ぱすイカ二次創作21
- pascal_syan
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いよいよやってきた、サイキョー杯の決勝戦。ついに、ハイカラスクエア最強のチームが決まるのだ。 スクエアは、今までにないほどの熱狂に包まれていた。 勝つのは、無銘か、サキモリか。 人々はその話題で持ちきりだ。
2019-09-25 10:19:40「いよいよこの時がやってきたわ」 決勝戦の舞台、その控え室で、サキモリの面々は、緊張感に包まれていた。 「お父様の悲願を果たすため……全力を尽くしなさい。敗北は許されないわ」 「はーい」 返ってきたのは間の抜けた返事だけ。双子は相変わらず何も話さない。
2019-09-25 10:24:23「まあ、負ける気はしないですね。ちゃんと戦えれば」 頭の後ろで手を組みながら、クライスは笑う。 「油断はしないことね」 「それを言うならお嬢様もですよ」 アヤメは何も答えない。 「何が起こるか分かりませんからねえ、世の中って」
2019-09-25 10:28:40「ついにこの時がきた」 一方、シグルイたちの控え室にも、緊張感が満たされていた。 「もう、…もう決勝なのかあ」 サキはしみじみと語る。 「チーム組んだの、たった一ヶ月前なのに、随分一緒にいる気分……」 「ワタシも、なのね」 ヨーコも同意する。
2019-09-25 10:32:24「俺も、初めてのチーム編成でここまでいくとは思っていなかったな。……世の中は広い。星の数ほど人材はあるが……」 シグルイは目を閉じる。 「お前たちのような者に出会うために、今まで生きてきたのかもしれない」 「シグルイさん……」
2019-09-25 10:34:41少しだけうるっときてしまったが。 「こ、この先は、試合終わってからにしません?」 「そ、そうなのね!感動、後回しなのね……ね……!」 「ふふ、そうだな。全て終えてから、これまでを語り合うとしよう」 全員、同時に立ち上がる。 「行くぞ。勝利へ」 「はいっ!」
2019-09-25 10:37:17『いよいよ、いよいよやってまいりました!今宵、ついに!ハイカラスクエアの頂点が決まりますッ!サイキョー杯決勝戦の舞台に立つは、チーム・サキモリと、チーム・無銘です!』 フィールドは、アジフライスタジアム。普段はバスケットボールの試合が行われているが、今日は貸し切りだ。
2019-09-25 10:57:41スタジアムとあって、観客席の規模はこれまでよりも大きい。その全てに、この記念すべき戦いを見に来た観客が座っていた。座りきれず立ち見をする観客までいる。 『本日はここ、アジフライスタジアムよりお送りいたします!すごい熱気です!スクエア史上最大と言っても過言ではないでしょう!!』
2019-09-25 10:59:32リスポーン地点に、それぞれ降り立つ。 『それでは、各チームの意気込みを!まずはチーム・サキモリから……』 「必要ないわ」 『え、ええ……?』 あからさまに困惑するアナウンス。無理もない。 『で、では、チーム・無銘は……』
2019-09-25 11:12:29「必要ないな」 『そ、そんなぁ……』 「言葉を交わさずとも、戦いぶりで示してみせよう。本当の最強は誰かを……!」 歓声が響き渡る。 『あ、ありがとうございましたっ!なんという自信と気迫ッ!ご覧ください、この会場の盛り上がりっぷり!!』
2019-09-25 11:15:57「ああいうパフォーマンスが、みんなの理想の強者ってやつですよ。お嬢様も見習ったらどうです?」 「結構よ」 「そうですかぁ。まあ、お嬢様のやり方も嫌いじゃないですよ」 「黙りなさい」 「はいはーい」
2019-09-25 11:17:43『この決勝の舞台をさらに盛り上げようと、本日はこのお二人をお呼びしています!もう見慣れた顔ですが……テンタクルズの登場ですっ!!』 特設ステージに、スポットライトが当たる。ヒメとイイダが照らされ、会場はより一層沸き上がる。
2019-09-25 11:21:13「みんなーーーっ!イカしてるかーーーーーっ!!!」 イカしてるー!! 「アジフライスタジアムから、テンタクルズが決勝の様子をお送りしますっ!」 イエーイ!! 「せっかくの決勝だからよ!アタシたちもスペシャルゲストを呼んできたぜ!」 だれだれーー??
2019-09-25 11:23:54『え、え?待ってください、そんな予定はどこにも……』 スピーカーの向こう側から、スタッフの騒ぎ声が。今までにない慌てっぷりに、会場は少しだけ困惑する。 「それじゃー呼ぶよ!」 『ど、どなたをですかっ?』 「今大会の主催者、ゲンイチロウさんですっ!!」
2019-09-25 11:27:21イイダの宣言と同時、ライブステージの上に、ゲンイチロウが立った。 「な……爺さん、何を……!?」 シグルイが動揺する。彼にとっても、祖父の登場は想定外だったようだ。 「じゃ、じーさん!挨拶よろしく!」 ヒメがゲンイチロウにマイクを渡す。
2019-09-25 11:30:37「お集まりの諸君!」 腹の底に響くような、力強い声。 「今日のこの日、この時を、儂はずっと待ち焦がれていた!今宵、ついにハイカラスクエア最強のチームが決まる、この記念すべき瞬間を!」 観客が歓声をあげようとするが。 「…だが、この素晴らしい舞台を汚す、不届き者がいるのだッ!」
2019-09-25 11:33:31歓声から、ざわつきへ姿を変える。 「皆も気づいていただろう。この大会の……いや、この大会以前からも、輝かしい戦いの舞台の裏で暗躍する影の存在に……!」 皆の視線は、ごく、ごく自然に、チーム・サキモリのほうを向く。 「……何を……」 アヤメの険しい表情。
2019-09-25 11:36:44「言い逃れはさせねーからな!」 ヒメが叫ぶ。片手でイイダに合図を送る。イイダはそれを受け、何やら機械を操作した。 フィールド中央上部の、巨大な四面モニターに、とある人物のビデオ映像が映し出された。
2019-09-25 11:39:10「私が、やりました……」 その男は、泣き腫らしたような顔で、カメラに向かって吐露していた。 「チーム・サキモリの……製薬会社ファーマシーの命令で、毒性のあるインクの開発に携わりました……証拠は、すべて、お出しします……お願いします、どうか、どうか……」
2019-09-25 11:43:39モニターに、何らかの文書が続々と表示される。 「チーム・サキモリをはじめ、全206チームが、この毒インクを使用していたことが判明した!」 「体調不良がやたら多かったのは、こいつのせいだったってことだよな?」 「いかにも。この男はその開発に携わった者だ」
2019-09-25 11:59:08「なんで……」 アヤメは、絞り出すように呟く。 どうして、こんな映像が、彼らの手にあるのか。お父様が手を回しているはずではなかったのか。 「家族を人質に取るなんて卑怯だぞ!ま、あたしのパパがみんな助けたけどな!」 ヒメは得意げに言い放つ。
2019-09-25 15:09:58「この件以外の証拠も出揃ってます!」 モニターに次々と映し出されていく。その中にはもちろん、スキッパーズの一件も含まれていた。 「徹夜でハッキングするの大変でしたが、間に合ってよかったです……!」 イイダの目の下には、確かにクマのようなものが。彼女がやってくれたらしい。
2019-09-25 15:14:48「お嬢さん方の協力には、大変感謝しておる。決め手に欠けていたからな」 「気にすんなよじーさん!……アタシたちの大切なダチがひどい目に遭ったんだ、仕返ししなきゃ気が済まねーだろ?」 「センパイの言う通りです!観念してください、サキモリのみなさん!」
2019-09-25 15:17:36サキモリの最大の失敗は、テンタクルズの友人・ハチに手を出してしまったことだ。豊富な財力を持つヒメ一家と、凄腕の技術者イイダ……そこに、ゲンイチロウを始めとしたシグルイ一派の力が加わり、決定打となってしまったのだ。
2019-09-25 15:19:36サキモリの背後から、大勢のスタッフが駆け寄る。 メンバーが持つブキを回収していこうとする。 「や、やめなさい!なにを…!?」 「お嬢様〜、抵抗しないほうがいいんじゃないですか?どうしようもないですよ、これ?」 クライスは素直にブキを受け渡したようだ。
2019-09-25 15:21:29