かにまとめ

かにぴ @yamatanokani

異世界トリップした社会経験ZEROの男子高校生と、あまりにも弱すぎて異種族に襲われて奴隷落ちしたけど弱いから護衛にならないし、でも素手の人間よりは強いから子守にもできないし、かと言って賢くもないので事務処理もさせられず、肉体労働させるには体力がないという不良在庫狼男のはなし

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同級生に近所の廃屋の中へ鞄を隠されて探しに行ったら廃屋(庭付き)ごとトリップした。移動式絶対防御廃屋と低種族値狼男と共に『そこそこに人がいてそこそこに安全そうな土地を探す』旅。廃屋だけど水道電気ガスは通ってる。理論は分からない。トイレに流した汚物がどこへ行くのかも分からない

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低種族値狼男に「主人…虐められてたのか…」と言われてはじめて「あれ虐めか！｣と気づく。「よく構ってくるから俺のことが大好きなんだろうなと思ってた……」ｿｳﾀﾞﾖ。ねじ曲がった好意の廃屋肝試しデートの予定だったんだよ。

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もう少し魔力が高ければ変身魔法で人の姿にもなれる種族なのに、生まれ持った魔力も低いので子供でも使える魔法が使えない。なにかシリアスな理由があるわけでもなく、ただ純粋に生まれた時から低種族値。でも最近伸び代はあるということが分かったので寝る前に瞑想してる。

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なんの知識もない主人の「瞑想とかいいんじゃない」をなんとなく信じてやってるだけなので効果はわからない。

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狼男のおいしくもなくまずくもなく食べれなくもない素材の味を丹念に半殺しにしたようなご飯を食べつつ、庭の雑草がなんやかんやで良い薬の元になることがわかったけど市場破壊はしたくない(親の仕事でやられて一時期やばかった)ので各地を転々とし、

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家の前で死にかけてた子供を助けて「ここのことは内緒にしてね」と約束したのに後日『森の奥に住む魔法使いの薬』を求めて子供の友達が来て「え～～速攻で裏切られた」と思いつつ薬だけ渡して(優しさ)また引っ越したり。渡された薬でその子の母親は助かったけど数ヶ月後に起こった感染病で村が消えたり

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「お前が魔法使い様の約束を破ったからだ！お前さえ約束を破らなければ、きっとまた俺達を助けてくださったはずだ！」と理不尽にも責め立てられ傷付いた少年が復讐の鬼と化して数年後やってきたり、廃屋(改装済み)で生活してたらなぜか全く歳を取らなかった二人が「え～～八つ当たり～」と引いたり

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この頃には手だけ変身魔法が使えるようになった狼男が「主人…今日の飯は何かが違うと思わないか？」「何年経っても成長も退化もしない無の味だけど、個人的には好きな方」「ありがとう。しかし察しが悪いな」「こたえは？」「前足の毛が入らなくなった」「なるほど、口当たりが滑らか」と会話してたり

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特に冒険心も人恋しさもない二人が持て囃されたり恨まれたりしながら毒にも薬にもならない旅を続けるはなし

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毛まみれのパンを出されても取れるものだけとって普通に食べるし、庭鳥小屋で卵から孵したニワトリに襲われてたら助けに行ってあげるくらいにはなんにも気にしてないし、特に多くを望んでない。さすがに1人では寂しいから同居人が欲しかったので1番安いのを選んだ。安いのに手足揃ってるからお買い得

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もう少し買うのが遅れてたら、豚に生きたまま食べられるショーの餌役になってた狼男。自覚はあるが別にめちゃくちゃ感謝とかはしてない。ラッキーだったなあと思ってるくらい。

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命じられた事を愚直に行うけど『自分で考えて臨機応変に対応』が出来ないし、真面目にやるけど基本スペックが低いので完璧な仕事に仕上げることはほぼない狼男と、それを「真面目だし余計なことをしてこないし、失敗しても死ぬわけじゃないから別にいい」と思ってる男子高校生

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パーソナルスペースが狭めなので勝手にぐいぐい来られると嫌なタイプ

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廃屋(招かれないと入れない結界)に客が来ても男子高校生が寝てたら取次ぎもしないで「主人が寝てるから後で来てくれ」と庭の雑草をむしってる。たとえその雑草がこの世界で有用な薬草だとしても、それを知ってても、草むしりを命じられたのでむしむししてる。

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その薬草を求めて命懸けできた女騎士が叫んでいても全く気にせず毟ってドラム缶に入れて焼く。そして煙が家に充満して「焼くのは小雨の日って言ったじゃん」と出てきた男子高校生に「そういえば。失敗した。許してくれ」「死ぬ訳じゃないし良いよ。なんかあった？」「特に何も無い」と平和に会話してる

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「何も無いじゃない💢💢💢貴様ァァア💢💢💢」と門の向こうで抜刀発狂してる女騎士に男子高校生がドン引いて家の中に戻ってインターフォンで会話するまでにまた時間がかかる。男子高校生が悪い魔法使い扱いされる時のだいたいの戦犯は狼男

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本人も男子高校生もうっかりミスだと思ってるだけだけ。マイペースとマイペースしかいないので誰も突っ込んでくれない

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良く気の利く出来る奴隷だったら好きに放っといてくれないので面倒がられて適当に放逐されてた。

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物心ついた時から「お前は大人になる前に死ぬだろう」「残念ながら食われる側の生き物だ」「子を残してはいけないよ。お前で終わりにしておきなさい」と言われていたので奇跡的に大人になるまで生きてる(奴隷落ちしてなかったらたぶん自然淘汰されてた)ので、生きてるだけでめっけもんな狼男

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シリアスでも心の傷でもなんでもなく、この世界ではこういうもん。言ってる方は親切心だし、言われた狼男本人も「ご丁寧ににどうも」という気持ち。そして男子高校生にそれを言っても「俺もあんた側の生き物だから見につまされる」と普通に受け入れてる

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同情しないあたりが狼男的に気楽。これが普通と思ってる思想とか生き方を同情されたら、なんか面倒だし悲しくもなる。弱く生まれたけど別に可哀想でもないはずなのに

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何十年も何故か歳を取らないまま(廃屋チート)代わり映えのない生活を続けてると、生きた年数の分だけ蓄積される経験値で普通よりちょっと強い狼男になれるけど、その頃には成長期の男子高校生ボディのまま何十年も生きてるせいでレベルアップボーナスがすごい男子高校生の方が強くなってる

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買い物に行こうと2人で町にいったら暴漢に襲われ、怖くなって大通りのど真ん中に廃屋呼んで絶対防御のまま引きこもる回(流通が死んだ上に領主の召還にも応じず大騒ぎになった)