中央銀行の金利政策についてさらに考えてみる

最近もらった反論も加えつつ。以下関連togetter。 『中央銀行のコールレート操作、いわゆる金融政策に意味はあるのか?』 https://togetter.com/li/1361543 『金利政策の具体的効果の考察 / 自然金利に関する考察』 https://togetter.com/li/1379143
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

中央銀行の金利政策についてさらに考えてみる。 この論点については 『中央銀行のコールレート操作、いわゆる金融政策に意味はあるのか?』 togetter.com/li/1361543 『金利政策の具体的効果の考察 / 自然金利に関する考察』 togetter.com/li/1379143 でも論じたので、これらを踏まえた上で。

2019-10-22 15:52:50
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

これまでの議論を端的にまとめると、中央銀行による公開市場操作は、 ①準備預金調達コストの追加によるコスト的側面 ②債券(国債)提供による所得的側面 の双方から、天下り式に市中金利への間接的影響を持つという理解。

2019-10-22 15:54:54
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

借入側から一面的に見ると、金利上昇の分だけ投資が減るかのように感じてしまうが、マクロで見ると、中央銀行による売りオペは、非政府部門への債券、債券利回りの提供となり、本質的にプラスの財政政策となってしまう、ということに注意しなくてはならない。

2019-10-22 15:56:54
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

銀行間、および民間内部での取引を差し引きすると、中央銀行の売りオペ≡債券(国債)提供は、利回りを与える財政政策となる。 これは擬似的に、非政府部門全体を単一主体とした消費-貯蓄の選択問題に見立てることができる。

2019-10-22 15:59:29
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

非政府部門が国債を購入して得られる利子率が高まった場合、「現在の流動性を国債に変換して、高まった利回りを得ようとする」という行動が利子の代替効果、「利回りが高まった=将来の収入が高まったので、それを当て込んで現在消費を増やす」という行動が利子の所得効果になる。 その大小は不確定。

2019-10-22 16:02:52
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

例えば、極めて低い利子率や、マイナスの利子率になれば、所得効果の方が強く働いて、却って非政府部門の支出は抑制されるかもしれない。 極めて高い利子率の場合も、利子所得増加を当て込んだ支出が伸び、利上げしているのに却ってインフレが加速することがありうる。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 16:05:34
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

裏を返せば、マイルドな範囲なら、中央銀行の金利政策は主流派理論で想定されるような”オーソドックス”な総需要効果を持つかもしれません。 そういった考察を踏まえて、「金融政策無効論」note note.mu/motidukinoyoru… では以下のような非線型ISを提示してみたわけです。 twitter.com/motidukinoyoru… pic.twitter.com/GJFDpaSrI7

2019-10-22 16:25:53
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望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

こうした一連の過去の議論を踏まえた上で、某所でいくつか頂いた反論についてコメントしておきます。 反論①「中長期的には国債利回り上昇による財政拡張効果は無視できないものの、短期的な資金調達を阻害することで、いわば恐慌・信用不況的な緊縮効果はありうるのでは」 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 16:31:26
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

この反論については、確かに短期的な決済阻害を通じた不況的効果は無視できないものの、その効果が中長期的なスパンでも意味を持ってくるかはかなり疑問。 特に総需要が高まってくる局面で、短期でのそれなりの利上げが十分な決済不況的効果を齎すかどうか。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 16:39:33
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

また、twitter.com/motidukinoyoru… でも取り上げたように、政策金利変更は、短期の資金調達コストには強く効いても、中長期の資金調達コストにはそれほど鋭敏には効かないというのが実態であり、そうした意味でも、その経路からのインフレ抑制効果は疑問符がつく。

2019-10-22 16:42:00
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

そもそも、人為的な恐慌・決済不況を惹起することでインフレを抑制しようとするというのは、『泥棒を捕まえるために家に火を付ける』みたいな話になっていて、金融不安定性を抑制しながら厚生最大化を測ろうという穏当な志向からは乖離するようにも思います。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 16:44:15
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

次の反論についてコメントしていきます。 反論②「利上げは、債券価格(特に既発国債)の減少を起こし、バランスシート効果を通じて支出削減的に働く」 この反論では、『債券価格の減少は、非政府部門の利子収入増加とバーターになっている』ということが見落とされているように思います。

2019-10-22 16:55:03
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「債券価格にはデュレーションが効く」というのなら、「利子収入には複利が効く」ということも見落としてはいけません。 また、 togetter.com/li/1379143 でも取り上げたように、政策金利変更は中長期の金利には鋭敏には効かないので、B/S効果も限定的となるでしょう。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 16:58:02
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

また、短期的には総資産減少として効いてくるものの、中長期的には債券が入れ替わるため、総需要を中長期に抑制する効果をB/S効果に期待するのは難しいのでは。 B/S毀損が恐慌の引き金になるようなケースなら話は別ですが、仮にそうなら、尚更望ましい政策ではないことに。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 17:01:08
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

あと、傍論として、 「日本銀行はインフレ抑制のために作られた。その経緯から考えても、中央銀行がインフレ抑制機能を持たないと考えるのは不合理」 という趣旨の反論?を頂いたのだが、日本銀行創立の経緯( boj.or.jp/announcements/…imes.boj.or.jp/cm/history/nih… )を確認してみると、 (続く)

2019-10-22 17:12:07
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

「金本位制にコミットするためにあらかじめ緊縮財政で紙幣を償却しておいてから、正貨(兌換)制度の運営組織として日本銀行を作った」というのが設立の趣旨であり、金利政策の話ではなくて、財政政策(と為替政策)の話であることに注意しておきたいところ。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-10-22 17:13:57
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

レイが件の本にも書いているように、金本位制は、現代でいうドルペッグ制と近似的な構造になっていて、為替レート誘導という政策目的が財政的政策スペースをキャップしてしまうというのが問題になるわけですが、繰り返すように、これは財政政策&為替政策の問題であって、金利政策の話ではないです。

2019-10-22 17:24:29
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

これについても、最近はリバーサルレートの議論 ameblo.jp/nakedcds/entry… の絡みもあって、色々と考え直す必要があるのではないかと思いつつある。 公開市場操作による金利調節は、公定歩合の時代とは逆の財政的効果を持つんじゃないかっていう考察を元にするんですが。 twitter.com/kakukawari1/st…

2019-11-17 09:28:14
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

公定歩合の時代は、公定歩合の引き上げは単純に金融部門への増税的効果を持ち、公定歩合の引き下げはこれまた単純に金融部門への減税的効果を持った。 なので、利上げを緊縮政策、利下げを拡張政策として単純に括っても、そこまで大きな問題はなかったのではないかと思う。

2019-11-17 09:31:21
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

しかし、公開市場操作によって銀行間金利を誘導するスキームは、代替資産としての国債を(売りオペによって)供給することによって、裁定的に銀行間市場金利を調節するという構造だった。 要するに、国債という運用先を作ることで、銀行間市場金利が下がらないように調節するという仕組みだった。

2019-11-17 09:32:51
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

この場合、利上げはより高利の国債を供給することで達成され、利下げは収益手段としての国債を買い上げて奪うことで達成されることになる。 公定歩合引き上げが増税的に働いたのとは全く逆に、公開市場操作においては利下げの方がむしろ徴税的に働くという逆転構造がある。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-11-17 09:34:46
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

こうした中で、中央銀行によるゼロ金利政策は、銀行の利潤をむしろ圧縮することで、却って金融不安定性を高めてしまうという不味い構造を持っていたことになる(もちろん、金融部門からのロビイスト的な利上げ要求もあったと思うけど)。 利上げ一本槍の政策論は、金融部門を過度に苛むものだったと。

2019-11-17 09:37:34
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

しかも、安全資産収入の過剰圧縮は、比較的安全な資産運用をしている金融機関ほどダメージが大きいという好ましくない効果もある。 金融安定を志向したい中央銀行と、企業利益を確保したい金融機関ロビイストの利害の一致として、拙速な利上げが繰り返されたのではないか。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-11-17 09:39:27
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

しかも、修正NK(長期停滞理論)やMMT的な議論 togetter.com/li/1380539 に基づき、金融緩和による総需要拡張が期待薄だと考えられるようになった今、「金融緩和によって総需要が拡大すれば金融部門所得も別口で確保される」という反論も成立しないことになってしまう。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-11-17 09:42:42
望月慎(望月夜) @motidukinoyoru

現在の私は、中央銀行の拙速な利上げ志向を安易に非難することは出来ないと思っている。 拙速な利上げという失策は、利下げが緊縮的に働いてしまう現在の金融政策構造、金融政策の有効性が乏しい中で強行された金融政策一本槍の政策論によるものではないか? と感じるからだ。 twitter.com/motidukinoyoru…

2019-11-17 09:48:15
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