【きみのすべてを】福間健二 #k2fact236

福間健二 @acasaazul

菊、もみじ、雨。絵のある廊下から狭いコンクリートの通路へ。だれかの先まわりをしたいのではないが、いやなのだ。見えない法則があるということ。果物の匂いは好き。会う人たちは、胸のポケットになにか入れていて、胴長で、顔が浅黒く、それぞれだれかに似ている。（きみのすべてを１）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

近くにあるもの。遠くにあるもの。その中間にあるもの。こんなときに切手何円分か不足して、まるで囚人のような動作の、それぞれの修正。しゃべると泣いてしまいそうだ。風に対して非生産的でも黙っていればいいのだ。ぼくたちはそうだが、道。だれかの足音がする。（きみのすべてを２）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

きのうまでの痛み。骨をどうしろこうしろという命令を聞いていないステップ。全部、誤解を踏んだなんてことはないけれど、質のちがう恋しさに染まるきのうからの物語。百円ショップ的に青く。きみへの興味。着地はうまくない立ちあがるときの、手と膝の使い方からだ。（きみのすべてを３）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

【訂正】 着地はうまくない立ちあがるときの、 ↓ 着地はうまくない。立ちあがるときの、 （きみのすべてを３）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

きみのすべてを知りたいとは思わない。でも、敗者にやさしいその目は苦悩をすてたぼくにも課題を出している。そしてお昼は金水園のチャーハンを食べたね。金水園、いつも眼帯をしていたお父さんが亡くなって、いまはお母さんと娘さんがお父さんの味を守っている。（きみのすべてを４）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

国立市旭通り。繁盛している店はそんなになさそうだけど、歩く資本主義も立ちどまる人も追いつめられていないように見える。きみはお腹いっぱい。責務、いまはくつろぐことだ。パモージャでコーヒーを飲み、タバコを吸ったね。パモージャの奥さんには男性ファンが多い。（きみのすべてを５）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

水玉模様。ちょっとちがう。でも、だいたいそうで、その上にスタンプで押したような二人ずつの姿。過去形の、かすれた青。だいたいそうだとする。何を温存しているのか。わからないこと多いですね。中央線が運転見合わせ。予定を変更してもう少しくつろぐことにした。（きみのすべてを６）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

電話、相手が先に切るのを待つ。その余裕をとりかえし、暗示的にあらわれる沼から身をふりほどく。胸の位置、さらにベルトの位置まで。獲物を逃さないこの社会、この世の光のなかにあって二人ずつの、恥ずかしさ。もういいんだよ。都心に出なかった。長生きしそうだ。（きみのすべてを７）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

言いまかす相手が消えても手に無理をさせる未来の切迫。草むらならしゃがんですること。その膝の裏を濁らせない。だめですよ、と注意されるまではどこでも平気でタバコを吸う。そんな人との交際の、後日。描くだけではなく、発見があること。きみの要求する波は酸性だ。（きみのすべてを８）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

こわれている武蔵野の秋の、修復。だれもが失敗する。一橋大学の構内、東西どちらでも。小雨がやみ、突然の、大地に、すきを突かれる。きみはどうするかというと初対面の人たちとの夕食だ。ちょっと甘みの足りない海苔巻きとカボチャ、ニンジン、レンコンの天ぷらまで。（きみのすべてを９）#k2fact236

福間健二 @acasaazul

虫がいる。鳥もいる。たぶん去る人も。音だけの、あるいは触覚だけの降下と縫い目。秋の何を倒したかったのか。そう思って歩くのは、だれかがずっと前に葬ったはずの苦しい夢だ。ぼくは思い出を語らない。今夜はこのまま。きみのすべてを。生きている者のための秋に。（きみのすべてを10）#k2fact236