹敵するでしょう。
2019-09-14 01:13:24