@qkmode さんによる社会教育施設の災害復旧に関する知見(施設所管担当者向け) #saveMLAK

1
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

社会教育施設の災害復旧について,東日本大震災の経験を踏まえて,図書館や公民館,博物館,体育館など社会教育施設の災害復旧についての概要を説明します。主に,施設を所管する担当者向けです。

2019-10-15 00:18:47
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律第16条の適用があった場合,公立社会教育施設災害復旧事業に国庫から補助されます。被災の原因となる災害が激甚災害であり,法第16条の適用があったときのみ補助されます。

2019-10-15 00:18:47
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

激甚災害であっても,法第16条が適用されない場合は,社会教育施設の国庫補助はありません。また,実際に補助金を交付する場合は,施設の設置者が「特定地方公共団体」の指定を受けている(=被災自治体であるという指定)必要があります。

2019-10-15 00:18:47
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

法16条の適用がない場合や一般災害などで復旧事業を行う場合は,単独災害復旧事業債による措置が可能です。 災害復旧費補助金は,国庫補助金なので事業者(自治体)の歳入予算です。一方,災害復旧を行うための事業費としては工事請負費や委託費,備品購入費ですが,こちらは歳出予算です。

2019-10-15 00:18:47
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

従って,災害復旧事業を行うためには,歳出予算を確保する必要があります。補正予算を編成するか,(当初事業を変更,節更生する,などの手段により)流用するかは各執行者や財政担当課の判断となります。いずれ発注するためには歳出予算を確保しておく必要があります。

2019-10-15 00:18:48
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

通常,歳入見合いで歳出予算を編成するので補助金の見込みをつけない限り補正等は難しいと思います。予算担当とよく話をしてください。

2019-10-15 00:18:48
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

国庫補助の補助率は,補助対象経費の2/3です。残る1/3は一般財源ですが,起債することができます。元利償還金に対する交付税措置もあります。激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令第33条に補助対象となる施設について規定されています。

2019-10-15 00:18:48
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

第34条にはその補助の基本的な算定について規定されています。法令の根拠はここを抑えることになります。重要なのは,復旧事業費の2/3ではなく,補助対象経費の2/3という部分です。なんでもかんでも復旧費用を補助対象経費に組み込むことはできません。例えば消耗品や植栽樹木は対象外経費です。

2019-10-15 00:18:48
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

事務手続きの最初は,災害報告です。図書館等から直接報告するというよりは,主務課である生涯学習課等から都道府県の担当課に報告され,都道府県から文科省へ報告されることになります。社会教育施設と体育施設の担当課が別れていることもあります。

2019-10-15 00:18:48
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

年度当初に連絡系統が通知されているはずですので,それに従ってください。災害報告は必ずしておく必要があります。被害額の算定は必要ですが,不明な場合は,調査中としてでも,速報として,被災の事実を上げるべきです。被害があった場合は,写真をしっかり撮っておくことが重要です。

2019-10-15 00:18:49
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

被害の証明ができないと補助対象であることを説明できない可能性があります。 事務手続きは,基本的に学校施設等の災害復旧事業とほぼ同じ手順です。考え方も準用事項が多いので,担当者は,学校施設等の施設整備担当と情報交換などしておくといいと思います。

2019-10-15 00:18:49
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

この後,復旧事業の事業計画書を作成します。これは,その名のとおり災害復旧事業の計画書であり,これをもとに行う現地調査の基礎となります。現地調査は,文科省の調査官と財務局の立会官,都道府県の担当を随行して行われます。事業計画書はいくつもの書類で成り立っています。

2019-10-15 00:18:49
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

鑑となる事業計画書に次いで,災害復旧事業施設別表(含む被害の状況),工事費積算内訳書(建物新築/補修復旧,建物以外の工作物,土地,設備),被害配置図,復旧図,被害写真,災害証明資料,その他(事前着工届等)らが主なものです。規模により資料の過多があります。

2019-10-15 00:18:49
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

事業計画書の作成は工事等の知識も必要ですので,技術職員の協力を得てください。また,書類作成については,都道府県担当者にも相談してください。現地調査に耐えられる計画書にしないといけないので,まったく相談がないと都道府県担当者も大丈夫なのか,不安になります。

2019-10-15 00:18:50
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

現地調査は,「文部科学省所管公立社会教育施設災害復旧費補助金調査要領」等に基づいて行われます。淀みなく説明することができるようにしておくべきです。現地調査が終わると事業費が内定され,これで事業規模が確定します。

2019-10-15 00:18:50
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

実際に復旧事業を行い,交付申請を行い交付決定を受け,実績報告を行い額の確定を得ます。額の確定がされたら,請求書を提出し,実際に補助金を受け取ります。災害復旧費補助金は施越事業でも構いませんので,内定後,交付決定前に工事を発注・契約してすすめることができます。

2019-10-15 00:18:50
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

災害復旧事業は図書館等施設側だけでは進められません。主務課の理解と都道府県担当者の応援も得られるよう調整してください。 参考書としては『文教施設災害実務ハンドブック 第二次改訂版』第一法規(2013)を手元において置くべきです。

2019-10-15 00:18:50
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

このハンドブックに災害復旧事業の実務に関する殆どが掲載されています。ここまでの流れは本当に概略の概略です。東日本大震災の復旧事業に関わった経験を書いてみました。問い合わせたいことがあればお気軽にどうぞです。分かる範囲で協力します。

2019-10-15 00:18:50
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

手元に置くべき参考書です。前のツイートは、第二次改訂版を紹介しましたが、近々、新版が刊行されるそうです。これから、注文する方はこちらを。/ 文教施設災害実務ハンドブック 第三次改訂版 / 第一法規ストア daiichihoki.co.jp/store/products…

2019-10-15 11:01:40
KUMAGAI Shinichiro @qkmode

問合せがあったので補足します。私の一連のツイートにある東日本大震災の経験というのは、公立社会教育施設災害復旧費補助金の事務を都道府県担当として分掌した(メインは社会体育施設でしたが、図書館等も同じです)経験のことです。単に図書館に勤めていて被災した経験のみではありません。

2019-10-15 22:38:44