日常生活を全てミステリードラマのトリックの実験台にされて育った人 #激レアさん

モミジさんのお母様はミステリー界の女王である山村美紗さん。生み出した作品は450本以上で作品に出てくるトリックはすべて美沙さんが考案。美沙さんにとって「家」はトリックを考え出し、そして試す場所であった。そのためモミジさんは普通の日常生活を送ることなく常にミステリートリックの実験台にされていた。

モミジさんのご実家にはテレビ10台、冷蔵庫10台、FAX10台と尋常じゃない数の家電があった。「家電はミステリーのトリックに使えるでしょ」と、各メーカーのものを全部買い、新しい家電が出ると全て買っていた。トリックは世界中で誰かが先に書いていたら盗作になってしまうため、日本の最新家電を使ったトリックを発売されたらすぐに書いていた。

常に身の回りでトリックのネタを探し求める母の美沙さん、そしてひらめいたトリックを片っ端からモミジさんに試し、実験台にしていく。一番日常生活に影響が出たのが「玄関から自室まで暗証番号だらけ事件」。家の中に母しか知らない暗証番号つきの扉が4つあり、そのうち2つは2階に上がる階段の扉とモミジさんの部屋の扉だったため、帰宅して2つの暗証番号を突破しなければ自室に入れない。

しかも暗証番号はしょっちゅう変更され、帰宅前にモミジさんが「暗証番号教えて」と電話すると美沙さんは「電話は盗聴されているかもしれないから暗号で伝えるわ」とA～Dのアルファベットから1つと、4桁の数字の組み合わせの番号を「パンが高くてケーキを食べるしかないわね」「最近、革命が起こってるらしいわ」という2つのヒントで当てなければならなかった（答えはマリー・アントワネットのAとフランス革命の1789）。ネットですぐ調べられる時代ではなかった当時、美沙さんはタクシーで世界史の年表を買ってきて暗号を解かなければならず、2階に上がる階段の扉で挫折してその場で寝ていたこともあった。