怖ろしい「収容所」の実態 - 西日本入管センター

ぼん @Bong_Lee

「体調はどう？」「お腹がいたい」（Iさんは日本語がまだあまり上手でないので、英語まじり）「どこが？」「全部。ひどい便秘なんだ。週に一度もうんこが出ない。眠れないし、つらい」「病院へは？」「いや、何をどうすればいいのかわからなくて、日本語もよくわからないし、なんとなくもらった薬を」

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「それじゃダメ。ちゃんと申請して」「うん。仲間に教えてもらって何とかやりはじめたよ」「薬は効いている？」「全然。やっぱりうんこが出ないし、出ても真っ黒。食欲もない。バナナだけ、何とか食べられるけど、あまり出てこないし。ここに収容されて15キロ痩せた」

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Dさんは耳が悪い。「耳鳴りが二ヶ月もやまないんだ。寝られないんだ」耳をおさえる仕草をする。「薬は？」「ここ、これに書いてある」ジャケットからノートを取り出すと、びっしりと書かれてあったが、ビルマ語でほとんど読み取れな。薬名だけが日本語だった。

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プレドニン、センノサイド、メコバラミン。「これだけ？」「後はハルシオンとバファリン」収容者のほとんどは、体調を訴えても睡眠薬とバファリンで済まされてしまう。重症だと思われた人間だけ、医者をあてがわれ、その中のやはり一部だけが警察病院でわずかな治療を受ける。

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足早に体調についての聞取りを終えると、三人の今までの経緯について聞くことができた。「皆さんは家族は？」「いないよ。あっちだよ。ビルマに置いてきたんだ。俺一人だけでやってきた。みんなそうさ」二人も頷く。ビルマの軍事政権の横暴は、長井さんが殺害されたことを通じて日本でも報道された。

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「村が焼打された。僕は〇〇族なんだ。父はそこで殺された。とにかく逃げなきゃと思って日本にやってきたんだ」物静かなTさんの声は訥々としたもので、世間話をする調子だったが、眼鏡の奥の目は暗い。「NDLは頑張っているけど、今回の選挙もだめだろう。帰ったら殺されるだろうね」

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NDLとはビルマの運動家アウンサンスーチーさん率いる「国民民主連盟」のこと。とても公正な選挙は行われないということで、直近の選挙をボイコットした。NDLは以前の選挙で議席の八割を占めていたが、軍事政権は依然として権力を独占している。

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「でもそれって難民申請当然おりるよね」「おりないよ。いまここに収容されているから」「なぜ？」「日本は難民であることの証拠を求めるんだ。けどここの収容されたままじゃなんにもできないよ。こんなとこに押し込められて何をどう証明するのか？　国は政情不安で帰ることは出来ないというのに」

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それからしばらくランチタイムを知らせる鐘が鳴って面会を切り上げるまで、新首都ネピドーの話題を笑い混じりにかわした。政治、軍事で混乱するビルマという国から焼け出され命からがら海を渡ってやってきた三人は、また狭い収容室へ戻っていった。日本が難民条約を批准してから今年で28年になる。

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面会を終えてロビーへ戻った。収容者たちは今から昼食を取る。センターに食堂はあるが、それは職員専用で、収容者たちの昼食は外注の弁当屋から配達される。量は少なく、髪の毛や虫が入っていることは日常茶飯事であるらしい。健康不良が耐えないのは劣悪な食事も要因として関わっているだろう。

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ところで、面会した人たちは皆思い思いの服を着ていた。収容されたときに着ていた服そのままである。着替は差し入れられた時だけ特別に許される。刑務所で配られる、清潔な「制服」はない。彼らは洗濯も許されず、一部屋に押し込められる。08年まで入浴も許されてはいなかった。

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支援者の方々の調査によると、現在西日本入管センターに収容されている人たちの主な国籍はスリランカ、ウガンダ、ビルマ、ナイジェリア、パキスタン、ネパール…その他であるらしい。半分が貧しさのため、もう半分が母国の政情不安のために日本にやってきた。

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収容されている人々は犯罪の容疑をかけられ、そのために強制送還措置とされている。彼らの渡航費は彼ら自身が払う。在留特別許可などの認可がおりるか、渡航費を支払い国に帰るまで、彼らは延々とこの収容施設に拘束され続ける。

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その容疑とはいわゆるオーバーステイ、不法入国、不法就労など。時には麻薬に関わるなど悪質なものもある。けれど、と支援者の方はいう。「130人あまりの収容者たちの一部しか支援できない。だから優先順位を決める。重篤患者、難民、不法滞在…彼らのどこに罪が？」

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「少なくとも、まともな医療を受ける権利くらいある。刑務所以下の仕打ちがここには待っている。施設の職員の対応も悪い。海外の人は、そして日本人のほとんどが気付いていないが、この国は鎖国をしている。外国人の権利なんて微塵も考えていない」

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日本各地の収容所では毎年、絶望に駆られて自殺者が出る。今年に入ってすでにブラジル人と韓国人の二名が収容所で自殺をした。病死するものもいる。入管センターは過去のいつか、どこかで存在した恐ろしい「収容所」の正しい後継者だと思えた。4月13日。Bong_Lee

ぼん @Bong_Lee

以上です。長々と、まとめずに書いたので文章ひどいところもありますが…あとイニシャル他意図的に変えているところもありますのであしからず。@GenYamaguchiさんはこういうところとずっと戦っていたと思うと、頭が下がります。