茂木健一郎(@kenichiromogi）さんの連続ツイート第2361回「東浩紀さんのツイッターのアカウントが消えてしまったことについて」

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート２３６１回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。本日は、感想です。

茂木健一郎 @kenichiromogi

TLを見ていたら、東浩紀さんがツイッターのアカウントを消されたと流れてきたので、びっくりしたが、確かにない。また戻ってきてくださることを望んでいる。今日は東さんについて書きたい。

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東浩紀さんについては、その書かれていることももちろんだけれども、ゲンロンという会社、場をつくって、そこで展開されているということに尊敬の念と賞賛の思いを抱いてきた。思想や、表現というものは、その人の生活実感と切り離せない気がする。東さんの生き方をぼくは信頼してきた。

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これはさまざまな考え方があると思うけれども、大学で教鞭をとりながら哲学思想の本を書くというあり方について、私の中に拭い難い不信感、違和感があって、それは今の大学や大学の教員というものが置かれている文脈、経済学で言えば「レント」的なものと関係している。

茂木健一郎 @kenichiromogi

そもそも、外国の哲学者の思想について日本の大学で日本語であれこれ言うという構造についてずっと疑問や不信を抱いてきた私にとって、東浩紀さんがゲンロンという現場をつくり、そこで展開されてきたことは斬新で、画期的なことのように思えた。そしてその果実は、東さんが書かれるものに表れている。

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もうひとつ、東さんの最近の発言で私の心に深く響いたのは、社会の現状がこうなっているということは、そう簡単に発言や言及で変えられるものではなく、つまりは息の長い「啓蒙」（敢えてこの言葉をつかうけれども、つまりは良質の思想、情報、感性の提示）をやっていくしかないというスタンスだった。

茂木健一郎 @kenichiromogi

人には自由意志はない。あるとすればそれは幻想である。言説や思想はその人の履歴の中で積み上げられてきたパラメータの複合体から出てくるものであって、本当に事態を変えようとしたら社会の中で流通しているパラメータを通して働きかけて息の長い活動をしていくしかない。東さんはそれをされている。

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東浩紀さんのツイッターでの発信を楽しみにしてきたものにとって、アカウントが消えてしまったのはとても残念だけれども、以上のような東さんの姿勢には私は全幅の信頼を感じていて、きっと伏流はやがて小川となって私たちの戯れる生命の場をうるおしてくれるのではないかと期待する。

茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート２３６１回、「東浩紀さんのツイッターのアカウントが消えてしまったことについて」をテーマに７つのツイートをお届けしました。