10周年のSPコンテンツ!
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劉度 @arther456
(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はtogetterまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい)
劉度 @arther456
【めざせコナモンマスター】#3
劉度 @arther456
ナポリ。アンツィオの南東にある都市だ。深海棲艦の占領によって住民の大部分はフィレンツェに避難したものの、逃げられなかった貧困層、そして新たに住み着いた深海棲艦によって、未だに大都市の体裁は保っている。コナモンリーグ2回戦はここで行われる。1
劉度 @arther456
「2回戦はシティバトルです。この街で3日間、コナモンを売ってもらい、売上が多かった2人が決勝に進出します」「今度はちゃんと材料はあるんやろうな?」「はい。イタリアでも指折りのナポリ中央市場がありますから、好きなものを作れますよ」2
劉度 @arther456
前回のような不祥事は無いらしい。実力を発揮できるということで、4人のコナモントレーナーは自ずと気合が入った。「それでは対戦の組み合わせを発表します!」司会がメモを読み上げる。「第1試合!舞台は北ナポリ!ナポリ代表ガリバルディ対日本代表龍驤!」3
劉度 @arther456
「第2試合!舞台は南ナポリ!地中海代表ヴァリアント対仮面ダイナーテツヲ!決勝に進むのは1人ずつ!憧れのコナモンマスターになりたければ、あらゆる手段でコナモンを売れ!ナポリをコナモンで埋め尽くせ!コナモンファイト!レディ……ゴー!」2回戦の火蓋が切って落とされた!4
劉度 @arther456
「よっしゃあ、勝った!」開始1時間で、龍驤は早くも勝利の雄叫びを上げた。彼女が出店した場所は、ナポリで1番大きい駅の前だ。「ここなら人通りも多いし、よく目立つ!さあさあ仕切るでー!」手早く屋台を用意して、龍驤はたこ焼き作りを始めた。6
劉度 @arther456
「おばちゃん、たこ焼きちょうだい!」早速客がやってきた。イギリスの駆逐艦、ジェイナスだ。「誰がおばちゃんや!」「えー、そんな話し方なのに?」「関西弁やぞ!」悪態を付きながらも龍驤はたこ焼きを作り、その上にソースをかけ、最後に青のりとかつお節を乗せた。7
劉度 @arther456
「はいお待ち!500リラな!」「ありがとー!」「はい次ー!」「タコス食いてえ!」「メキシコ料理屋は2つ隣やで!次!」「6個入り紅生姜抜きソース青のりマシマシで」「注文のプロがおるな!?」龍驤の屋台には順調に人が集まっている。この勢いなら負けるはずがない、とこの時までは思っていた。8
劉度 @arther456
異変が起きたのは昼になってからだった。客足が、特に男性客がゴッソリ減った。「どういうことや……?」龍驤は訝しんだ。昼時なら人は増えるはずだ。だが、行き交う人々は龍驤の屋台に見向きもしない。悪い噂でも流されたか、そう思っていると、不意に駅前の街頭テレビが切り替わった。9
劉度 @arther456
《今世紀最大の海戦スペクタクル!『新型爆弾が奪われた』『夫が人質に!?』『世界は我々のものだ……』》映画の宣伝だ。この国の深海棲艦は映画も撮るらしい。《主演・L.d.S.D.d.アブルッツィ!》スクリーンに、ピンク色の髪の女性が映る。「うん?」龍驤はその姿に見覚えがあった。10
劉度 @arther456
《巨艦いまだ沈まず、10月11日ロードショー!》映画のタイトルが映し出される。直後、その画面が切り替わり、ガリバルディが映し出された。そう、龍驤とコナモンバトルを繰り広げているガリバルディだ。《今、ガリバルディのクレープを買えば、抽選でアブルッツィとの握手券をプレゼント!》11
劉度 @arther456
「待てやあああ!?」龍驤は絶叫した。とんでもない宣伝である。「いやおかしいやろ!?あの映画とクレープの何に関係があんねん!」「関係ならあるぞ」隣でたこ焼きを食べていた重巡リ級のトクさんが言った。「何ィ!?」「ガリバルディはアブルッツィの妹だ」衝撃の事実!12
劉度 @arther456
アブルッツィは南イタリア共和国で人気急上昇中の女優深海棲艦である。彼女と握手できるとなれば、相当の男たちがクレープ屋に殺到するのは明白だ。「こんなん……アウェー戦やないか……」早くも先行きが不安になってしまう龍驤であった。13
劉度 @arther456
1日目が終わった。北ナポリではガリバルディが、南ナポリでは仮面ダイナーテツヲが優勢だった。特にガリバルディは、アブルッツィの握手券効果もあり、大勢の男性客が詰めかけた。ガリバルディはこれを見越して、駅前ではなく中央広場に店を構えていたのだ。15
劉度 @arther456
「フッフーン、これだけ買えば十分だろ」帰宅するこのイタリア人男性も、アブルッツィの握手抽選券を買い求めた一人である。両手に余るほど買ったクレープは、1人で食べるには辛い量だが、彼は結婚生活18年目で、妻と娘が2人いる。甘いものが大好きな彼女たちへのプレゼントだ。16
劉度 @arther456
「ママ、娘よ!お父さんが帰ったぞー!」「おかえりー」妻はテレビを、娘はスマホを見ていて、夫には見向きもしない。いつものことなので、夫は気にしない。帰りが遅い日は2人とも寝ていて、冷えた夕食だけがテーブルの上に残されていることもあるので、今日はむしろラッキーな方だ。17
劉度 @arther456
「お土産。クレープ買ってきたぞ。食べるか?」「クレープ?」「あら珍しい」甘いものに2人が顔を上げる。「色々あるぞう。イチゴ、バナナ、ブルーベリー……」「私、イチゴ」「はい。お前はどれにする?」だが、妻はクレープに手を出さなかった。「これ、ガリバルディちゃんのクレープかい?」18
劉度 @arther456
「ああ。今、コナモンリーグでナポリに来てんだよ。こんな時じゃないと食えないだろう?」「アンタねえ、それだったらリュージョーちゃんのたこ焼きも買ってきなさいよ。帰り道にあるでしょう?」「え、ええ?」思わぬ返事だった。その横で娘はイチゴのクレープを食べている。19
劉度 @arther456
「リュージョーちゃんねえ、あんなに小さいのに一人でお店を切り盛りして、たこ焼き屋を頑張ってるのよ?ナポリっ子として応援してあげるのがスジってもんでしょう?」「お、おう……?」「あ、そうだ。これアンタの分のたこ焼きね」夫の前にたこ焼きのパックが差し出された。20
劉度 @arther456
「明日からはアンタも買ってきなさいよ」「いや、でもなあ……」握手抽選券が欲しい夫はモゴモゴとしている。それを妻はピシャリと締めた。「買いなさい!でないと来月からお小遣い減らすわよ」「わーかった!わーかったから!それは勘弁してくれ……」21
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