空気と飛行、重力、デザインについて 原研哉さんと山中俊治さんの対話を中心に

質量と空気抵抗のバランスである「粘性抵抗」が人間と昆虫の飛行の差を決定づける。自然には発露しにくい不安定な数である「4」を人間がデザインに用いるようになったのは、横に対になった身体の部位と重力が水平と垂直を構成するからとも考えられる。
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原研哉 @haraken_tokyo

デザイン演習のマカロニに続く課題は「旅客会社」。アイデンティフィケーションの演習。人を運ぶサービスをする会社をまずは構想する。気球で運ぶ/ラクダのキャラバンでサハラを横断する/お遍路さん随行/ゴムボートで川を下る/超大型旅客機による航空会社など…。そして会社の名前を考える。

2011-05-29 02:01:33
原研哉 @haraken_tokyo

そういえば「空気」と「旅客会社」の交差するあたりを考えて見ると結構面白いかも。どうですかね。原ゼミの「空気」のみなさん。最近は、空気というものが実に、なんというか、ねっとりと質量に富んだものに思われ始めた。

2011-05-29 02:09:06
原研哉 @haraken_tokyo

トンボというのは実に見事な飛び方をする。特にオニヤンマとかギンヤンマとか、大型のトンボは飛翔速度も速いし敏捷だ。空中に静止するのは勿論、いきなり真横に高速で飛ぶ。あの羽の羽ばたきはいったいどうなっているんだろう。

2011-05-29 02:11:50
原研哉 @haraken_tokyo

天空の城ラピュタに出てくる空賊たちが乗っている飛行機の羽はトンボの羽ように動いていたし、そのように飛んでいた。ああいう乗り物ができると、どういう感覚かを頭の中でイメージしてみたが、案外気持ちいい。陸から水中に移動したペンギンような自由さというか。

2011-05-29 02:19:26
原研哉 @haraken_tokyo

蠅・トンボ・蝶・蚊・テントウムシなどは同じ昆虫でも飛び方が随分違う。イカ・鰯・イトマキエイ・タツノオトシゴなどの泳ぎ方それぞれが違うように。

2011-05-29 03:56:50
原研哉 @haraken_tokyo

肺から出てくる呼気に、もし色がついたら、けっこう鬱陶しいことになる。ところで透明ってどういうことだろう。

2011-05-29 03:59:52
原研哉 @haraken_tokyo

確かに羽が小さすぎる気がしますね。 RT @09089122625余談になりますが、蝿はなぜ飛べるのかあまり分かってないらしいですね

2011-05-29 04:04:34
原研哉 @haraken_tokyo

蝶はどうやって羽ばたいているのだろう。あんなに細い体に、あんなに大きな羽が生えていて、ちゃんと自分の行きたいところに飛行できているのだろうか。すごい距離を移動する種もあるらしい。蝶の羽を羽ばたかせているエネルギーって?

2011-05-29 04:28:27
Yosuke Motohashi @YosukeMotohashi

@haraken_tokyo フォロワーです。三谷宏治さん @mitani3 (http://p.tl/UA2_)が「空気はなぜ透明か」を論じてらっしゃっるので時間差で恐縮ですが。記事→ http://p.tl/t_mh 著書→ http://p.tl/WwUf

2011-05-29 11:04:10
原研哉 @haraken_tokyo

ありがとうございます。そうか、空気や水を透明に感じるように、生物の方ができあがってきたのですね。なるほど。だから異星の大気は透明じゃないと。 RT @YosukeMotohashi記事→ http://p.tl/t_mh 著書→ http://p.tl/WwUf

2011-05-29 11:25:27
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

宮崎駿さんの「飛行」の表現には執念を感じます。メーヴェもフラップターも凄かったけど、感動したのは魔女の宅急便の「モップ」の初飛行。キキが気持ちを集中してゆくと、ふわっとリング状のホコリが舞いゆっくりと浮かぶ。魔法なのに「リアル」。@haraken_tokyo

2011-05-29 12:00:52
原研哉 @haraken_tokyo

@Yam_eye 山中さん、新しい飛行方式をぜひ考えてください。昆虫にとって、空気は身体をささえる十分な質量をもった物質なのでしょうが、人間にとっての空気は落下を食い止められない頼りない虚空なのでしょう。何を変えればいいのでしょう。加速とか加密とか。

2011-05-29 12:13:20
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

@haraken_tokyo 物理現象として昆虫と我々の飛行の差を決定づけているのは、粘性抵抗です。例えば蚊にとっては空気はどろどろとした抵抗のあるもので、ゆっくりと落ちることしかできないもの。最も小さな昆虫は、ほとんど毛のようなもので飛んでいます。動く綿毛かな。

2011-05-29 12:29:36
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

鳥や航空機の翼の役割の一つは、いわゆる翼断面で滑空(まさに滑らかに飛ぶことが重要)時に上向きの力を得ることだ。しかし昆虫の世界では空気はかなりドロドロしたものなのでこの効果はほとんど得られない。それゆえ昆虫はフラットな羽根で空気を激しくかき回して飛ぶ。

2011-05-29 12:38:07
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

トンボは微妙なサイズ。それ故に飛び方が面白い。

2011-05-29 12:52:41
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

ラピュタのフラップターを作るのはかなり難しいと思います。あのサイズで羽ばたき飛行機を作っても大型の鳥のようにばさばさと飛ぶものになるでしょう。あれがいかにも飛びそうなところが宮崎さんの凄腕ですね。モップでもトトロでもちゃんと飛んでるように見えるし。

2011-05-29 13:03:29
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

その通りです。ご参考までに http://ow.ly/55jsQ RT @tjmtmtk: @Yam_eye 体重20gくらいのハチドリは、かなり昆虫に近く、空気をドロドロと感じているということでしょうか?

2011-05-29 13:08:09
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

一口に飛ぶ昆虫と言っても、サイズは二桁以上幅があるので、空気との関わりかた(飛び方)も違う。

2011-05-29 13:16:39
原研哉 @haraken_tokyo

@Yam_eye 「粘性抵抗」という言葉はいいですね。粘性抵抗があります。スケールの問題ですね。ネズミの比例拡大で恐竜にはならない。ガリレオもそう言ってます。一度ミジンコくらいの大きさになって、うちわを二本もって空中をかき分けて泳いでみたいです。

2011-05-29 13:54:16
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

@haraken_tokyo うちわで空を飛ぶ小さな原さんを想像してしまいました。とてもキュートです。笑

2011-05-29 13:58:23
山中俊治 Shunji Yamanaka @Yam_eye

空気抵抗(粘性抵抗)に関連して、以前に書いた「雨はなぜ痛くないか」というブログ記事です。 空気抵抗と重力のつりあいについて描きました。 http://ow.ly/55k1v

2011-05-29 14:12:04
原研哉 @haraken_tokyo

人は空気や水を透明に感じるように進化してきたと、三谷宏治さんは言われています。なるほど。かなりずしっときました。なぜ、人間は世界を四角くデザインするのか、について納得できたときと同じような気分。デザインの原点のひとつに加えられそうだ。

2011-05-29 11:36:12
原研哉 @haraken_tokyo

人間は世界を四角くデザインしてきた。3や6は安定しているが、4という数は非常に不安定なので自然の中では発露しにくい。時にびしっと立方体の鉱物の結晶もあるがきわめて稀。しかし人間は環境を四角くつくってきた。

2011-05-29 11:42:30
原研哉 @haraken_tokyo

大地を四角く区画し、四角いビルを建てる。入り口もエレベーターも四角く、廊下を直角に曲がって、四角い扉を開けて四角い部屋に入る。家具もテーブルも四角い。パソコンは画面もキーも出力用紙も四角い。紙を四角い封筒に入れ、四角い切手を貼る。窓も四角く風景は四角に切り取られている。

2011-05-29 11:51:25
原研哉 @haraken_tokyo

紙は1:√2に設計されていて折っても折っても同じプロポーション。文字も写真も、基本は四角く設計されているので、紙にもパソコンの画面にもそれはすっと収まっていく。

2011-05-29 11:53:51