【インスリンと肥満の大事な話】「日本人で体重100キロ超えるのは才能ないと無理」というツイートに、専門医が解説!【追加その2あり】
どうしてインスリン分泌能に差が出るのでしょうか? 1つの説として、人種間でのこれまで歩んできた食文化の差が上げられます。 欧米の方達の先祖は基本的に狩猟民族であるとされています。 狩猟で食物を得るとなると、いつ食料を得られるか分かりません。
2019-06-29 18:18:16食料を得られた時に蓄えておく必要があるのですが、狩猟で得られた食料はあまり長期保管出来ず、短期間で食べる必要があります。 つまり蓄えておくとすれば自らの体にたくわえるしかないのです。 進化の過程で自らの体に栄養を蓄えておけるように太れる力を得た可能性があります。
2019-06-29 18:18:16対して、アジアの人達はどうでしょう。 アジアでは古くから稲作文化があります。米は蓄えることが出来ます。 つまり、アジアの人たちは自らの体に過剰に蓄えることをしなくとも、倉庫に蓄えておけば良かったのです。 進化過程で、太れる力を身につけなくとも済むような食文化を送ってきたのです。
2019-06-29 18:18:17あくまでこういった説があるというだけですが、日本をはじめとするアジア人種はインスリン分泌が弱いのは事実です。 ではインスリン分泌が弱いとどう言ったことが起こるのか。 先日のツイート通り、インスリンは血糖値を下げ、細胞に栄養を送るものです。 twitter.com/nksensei_endo/…
2019-06-29 18:18:17これを全身の細胞の視点から見てみましょう。 糖は決して消えてなくなる存在ではないのです。 インスリンが作用した糖質は血液中から消えて無くなるのでは無く、血液中から全身の細胞内へ移行して血糖値を下げているのです。
2019-06-27 18:17:04つまりインスリンが足りないと、血糖値は上がり、細胞は栄養を貰えずやせ細るわけです。 一般的には太っている人の方が糖尿病になりやすいと思われています。 それも正しい部分もあるのですが(後述します)、太れる力を持っていない方の方が糖尿病のリスクは高いのではないか、と言えます。
2019-06-29 18:18:18余談ですが、糖尿病になった方は皆さん食べる量を減らさないと、と言われます。 食べ過ぎてる人に関してはその通りです。 しかし、中にはインスリンが足りないだけで、食事量は問題ない方もいます。 その場合、食事を減らす治療は不適格です。
2019-06-29 18:18:18純粋にインスリンが足りないことが理由で血糖値が上がっている方が、食事を減らすと、栄養もインスリンも足りていない状況に陥りますます痩せていきます。 そういった方の場合は、適正な栄養量を摂取し、それに見合うインスリンを体外から補っていく必要があるのです。
2019-06-29 18:18:19では、太ることと血糖上昇の関連はどうか。 太ると全身の脂肪の細胞が大きく膨れます。 この、大型化した脂肪細胞が問題なのです。 大型化した脂肪細胞はインスリンの働きを妨げる物質を分泌します。 こうしてインスリンが効きにくくなることをインスリン抵抗性と言います。
2019-06-29 18:18:19太る ↓ インスリンが効きにくくなる(抵抗性) ↓ もっと沢山のインスリンが必要 となるわけです。 この時に、「もっと沢山」必要になったインスリンを作り切れれば血糖値は上がらず、糖尿病は発症しません。
2019-06-29 18:18:20ただし、 ・欧米人の場合 太る ↓ インスリン効きにくくなる ↓ もっと沢山インスリン作る ↓ もっと太る が可能なのですが、 ・日本人の場合 太る ↓ インスリン効きにくくなる ↓ 効きを量でカバーするほど作れない ↓ 糖尿病発症 というケースが多いのです。
2019-06-29 18:18:20なので、欧米人だったらすごく大きな体格でも糖尿病発症していないのに、 日本人の場合、小太りでも糖尿病になってしまう、 もしくは、小太りまでもいく前に糖尿病を発症するケースが多いのです。 前述の通り、日本人の膵臓のインスリン分泌能は元々欧米人に比べ弱いです。
2019-06-29 18:18:21体脂肪が増えることにより、インスリンが効きにくくなって、効きを量で代償しなければいけない状態になると、現時点では大丈夫でも、膵臓はオーバーワーク状態でより多くの仕事量を求められ続けることになり、いずれ疲弊し、将来的に糖尿病発症リスクとなり得ます。
2019-06-29 18:18:21ただし、人種差だけでなく個人差や遺伝的要因も大きいので、日本人でも一生太ったままで血糖値も維持出来る方もいます。 この辺りの差は、運動で言えば才能の差だと考えて諦めた方が良いでしょう。 血の繋がった方に糖尿病の方が多い方は今のうちから膵臓に負担をかけないことを考えた方が良いです。
2019-06-29 18:18:22体脂肪を増やさないことはやはり大事です。 その中で特に大事なのは内臓脂肪です。 皮下脂肪に比べて内臓脂肪は遥かにインスリン抵抗性を引き起こします。 また、先日のツイート内の、インスリンの初期分泌で追いつかないほどの急激な血糖上昇を避けるのも重要なことです。 twitter.com/nksensei_endo/…
2019-06-29 18:18:22となると、太りにくくするためには、インスリンの分泌が追いつかないような速さで血糖値を上昇させないことが大事です。 そのためには ・ゆっくりよく噛んで食べる ・主食類を後に食べる ことが効果があります。
2019-06-27 18:17:06太れること自体はインスリン分泌能があることの一つの証ではあるのですが、 太ってしまったことは糖尿病発症のリスクになります。 体脂肪量、特に内臓脂肪量は大事なリスク因子です。 メタボリックシンドロームが良くないと言われる理由はそこにあります。
2019-06-29 18:18:23メタボリックシンドロームの診断基準に腹囲が含まれているのは、腹囲径が内臓脂肪量に相関する傾向にあるからです。 体脂肪量まで測定できる体重計をお持ちの方はそちらを参考にして頂ければいいと思いますし、無い方は腹囲を参考にしましょう。 pic.twitter.com/YiruYZUZvS
2019-06-29 18:18:25日本人は元々人種的な差で致し方ないこととは言え、平均的にはインスリン分泌が少なく、糖尿病リスクは高い民族です。 糖尿病は万病の元でありますので、膵臓を労る術を知り、糖尿病発症を予防し、健康寿命を伸ばしていきたいものです。
2019-06-29 18:18:26追加パート2:糖質制限の是非について
@r06UPC1DsQe9C2z すみません、通知がかなり多かった時期なので完全に見落としていたようです。。 現時点で1番科学的根拠として挙げられるのはこちらかなと思います。 thelancet.com/journals/lanpu…
2019-10-28 00:25:18@r06UPC1DsQe9C2z フォローアップ中央値25年間、スタディ参加者数15000人越えと、これ以上のデータはなかなかないかなと思います。 ・炭水化物エネルギー比50~55%が最も死亡率が低い ・ただし、炭水化物比率を減らす場合、植物由来の蛋白源、脂質源で置き換えると死亡率が上がりにくい あたりがポイントかなと。
2019-10-28 00:31:14@r06UPC1DsQe9C2z なので、科学的根拠を持っての、僕の意見としては、 ・炭水化物はエネルギー比率の50~55%を目指す ・植物由来の食材で置き換える場合にはもう少し炭水化物比率下げてもいいかも ・過度に炭水化物制限しない ・動物由来蛋白源、脂質源の摂取や炭水化物摂取比率が増えすぎないようにする を推奨します。
2019-10-28 00:35:11@nkcell_dm_endo @r06UPC1DsQe9C2z こんばんは。ご無沙汰しております。 まとめのメンテがてらツリーをたどっていたら、こちらのリプを発見しました。大変興味深いお話なので、以前作らせて頂いたまとめに組み込めたらと思うのですが、あいにくと話し相手の方が凍結されていて、最初の質問がわかりません。
2020-12-01 21:11:01@nkcell_dm_endo @r06UPC1DsQe9C2z もし、多少でも質問されたことを覚えておいででしたら、教えて頂けませんか?もちろん、お忘れなら仕方ないことですんで、そのときはこのまま収録するかどうか考えてみます。
2020-12-01 21:11:48@CookDrake @r06UPC1DsQe9C2z お久しぶりです。 確か、医師アカウント(を名乗る方)から糖質制限の是非についての意見を求められてのリプだったと思います。 僕の意見としては上記の通りです。
2020-12-02 00:30:30@CookDrake @r06UPC1DsQe9C2z 僕自身は糖質制限を否定するわけではありませんし、しばしばポイントを押さえた糖質制限を指導することもありますし、自分自身も時に糖質制限めいた事をすることもあります。
2020-12-02 00:34:15