めざせコナモンマスター ＃２

劉度 @arther456

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

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【めざせコナモンマスター】＃２

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「一から十までおかしなことになった」コナモンリーグ開会式を終えた提督は、呆然として空を見上げていた。「なんでこんなに盛り上がってるの……」会場は深海棲艦とイタリア人で満員御礼だった。深海棲艦しか来ないと思っていた提督の予想は、完全に外れた。1

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「出資しておいて何を言っているのですか、提督」隣の不知火が冷めた目で見つめてくる。「いや……うん、パフォーマンスかプロパガンダかと思ってたんだよ。まさかここまで本気だなんて思わないじゃん？」せいぜい深海棲艦だけでやるかと思っていたお祭りは、本物の国際大会になっていた。2

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参加したコナモントレーナーは８人。イタリア、アンツィオ海、ナポリ、イギリス、フランス、オランダ、日本、瀬戸内海。更に参加こそしないものの、アメリカ、UAE、スウェーデン、エチオピアといった国々からも観戦客がきている。どうやって深海棲艦とコンタクトをとったのだろうか。3

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「とにかく、第1試合が始まりますよ。準備してください」そう言うと、不知火はトランクからアサルトライフルを取り出し、組み立て始めた。提督も腰のリボルバー拳銃を点検する。最初の試合会場では、武装が推奨されている。「拳銃必須って、どれだけ物騒な場所なんだ……？」4

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第1試合会場、アンツィオ。ローマの南にある港町だ。アンツィオの歴史は古く、起源は古代ローマの都市アンティウムに遡る。この街はローマ皇帝カリギュラやネロの出身地であり、すなわち、相応の格を持った大都市であることが伺える。6

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だが、同時に不穏な伝説もあった。カリギュラやネロと同様に、この街には狂気が宿っていると。果たして、その伝説は事実だったのだろうか。それとも、深海棲艦による占領が土地を変質させたのか。現在のアンツィオは、モンスターが徘徊する魔都へと変貌していた。7

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街の一角では不良深海棲艦が砲を撃ち合い、市場では知性マグロと獣の病に冒された住民が縄張り争いを繰り広げ、水路近くではマックスが深海忌雷に追いかけられ、浮き輪さんが練り歩く暗黒無法港町、それがアンツィオだ。8

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第１試合はコナモン・ロワイヤル。参加者はこのアンツィオで材料を調達し、より多くのコナモンを売らなければならない。料理人のサバイバル力が試される戦いだ。参加者８人の気力は十分。今、魚狩りの夜が始まる――！「まだ朝やぞ」龍驤のツッコミと共に、試合が始まった。9

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「まずは材料を集めんとなあ」龍驤は魚市場へ行った。「ごめんな、タコある？」「タコ？はいよ」漁師らしきインスマウス面の男が深海忌雷を差し出した。「そうそう、この丸っこくてなんかヌメヌメしてて、それでいて肉が締まった忌雷が……ってちゃうわ！」10

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「誰が忌雷を出せ言うたんや！タコや、タコ！」「だからこれがタコだろ？」「ちゃうねん！海に住んでて、丸っこくて」「うん」「骨のない足があって吸盤がついてて」「うん」「茹でてよし、焼いてよし、酢漬けにしてよしな魚や！」「だからこれだろ？」漁師は深海忌雷を差し出した。11

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「機雷食うんか自分！？」「ああ、まあ……」そう言うと、男は包丁を取り出し、忌雷の足を切った。そして、酢をつけて食べた。「いけるぜ。どうだ？」「ええ……」龍驤は差し出された忌雷の足を、恐る恐る口にした。弾力のある食感と、酢の味が口の中に広がる。「タコや……」「だろ？」12

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「『ポルポ・ダルジェント』がたこ焼き用に養殖してる奴だ。そこの海で獲れる」どうやらアンツィオのタコは鉄の殻を被るらしい。「所変われば品変わる、ってかい。ごめんなおっちゃん、怒鳴ったりして」「いいってことよ。買ってくかい？」しかし、龍驤は躊躇した。「うーん……」13

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「ちょっと柔らかすぎるんや。もっと身の締まった奴ない？」養殖物の宿命だろうか。思ったよりも弛んだタコだった。彼女のたこ焼きには、もっと固めのタコが望ましい。「あー、そしたら天然モノだなあ」「いくらするんや？」「売ってねえ」「何！？」「だって、その辺にうろついてるし……」14

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漁師が指差した先には、地面を這っている深海忌雷と、追いかけられるリベッチオがいた。その胸は平坦であった。「アレかあ……」「仕留めるならノコギリ刀か斧がオススメだぞ」「いや、ウチ艦娘やから。艦載機で頑張るわ」龍驤はため息を付きながら、懐から式神の札を取り出した。15

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一方そのころ、他のコナモントレーナーたちも材料集めに奔走していた。「そば粉が……無い！」苦戦しているのは、オランダ代表の港湾夏姫である。どの店に入っても、ボッフェルチェに必要なそば粉が無いのだ。ガレットを作るフランスの水母水姫も、同様に困っていた。17

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「そば粉が無いなんて当たり前だろ！」逆に、隣のガリバルディは早くも材料を集め、料理を作り始めていた。「イタリアのソバ料理なんて、ピッツォッケリぐらいだからな！はい、クレープお待ち！」ホイップクリームたっぷりのクレープを駆逐イ級の口に突っ込んでやる。18

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「さあ、『ポルポ・ダンジェント』のたこ焼き、販売開始よ！みんな、来て来てー！」優勝候補筆頭のヴァリアントも、アンツィオにある本社の力を使って材料を集め終え、たこ焼きを作り始めた。このように、小麦メインのコナモントレーナーは比較的楽に材料を集めていた。19

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「駄目でしょ、このルール」「むう、ウリッセに任せすぎたか」そんなアンツィオの街を歩く深海棲艦が２人。南イタリアの最高権力機関『11人会議』の"将軍"重巡リ級改と"騎士団長"アクィラだ。今は正体を隠して、"重巡のトクさん"と"空母のアキラさん"としてアンツィオの屋台を巡っている。20

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「楽しい祭りになると思ったのだが、これではなあ……」トクさんは残念そうだ。「部下に任せっきりというのも困りものね。あら、あの屋台はやってるみたいよ」その屋台には、黒いバッタの仮面を被った深海棲艦がいた。「お主、何者だ？」「ヲレは瀬戸内海代表、仮面ダイナーテツヲ！」21

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