『ある日突然自分の建物を他人がアームヘッドで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?』(活動日報 2001年4月1日)

アームヘッドストーリー「ライン・アイズ」(https://www.pixiv.net/novel/series/488811)の主人公・知念ライカの本編以前のある日の話です。 アームヘッドについてはこちら http://armhead.wiki.fc2.com/
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スリーエーレーベル @3aLABEL

『ある日突然自分の建物を他人がアームヘッドで破壊しても「建造物損壊」にはならないのか?』(活動日報 2001年4月1日)

2019-04-01 09:55:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

「強行取材しかないやろ」 編集長が一番最初にそう言った。パクとブンシリが目を見開いて彼を見た。ライカはセメントの破片を指でなぞり、惨状を把握しようと努めていたが、「そうしましょう」と言った。彼は編集長を信頼していたからだ。オフィスの壁に穴が空いていた。

2019-04-01 10:00:25
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法務部の報告から、あのオフィス、雑居ビルの二階に位置していた[戦時下においてもジャーナリズムを守る会・皇京北事務所]は他人の土地でありしたがってビルの所有権や法的手続きの権利がないことがわかった。「つまり自力救済ですか?」パクは心配そうだ。

2019-04-01 10:05:00
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「警察は戦後のごたごたやら治安維持やらで忙しいんだ、あてにならない」「結論ありきの論って感じだなあ」ライカを連れたブンシリは早足で、肩で風を切り土地所有者の住所へずんずん進む編集長についていくしかない。

2019-04-01 10:10:00
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ドンドンドンドン!「毒蝮や!開けろ!」カシャ!のぞき窓が開き、ピシャ!閉まった。「ライカさん、『鼈組 セールス厳禁』って書いてありますけど」「最近幅を利かせてるとこだな」「地上げっすか?」

2019-04-01 10:15:01
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「戦争反対だぁ」「うっせーぞお前ェら!」編集長の一喝!「「「ハイ!!」」」「……入んな」ドスの利いた声。

2019-04-01 10:20:01
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「正直ウチらもわからねえ」組長の出したタバコに毒蝮編集長が火をつけてやった。「ふむ」「どうも記憶が曖昧なんだ。あの男……いや女だったか?」「書類は?」「この通りだ」編集長は一目それを見て呻き、眉間を押さえた。パク、ブンシリも同様の反応だ。「何です?」「うまく読めへんのや」

2019-04-01 10:20:01
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「最初は老眼かと思ったけど」「認識障害?」「間違いなく"遣い手"ですね」調和能力者の符丁。 「この件、後は"守る会"に預けて頂けやせんか」「編集長」「確かにそれが」「編集長!」「なんやライカ」「音が近づいてる」皆、一斉に立ち上がった。振動。貫通。悲鳴。

2019-04-01 10:25:01
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【あらすじ】〈守る会〉のオフィスが突如破壊された。調査を始めた毒蝮編集長ひきいる強行取材班4人組は、地主であるヤクザの事務所に乗り込む。突撃取材と書類から、彼らは犯人が調和能力者であることを推理する。その時、突如轟音が響き……

2020-04-10 19:00:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

それは単眼の巨人だった。ヴァントーズが現れ、腕を振り上げた。スピーカーから音声が流れる。「俺――ろ」聞き取れなかった。人力車やEVがたった今気づいたように混乱し、逃げ始めた。「俺の弥生を……」毒蝮編集長の声はヤクザビルの崩落音にかき消された!

2020-04-10 19:05:00
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「編集長ーーーっ!」「アレで死ぬ人じゃないでしょ」「一理ある、機体取りに行くぞ」

2020-04-10 19:10:00
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パクは取材バンを発信させたとき、サイドミラーに鼈組が隠し持っていたと思われるヘイジーがヴァントーズに向かっていく光景を見た。「右足首から下腹にかけて見事な龍が巻き付いてますよライカさん」「俺は見えないけど」ヘイジーはレーザークローを回転させた。白昼の市街にモーター音が響く。

2020-04-10 19:15:00
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どこか現実味のないヴァントーズはヘイジーのクローを横に弾き、タックルを仕掛けた。「ゴリゴリのインファイトだ、リズ機らしい」「なんで戦争相手の機体が皇京に……」「さっきの契約書と同じだ!つまり、何らかの認識障害を起こす調和!」

2020-04-10 19:20:00
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ヘイジーは盾で防ぐが、ヴァントーズは二本の剣でガードをこじ開けアームホーンを捩じ込んだ。アームキル。「今の僕たちに出来る事は……」

2020-04-10 19:25:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

「……アガる音楽でも聞きながら一刻も早くアームヘッドに辿りつくことです」一度聴くと頭にこびり付く4つ打ちが流れ出す!交差点をドリフトカーブ!「公道であり得ない横Gがかかった気がしたんだが」「ライカさん喋ってると舌噛みますよ!」急ブレーキ!

2020-04-10 19:30:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

到着!空き地の中心部にあるそれは、見た目は防火水槽を兼ねた貯水槽だが……「B型擬装ですね、今朝依頼したばかりですよ」「機材準備班は仕事が早いね、いくぞ」「「3、2、1!」」パクとブンシリが同時に隠しスイッチを押すと、外装が割れ、窮屈そうに身を寄せる4つの人型戦闘機械が姿を表した。

2020-04-10 19:35:00
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ひと気のないスクランブル交差点がコロセウムだ。「開けた場所に誘導する必要がないのは楽でいい」「初めから狙いは私達でしたからね」

2020-04-10 19:40:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

パクの機体はナックルと追加ブースターを装備した近接格闘仕様。ブンシリの機体は両腕を破壊力抜群の12センチ砲に置換した重砲撃線仕様。「つまりブンシリさんは今回お荷物ってことで…」街を更地にする訳にはいかない。

2020-04-10 19:45:00
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「一つ思いついたぞ」とライカ。「何です」ブンシリは碌なもんじゃないだろうな、という声だった。「盾になれ。あとで焼き肉奢るから」「…寿司が良いです」「あいわかった」

2020-04-10 19:50:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

「じゃあスリートップC1戦術ですかね…」その時!まったく三人の注意の外からドドーザーが出現し、パクの機体を押して遠ざけていった!「認識の隙間にアームヘッド1機まるごと隠していただと!?」調和の応用とすぐさに看破したライカも舌を巻く離れ業!

2020-04-10 19:55:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

「「全周を警戒!」」イービスとHR-5重砲撃戦仕様は即座に背中合わせになった。すると、その必死さをあざ笑うかのように……おもむろに、陽炎をまとったようなヴァントーズが現れた。

2020-04-10 20:00:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

「りゃあっ!」ブンシリが叫び、ほとんど身を投げ出すに近いタックルを繰り出した。回避の隙をすぐさま、「もらった!」イービスが追撃する。しかし、ヴァントーズの反撃に踏みとどまり、ガード。ライカはイービスの目で、攻撃が終わった後に、それが単調な横一線の斬撃であることを理解した。

2020-04-10 20:05:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

敵の攻撃の位置がざっくりとしか掴めない。体全体を守るように防御動作を大きく取らざるを得なかった。(明らかに精神操作だ…)ライカは苦手な相手とマッチしてしまったことを実感する。「こちとら"目の良さ"が売りなんだがな」都市の路上で二機が密着し、押し合いながら交差点を回転する。

2020-04-10 20:10:00
スリーエーレーベル @3aLABEL

イービスの頭部に備え付けられたチェーンガン・タレットが火を吹き、25mm弾の唾吐きを黄色のカメラアイに浴びせかけた。炸裂弾の衝撃でカメラ映像を乱すくらいは出来る。ヴァントーズは右肘でイービスの左腕を制しながら、右の刀で弾丸を防いだ。僅かに力の均衡が崩れる。ライカはそこを突いた!

2020-04-10 20:15:00