五味馨さんの環境と経済活動に関するためになる話

恐らくは、例の国連演説を受けて環境学者として、どう捉えるか、そして現実としてどう取り組むべきなのか…そんな視点だと思います。
397
五味馨 @keigomi29

話を現実に戻すと、実際には世代は重複しているので現実の旧世代である現在の大人たちも気候変動の被害を受けますが、最近生まれてきた人たちのほうが、より気候変動が進んだ時代により長く生きることになり、そのぶんだけ沢山害を被ることになります。親世代の大人たちが死んだ後にも。

2019-09-26 17:49:38
五味馨 @keigomi29

また新世代には未だ政治的・社会的・技術的な力があまりなく、様々な対策を実行できません。GHG排出に係る様々な行動をとり、社会をそのように変革することが出来るのは、現に政治にかかわり、指導的地位にあって社会を動かし、技術を開発し普及させることの出来る、現在の大人たちです。

2019-09-26 17:49:39
五味馨 @keigomi29

(余談:実は私自身、若い頃は上記の新世代側の立場で大人に噛みついていられていたのですが、そうこう言っているうちに自分が噛みつかれる側になってしまったのでこうして環境研究をしたり温暖化問題の解説を書いたりしているわけですね)

2019-09-26 17:49:39
五味馨 @keigomi29

このような事実と構造から考えて、世代間衡平の観点から、少なくともこの瞬間において、新世代には旧世代に行動を要求する資格があると私は思います。ただいずれにせよ新世代もいずれ噛みつかれる側になるということは覚えておいてよいでしょう。次はこれらと派生して「地域」です。

2019-09-26 17:49:39
五味馨 @keigomi29

(余談:なお、この事例について背後の大人が子供を利用して云々が気に入らないという気持ちは分かります。一方当人の人生にとって良くない云々は、そうかもしれませんが、ぶっちゃけ余計なお世話でしょう。そう言ってる他人は別に何もしてくれないんだし。)

2019-09-26 17:49:40
五味馨 @keigomi29

地域間の公平性は「地球」環境問題にとって重要な要素です。さきほどの新世代がいわゆる発展途上国、旧世代がいわゆる先進国で、典型的にはアメリカのような先進国がこれまでばんばか石油を燃やして経済発展を享受したのに、より貧しい他の国(インドとか)にはこれをさせないという話はおかしい。

2019-09-26 17:49:40
五味馨 @keigomi29

これは気候変動問題が国際政治の議題になった当初からずっと論点で、激しい交渉が行われてきました。これに対する現在の方向は、発展途上国が経済成長とGHG排出の抑制を両立させられるように先進国は資金と技術を提供せよ、というものです。なんとなく筋は通っていそうです。

2019-09-26 17:49:41
五味馨 @keigomi29

実際それでよいのですが先進国(もちろん日本も)はそんなに気前よくお金を出さないので理想的な状態には遠いように思えます。とはいえ何もしていないわけではなく、例えば中国は風力発電の累積導入量で世界一です。インドも再エネに積極的です。これも先と同様、技術的な解決策はあります。

2019-09-26 17:49:42
五味馨 @keigomi29

もう一点地域に関して言うと、国ごとのGHG排出量という問題があります。現在世界一は中国で、一国で世界の3割くらいを排出しています。中国の人口は世界の2割くらい。ということは、一人当たりにすると中国は世界平均よりも多いのですね。なのでもはや「噛みつかれる」側です。

2019-09-26 17:49:42
五味馨 @keigomi29

一方いわゆる先進国でも、件の人物の出身国であるスウェーデンの排出量は削減が進んで中国よりも少ないです。日本は横ばいでまだ中国より少し多い。アメリカは一人当たりでは中国の2倍以上です。wikipediaにもまとまっているので見てみてください。 en.wikipedia.org/wiki/List_of_c…

2019-09-26 17:49:43
五味馨 @keigomi29

一国全体の排出量だけを問題にすると(スウェーデンのような)小国は何もしなくていいのか?ということになりますが、それは駄目です。大国が小国に分裂したら誰も何もしなくていいことになってしまうでしょう。総排出量と一人当たりと両方見ておくことが必要です。また国によって環境も違います。

2019-09-26 17:49:43
五味馨 @keigomi29

ところでスウェーデンの一人当たり排出量は5トンちょっとで日本の半分くらいです。寒い国で燃料消費多そうなのに少ないですね。この大きな理由は電力からの排出が極めて少ないこと。同国は水力40%、原子力40%、残りのほとんどは風力やバイオマス。原子力はともかく、水力が多いですね。

2019-09-26 17:49:43
五味馨 @keigomi29

これは日本よりも広い国土に1千万人くらいしか人が住んでいないから出来ることです。日本も人口が1千万人であれば(計算上は)水力でほとんど賄えます。スウェーデンの排出量が少ないのは良いことですが、だから日本も同程度の努力で排出削減できるはず、とは言えません。

2019-09-26 17:49:44
五味馨 @keigomi29

後述すると言っていた温暖化以外の問題についても言及しておきましょう。温暖化への対策は他の問題の改善にも貢献することがあります。例えば電気自動車が普及すれば大気汚染は緩和されます。一方で他の問題を悪化させる可能性もあります。バイオ燃料の生産は食料と競合します。

2019-09-26 17:56:38
五味馨 @keigomi29

貧困、飢餓、健康、衛生、ジェンダーといった基礎的な問題から、雇用、技術、都市環境、海洋と陸上の生物の保全、そして平和など、幅広い課題を私たちの世界は抱えており、これらを全て改善解決したいですよね。そのために国際社会が辿り着いたのがSDGsです。

2019-09-26 17:56:38
五味馨 @keigomi29

ご存知の方も多いでしょう。sustainable development goals、日本語では持続可能な開発目標。上記のような多分野について17の大きな目標を提示しています。これらをぜんぶ、達成したいというのが理念です。国連を通じ国際社会で共有されており、気候変動対策もその中のひとつ。

2019-09-26 17:56:38
五味馨 @keigomi29

リンク張っておきます。他の分野に悪さをしないように気候変動対策も進めようという枠組みです。とはいえ具体はこれから。 unic.or.jp/activities/eco…

2019-09-26 17:56:39
五味馨 @keigomi29

最後に。地球温暖化問題は、地球というだけあって世界中の国々・人々の理解が衝突し、影響が長期的でタイムラグがあり、原因者と被害者が空間的時間的にずれ、これまでの経済発展を駆動してきたエネルギー源の転換を迫り、しかしほとんどの国が一致して行動しなければ解決できません。

2019-09-26 17:56:39
五味馨 @keigomi29

こうした大規模複雑で困難な問題には多方面から取り組む必要があります。政治家、行政担当者、国際組織、市民団体、技術企業、金融機関、教育機関など、様々な役割を分担してこのややこしい問題に取り組んでおり、立場は違えどそれぞれの持ち場を守る方々に敬意を表するものです。

2019-09-26 17:56:39
五味馨 @keigomi29

私は研究者なので研究者としての役割を、すなわち、学問の道具を使って問題を客観的に調べ、分析し、解決策を検討し、検証可能な形でその情報を提供することを目指しています。私たちの世代が解決すべき大問題の一端を担うことに責任感と誇りをもってこれからも取り組んでいきたいと思います。(了)

2019-09-26 17:56:40