エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~5世代目・後編3~

シリーズ全体の目次はこちら https://togetter.com/li/1479531 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ。
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前回の話

まとめ エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系の話( #えるどれ )~5世代目・後編2~ シリーズ全体の目次はこちら https://togetter.com/li/1479531 ハッシュタグは「#えるどれ」。適宜トールキンネタトークにでもどうぞ。 21522 pv 8

以下本編

帽子男 @alkali_acid

◆◆◆◆ この物語は、エルフの女奴隷を代々受け継ぐ家系のウハウハドスケベライフを綴った日常エロコメとなっております。 一代目から始まりまして現在は五代目。 はじめ高ビーだった森の妃騎士も今ではすっかり従順に…ん…そこそこデレては来ておりまして。 五代目の方はというと、 男が好き。

2019-10-23 19:37:02
帽子男 @alkali_acid

いやー家系も五代続くと色々な人が出てきまして、 みんながみんな女の方が好きとは限らない。 さて男好きの五代目ことオズロウは別名を盲目の船長。黒の渡り手。 目下は魔法の巨船、しろがねの凱歌号の主。 世界各地を巡ってよい匂いを嗅ぎ、よい男と友になり、できれば船に乗って貰うのが楽しみ。

2019-10-23 19:41:14
帽子男 @alkali_acid

これまでに加わった乗員はというと、 風の司、深き谷の領主、半妖精のロンドー 歩く檻、からくりじかけの従者アンググ 塚人、亡者の王カゲノツキ 小人の船大工、鉄船建てことザージ 男海賊ダボハゼこと西方の間者アルトゥーセ 海妖精のイテルナミことネシファ 漁りの巨人バゴ 多士済々

2019-10-23 19:43:27
帽子男 @alkali_acid

皆がイケメンかというと、 それは美観次第であります。 オズロウに言わせれば全員が「ええにおいのする、ええ男」だそうですが。 志操正しき光の軍将から、嫌がる女の尻を揉む痴漢まで出自も気性もばらばらですが、一つ共通点を挙げれば全員が船長には一目置く。 オズロウは男モテはする方です。

2019-10-23 19:47:24
帽子男 @alkali_acid

さて、ええ男をぎょーさん乗せた、しろがねの凱歌号。 これまではもっぱら北から西の海を探検し、女人が島に巨人の国、海底の町などを巡り、海賊が支配する南の大湊へ戻ってきました。 ここで不足している艤装を済ませ、いよいよさらに南、そして東を目指す所存。

2019-10-23 19:48:55
帽子男 @alkali_acid

しかし、しろがねの凱歌号と言いますのは 今は波の下に沈んだ西の島の黄金王が作らせた黄金艦なる戦船(いくさぶね)。 西の島とながらく事を構えていた南の海賊、南寇にとっては宿敵の船ということで、大湊では水平線に姿を見せたとたんに手荒い歓迎をいたしました。

2019-10-23 19:50:24
帽子男 @alkali_acid

警邏の船が甲板に据え付けた投石機から放り投げた礫が、着水するや海水に反応して激しく燃え広がる。 波の上を炎が舐めてゆくのであります。 「おいおい…しばらく来ないうちに大湊も物騒になったな」 「景気ええな。イテルナミはん海にいて平気かいな?」 檣から眺めおろすは船長と船大工。

2019-10-23 19:53:15
帽子男 @alkali_acid

「僕を誰だと思っている!はぁっ!」 あざらしが水面に躍ると、金剛石の屑のような煌めく細氷の渦が炎を押しのけてゆく。 「あー風がひやっこくなったで。たいしたもんやなー」

2019-10-23 19:56:23
帽子男 @alkali_acid

「あのように火が燃えては魚が逃げる。釣りにも網打ちにも障りがあろう」 だしぬけに暗い膚をした若者の肩に、鼠のように体の小さな青い帽子の漁夫が這い上がり、心配そうに告げる。 「せやろか」 「拙者は南の魚獲りを楽しみにしていたのだ。火は消してこよう」

2019-10-23 20:00:45
帽子男 @alkali_acid

「ほならそうしたってや」 「お主のあの飛刀の技で水面まで運んでくれ」 「お安い御用」 盲目の船長は、柄元から刃まですべて木でできた奇妙な匕首に、手乗り大の漁夫を掴まらせてから擲(なげう)つ。

2019-10-23 20:01:38
帽子男 @alkali_acid

海燕のように虚空を過った飛び道具が、波の上に何度か跳ねると、 帽子を脱いだ漁夫はたちまち、しろがねの凱歌号に並ぶほど、いや凌ぐほどの図体の巨人に変わる。 「どーれ!」 特大の網を潮の流れに打つと、大洋は沸き返って上に載せていた炎を散らす。 「…あいつが暴れる方が魚は逃げるだろ」

2019-10-23 20:04:04
帽子男 @alkali_acid

甲板で長柄の刷毛を片手に男海賊が呆れる。 さて西の島の海底から蘇った黄金艦に加え、謎の魔法芸を披露するあざらしと、網を打つ巨人の登場で、南の大湊の警邏船はさすがに泣きが入ったようだったが、まだ果敢に投石機の第二打を準備している。

2019-10-23 20:06:22
帽子男 @alkali_acid

「白旗あげたってや」 「大湊の防備がどんな風に変わったかもっと見たくねえのか」 「あんまりつつくと洒落にならんもんが出そうやで」 「黄金艦でも手に負えないような?」 「鉄船建ても、解っとるんちゃう?」 「まあなあ。海の上で燃える焔に、この距離まで届く投石機。どっちも作れる奴は…」

2019-10-23 20:08:22
帽子男 @alkali_acid

黒小人。 ドワーフの本拠、山の下の王国の精華というべき工芸の粋を極めながら、君主と民草を裏切り、滅びをもたらして影の国に寝返った外道。 かの七大悪人をおいてほかにない。

2019-10-23 20:10:01
帽子男 @alkali_acid

城砦壊し、 骨磁焼き、 屍金継ぎ、 責具拵え、 贋宝作り、 鉱毒練り、 そして誰あろう、王の双子の弟たる影地歩きのモシーク。

2019-10-23 20:11:07
帽子男 @alkali_acid

しろがねの凱歌号が波止場に入ると、桟橋には精巧な義手を嵌めたドワーフの男女が勢ぞろいしていた。 「久しぶりだなオズロウ!大きくなった!死体でないのが残念だが」 「屍金接ぎのおにーはん!相変わらずええ男やね!」

2019-10-23 20:12:50
帽子男 @alkali_acid

どうやら鉄船建てがオズロウとともに出て行ったあと、ぞろぞろとやってきた影の国お抱えの工匠を、大湊の寄合が仮雇いしたものらしい。 「なんだ。海雷を試す間もなかったか。つまらん」 「海雷て何やの?城砦壊しのおにーはん」 「浮きに石灰炸裂弾を取り付けたもので、船が当たると破れて爆ぜる」

2019-10-23 20:15:42
帽子男 @alkali_acid

「おもろ!せやけど、しろがねの凱歌号沈んでまうわー」 「城のような船だ。沈めばさぞかし爽快だったろうに」 「んもー、相変わらずいけずやなー。せやけど、ええ男やわ!」

2019-10-23 20:16:35
帽子男 @alkali_acid

わいわいがやがや。 七大悪人ももう青年期は過ぎ、壮年期に入りつつあり、年長の影地歩きはいい歳だが、もともとドワーフは人間よりずっと寿命があり、さらに影の国の太守からの魔法の贈物によって老いや衰えを遠ざけている。 従ってノリは依然として軽い。

2019-10-23 20:18:38
帽子男 @alkali_acid

モシークはオズロウに歩み寄ると、一枚の薄片を渡した。 「マーリからだ」 「おとーはんから!手紙の返事や!うひゃー…凹凸文字でびっしり書いてあるわー」 「あやつは毎日、朝と夕に一度ずつ西の方を眺めては物思いに耽る。おつきの白い蝙蝠が我に返してやらねばいつまでもそうしていそうだ」

2019-10-23 20:21:58
帽子男 @alkali_acid

「おとーはんは心配性やなー」 「まったく。自分も家出をして親をさんざん不安にさせたくせに」 盲目の船長がにやける横で、影地歩きがやれやれと他人事のように肩を竦めて見せる。

2019-10-23 20:23:48
帽子男 @alkali_acid

「黒の鍛え手からの便り。何が書いてあるのです」 いつの間にか隣に来ていた、すらりとした体つきの美丈夫が尋ねる。しろがねの凱歌号の風読みを務める半妖精ロンドー、またの名をアキハヤテ。 「んー…災いを避けよ。ちゅー話や」 「災いとは?何のことでしょう」

2019-10-23 20:28:46
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