茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2344回「絵を描くメンデルスゾーン、日本画家の岸田劉生、画家の夏目漱石」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２３４４回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以前、どこかに行ったときに、作曲家のメンデルスゾーンの水彩画がいっぱい展示されていて、なかなかうまかった。メンデルスゾーンの曲はいろいろと知られているけれども、絵を描いているとは知らなかった。画家としても、大したものだと思った。

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しかし、メンデルスゾーンと言えば作曲家、というイメージが強すぎるので、画家としてのメンデルスゾーンという情報を私たちはなかなか処理しきれずに、結局、メンデルスゾーンは作曲家でその「副業」として画家をやっていた、くらいにしか思えないでいる。

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今、東京ステーションギャラリーで行われている岸田劉生の展覧会でも、もちろん麗子像や切通はあるのだけれども、一時期劉生は日本画家になっていて、ぼくは全く知らなかったんだけど、普通の日本画の軸がたくさんかかっていた。でも、そのような劉生をなかなか受け止められない。

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同じ絵画というジャンルの中でさえ、油絵を描いている岸田劉生というイメージが強すぎるので、日本画の岸田劉生がなかなか受け止められない。これは、本人の問題というよりも、それを受け止め、認知する私たち自身の問題だと感じる。

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夏目漱石は、小説家としてはもちろん偉大だが、同時に絵も描いていて、たしか、いつかは人を感動させる絵を描きたい、みたいな野心も持っていたのではないか。だけど、画家としての評価はほとんどされず、せいぜい手すさびくらいに見られているのは気の毒である。

茂木健一郎 @kenichiromogi

人間というのは本来複雑なもので、さまざまな要素を持っている。しかし社会の側は案外怠惰で、ひとつのイメージである人をとらえるとそれで流通してしまう。それは社会の問題であって、その人の問題ではない。ネット社会になって情報流通量が増えてもこの傾向が変わらないのは、なぜなのだろう。

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以上、連続ツイート２３４４回「絵を描くメンデルスゾーン、日本画家の岸田劉生、画家の夏目漱石」をテーマに７つのツイートをお届けしました。