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和合亮一 @wago2828
詩の礫 決着 和合亮一
和合亮一 @wago2828
私は精神と肉体の独房で、精神と肉体に冷たい汗を滴らせている。
和合亮一 @wago2828
俺は精神と肉体の独房で、精神と肉体に煮えたぎる汗を滴らせている、時を、魂を、髪まで切り刻もう。
和合亮一 @wago2828
俺の精神と肉体の独房には、無数の船が飛び込んでくる、飛び込んでくる。
和合亮一 @wago2828
俺の精神と肉体の独房で、無数の馬が跳ね上がる、余震。
和合亮一 @wago2828
俺の精神と肉体の独房で、暗がりにつながれた馬のたてがみを、撫で上げることをせよ、人類よ。
和合亮一 @wago2828
ある日、そぼ降る雨、蛙の声が耳に届き、季節の移り変わりを宣言される、私は窓の外に、初夏の風を想う、窓は絶対に開けない。 
和合亮一 @wago2828
僕、走っている、走っている、風と土と草いきれを吸い、少年の僕は、走っている、いい感じだ、野を駆け抜けるとは心地良いことだ、雲の影。
和合亮一 @wago2828
3.11から、一度も窓を開けていない私の書斎は、その記憶のままだ。無数の馬が通り抜ける。
和合亮一 @wago2828
僕は、走っている、走っている、息継ぎは苦しいけれど、駆け抜けている、この感触、世界を追いかけて、そして世界が少年の僕を追いかけてくる、雲の影。
和合亮一 @wago2828
私は3.11以降、震災にまつわる新聞や雑誌を集めて、少しずつ切り抜きをしているが、切り抜きをしても追いつかないのだ、紙とハサミとの間で、震災が繰り返されているから、冷たい汗。
和合亮一 @wago2828
1000年に一度の3.11よ、冷たい汗。
和合亮一 @wago2828
私は風呂に入ると、泣きながらお湯に浸かったあの日の夜を思い起こす。涙があふれてくるのだ。1000年に一度の3.11よ、冷たい汗。
和合亮一 @wago2828
津波の後を眺めながら、相馬の浜を走っていた。船が陸に上がり横倒しになって、瓦礫が積み上がっているところから、恰幅のいい男性が、拳でぼろぼろとこぼれる涙を拭きながら歩いてきた…。
和合亮一 @wago2828
何を失ったのか、流されてしまったのか、分からないけれど…、これまでたくさん人生を生きてきて、拳で拭わなくちゃならない悲しみを、今まで予想してきたことがあったのだろうか、そう思った。… そう語り、ある日、Aさんは泣いた。 
和合亮一 @wago2828
私は髪を洗う、私も泣くしかない。避難している人々は慌てずに落ち着いて、福島の山間を抜けて下さい…、そんなラジオ放送を聞きながら、お風呂に入ったっけ…、浴室はあれから一度も、窓を開けていない。
和合亮一 @wago2828
水に浮かんだ畳の上に、ご老人が座っていた。消防団の人が、それを見つけて、ロープを投げた、必死の救出が始まったが、悲しくも水の上でしだいに彼は力を奪われていった…。
和合亮一 @wago2828
彼は、「立派な、いわきを作ってくれ」と叫んで、手を離して、まもなく海に沈んでいった…、助けられなかった、消防団の人々はみな、悔しくて泣きじゃくった。…それを教えてくれながら、ある日、Oさんは泣いた。
和合亮一 @wago2828
私は髪を洗う、私も泣くしかない。浴室はあれから一度も、窓を開けていない。
和合亮一 @wago2828
富岡町のある人は、2時間の帰宅を許された。久しぶりの家の中に入って、その人はずっと、あることをしていました。何をしていたのか、分かりますか? とOさんは私に聞いた。
和合亮一 @wago2828
ただ家の中で2時間、泣いていただけ…、だったそうです。
和合亮一 @wago2828
そしてその方は、何も持たないで家から、帰ってきたそうです。Oさんは、その方に、このように話したそうだ。「泣くために家に帰ったんだ…、と思えばいいじゃないですか。」
和合亮一 @wago2828
私は背中を洗う、私も泣くしかない、浴室はあれから一度も窓を開けていない。体全身が涙になっていく…、みたいだ。
和合亮一 @wago2828
僕、走っている、走っている、野を駆けていくと、風景が優しくなる、空が歌ってくれる、風が手をつないでくれる、少年の僕は福島の風と土がとてつもなく好きだ、走る、走る。
和合亮一 @wago2828
お風呂には依然として、震災が溜まっている。そろそろと熱くなったから、私は湯から上がりたい、浴室はあれから一度も窓を開けていない。震災でずぶ濡れだ。
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