- yorishirosama
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ひょんなことから手に入れた、ホコリまみれの骨董品。 気まぐれの手慰みにひたすら磨いてみたところ、魔神を名乗る奇妙な緑色の女が現れた。
2019-10-03 03:12:44その魔神は、3つの願いを叶えてくれるという。 お誂え向きじゃないか。 せいぜい、いい願いを叶えてもらうとしよう――
2019-10-03 03:13:21「――ですが、注意事項が一つだけ」 「なんだ、それは」 「"願いは三つまで"、これだけはルール上変更できかねます」 「……ならば、例えば――"1つ目の願いは、叶える願いを5000兆個にしろ"――とすれば、どうなる?」
2019-10-03 03:13:21「対象となる"願いの数"が変更不可の値となりますので、第1の願いは立ち消えます。あなたの願いの残りは2つとなります」 「……融通の効かない魔神め。他に、禁止事項はないのか?」
2019-10-03 03:14:03「ありません。あなたが望むのなら、死者蘇生でも、横恋慕の略奪愛も、極めて邪悪な無限のパワーでも、あなたは願うことができます」 「……おまえ、本当は悪魔かなんかじゃないのか?」 「そんなものは、あなた達の尺度の問題です。わたしはわたしなのですから」
2019-10-03 03:14:34「そうか、無粋だったな。とっとと願うとしよう」 「でしたら、1つ目の願いをどうぞ」 ――決まっている。 ヒトは"それ"を生み出して以来、尽くその魔力じみた魅力に取り憑かれ続けてきたのだ。
2019-10-03 03:14:54「……まて。一つずつ叶えてみせるのではないのか?」 「わたしは同僚ほど要領がよろしくないので、ひとまとめに3つ全てを叶えるのが精一杯なのです」 「チッ……まあいい、構わん。2つ目の願いだが――」
2019-10-03 03:15:34「はい、どうぞお願いくださいませ」 これも決まっている。 雄々しきもの、素晴らしきもの、それらを討ち滅ぼす、もっとも恐るべき、素晴らしき宝とは何か?
2019-10-03 03:15:55「女だ。この世で最も美しい――少なくとも、この俺の基準でそう感じる女だ。それを我がモノとしたい」 「はい、俗物ですね。受理されました。」 「俗物、結構じゃあないか。だが俺の俗物根性はそんなものではない」
2019-10-03 03:16:19「命――それも永遠に近いそれだ。もちろん不老と健康と、好きなときに死ねる権利もつけてもらう」 「全くもう、欲張りさんですね。嫌いじゃありません。受理されましたよ」
2019-10-03 03:17:08「う……なんだ、視界が――」 急激な眠気、微睡みゆく意識。 水底へと沈みゆくかのように、俺の意識は闇の中へと落ちていく。 ――う……ぁ……
2019-10-03 03:18:21「――はっ!?」 柔らかな日差し、囀る鳥の鳴き声で、俺は穏やかに目覚める。 真白く揺れるカーテンは、穏やかな風を部屋の中へと招き寄せる。
2019-10-03 03:21:19「ここは……?」 見覚えのない、白い部屋。 塵一つ無いほどに磨かれ、見事な調度品に彩られた、あまりに美しく見事な部屋だ。
2019-10-03 03:21:34「おお! これは、つまり――!」 魔神によって叶えられた、富の願いということか。 屋敷まで付いてくるとは、思いのほか気前の良いやつじゃないか。
2019-10-03 03:21:48「声が――妙に、高いな……」 出しなれた渋く低い声ではなく、妙に甲高い、風を引いたような声。 思わず喉に手を伸ばそうとすると、動かした右手は。 その前に、なにか"やわらかいもの"に触れる。
2019-10-03 03:22:27「こ、これは――?」 見れば、己の胸元に、柔らかな二つの膨らみ。 大きすぎず、小さすぎず、手のひらにすっぽりと入るほどの大きさ。 吸い込まれるように手を伸ばすと、その膨らみは、弾力と刺激を以て応えた。
2019-10-03 03:23:13「ぁんっ!!」 脳髄が雷霆に打たれたかのような瞬間の刺激。 それは即ち、一度も味わったことのない"快感"で―― 「……まさかっ!!」 あわてて、"大事なモノ"がある筈の、股の間へと手を伸ばす。 伸ばした腕は空を切り、何一つ掴むことはない。
2019-10-03 03:23:41探し回り、跳ね回る指は、不意に何処かの部位に触れ―― 「ひゃぁあああんっ!!?」 先程の"快感"の、更に強烈なものが、体全てを駆け巡る。
2019-10-03 03:24:07