本作長義(以下略)の銘文から 銘の切り方考察 2

つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoyaさんのツイートをまとめました。 本作長義(以下略)と山姥切国広の銘に見られる特徴とそこに込められた意味の考察
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

(左)山姥切国広 自身銘(通例) (右)山姥切長義 切付銘(異例) 「国」の右上に「ニ」(水色線) 片仮名(カタカナ)で小さくニ(に)とあります。 字数が限られたのかこの「ニ」のみとても小さいです。 堀川国広が片仮名を切ったり、文字を小さくしたものは他に類例がありません。 pic.twitter.com/HwjfuXJeW3

2019-08-07 23:43:11
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銘字を切るスペースに余裕があるなら国広であれば 干時(時に) 之時(の時) が多く見られます 「本作長義天正十八年庚寅五月三日(二)九州日向住国広銘打」ではなく 「本作長義(干時)天正十八年庚寅五月三日九州日向住国広銘打」 「本作長義天正十八年庚寅五月三日(之時)九州日向住国広銘打」

2019-08-07 23:45:09
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(ニ)ととても小さく切るよりも 干時(時に)や之時(の時)と横のスペースに切ることもできたかもしれません。

2019-08-07 23:47:51
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もっとも山姥切長義の他に ・堀川国広が切付銘を切ったものが無い。 ・銘字が長いものが少ない。 ・天正打ちが少ない。 などなどの理由から比較できるものが殆どありません。

2019-08-07 23:50:30
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(左)山姥切国広 自身銘(通例) (右)山姥切長義 切付銘(異例) 山姥切長義の「国」の字(「広」の字も)は同時期や他の全ての期間も含めて国広が作刀した自身銘とは明らかに異なります。 これについては国広が自身の作品ではないので意識的に変えているのだと推測されます。 pic.twitter.com/tBgrPyeUhe

2019-08-08 00:00:43
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自身の作品ではない刀剣に銘字を切る場合に、切付銘や磨上銘になりますが、自身の作品に切る銘とは異なるアレンジを加えた銘を刀匠が切ることは国広に限らず他の刀工にもみられることです。

2019-08-08 00:00:43
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「本作長義」を英訳するとするならば →名工:長義が作った刀です。 Old masterpiece of Chogi →元の刀は長義です。 Originally made by Chogi →この刀は長義の作です。 this sword is made by Chogi

2019-08-18 17:34:03
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「山姥切長義」 →山の魔女を切った長義 Mountain witch breaker Chogi

2019-08-18 17:41:41
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「本作長義天正十八年庚寅五月三日(二)九州日向住国広銘打」 茎に銘を切るスペースが無いので片仮名(カタカナ)で(二)と小さくしています。 ただ、文脈的に「国」の字を変形させてまで、無理して入れないでも(二)は無くても問題はないようにも思えます。 pic.twitter.com/pxTmg8ogbT

2019-08-18 19:31:04
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そして、(二)は前後の文字である 前にある「日」よりも 後にある「国」の字の方にむしろ位置が近いようです。 (二)には何か別の意味があるの可能性も考えられますが、よく分かりません。

2019-08-18 19:31:04
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(左)山姥切国広 自身銘(通例) (右)山姥切長義 切付銘(異例) 隅(黄線)を切って1画多い。 (オレンジ線) 通常の銘より1画多い。 (水色線)(ニ) 2画 pic.twitter.com/99JcaZLP4R

2019-08-18 19:39:32
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私が長らくひっかかっているのは 堀川国広には昔から「国」の字を分解して切った銘が存在するといわれています。 (弟子の出羽大掾国路には「路」を分解して11画のものも) 「国」(くに)→9+2 「広」(ひろ)→1+6

2019-08-18 19:44:04
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

山姥切長義は「国」の字が2画多く、さらに右上に(ニ) 2 (ニ)2 「国」(くに)→9+2(+1+1) 「広」(ひろ)→1+6 何かこの数字に意味があるのかもしれませんが、よく分かりません。

2019-08-18 19:46:52
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」 九州日向住国広作 天正十八年庚寅貳月吉日平顕長 2月を「二」ではなく旧字体で「貳」と切っています。 堀川国広が月の数字を旧字体としたのは「山姥切国広」のみのようです。 推測されることは ・改竄の防止。(日付の重要度が高い) ・実際に2月であった pic.twitter.com/4EPdMwK1iC

2019-09-18 21:39:21
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・「二」や「一」「三」だと縦線や横線を加えたり消されたりして数字を改竄される可能性があります。 それで普段は使用していない「貳」と複雑な旧字体にしたのでしょうか。 重要度が高い感じがします。 ・二月は冬至(11月)~春の彼岸(2月)~夏至(5月)まで意味しますが、そうではなさそうです

2019-09-18 21:43:20
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以前に「山姥切長義」の「国」の字は 4隅の右上の隅を切っていることをツイートしました。 twitter.com/tsuruginoya/st…

2019-09-18 21:48:51
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○国構え(口) 4隅の右上が国広は角張っています。 (天正頃は角張るのが通例です。 天正14年の1部の作品にやや丸みのあるもの有り) 長義は角張らずに隅(黄線)を切っています。 (天正頃にはまず見られないもので慶長頃に入ってからみられます。慶長4年より) pic.twitter.com/klD2QJgVTF

2019-07-24 21:44:40
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(左) 山姥切国広 (右) 山姥切長義 天正18年(1590)の干支「庚寅(かのえとら)」 「寅」の異体字として「刀」になっています。 よくみると「刀」の字も長義の方のみ、右上の隅を切っています。 「国」と「刀」の字を 山姥切国広は隅を切らず、 山姥切長義のみ隅を切っています pic.twitter.com/9BhH875unt

2019-09-18 22:06:13
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「山姥切長義」の銘字は堀川国広の自身銘としては異風であり、いくつかどの年代を通じても存在しない字形もあります。 そして年代的にも天正18年の銘字ではありません。 むしろ天正14年に近いものがあります。 「国」と「刀」の右隅を切るのは天正14年の一部のみみられる銘字です。

2019-09-18 22:18:56
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

天正14年といえば、茎の銘文に刻まれている 「天正十四年七月廿一日小田原参府之時従屋形様被下置也」 と同じ年代ということになります。 まさか堀川国広がわざわざ4年前の天正14年の銘振りを用いて切ったわけではないでしょうが。 いずれにしても不思議なことです。

2019-09-18 22:18:56
つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

天正14年は比較的に堀川国広の天正打ちとしては作品も多く有年紀作も現存しています。 「国」と「刀」の右隅が切られている作例 ともに長い刀で、所持者名があり、濃密な彫物もあります。 おそらく他には天正18年の山姥切長義」の切付銘のみです。 pic.twitter.com/CuUPCQkUl5

2019-09-18 22:37:48
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

天正14年で所持者銘のある脇指ですが、 「国」と「刀」の右隅が切られていない作例。 pic.twitter.com/oCFK5H3sCF

2019-09-18 22:37:50
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つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoya

「山姥切国広」と「山姥切長義」の2振には、銘字のみをみてもこの2振にしか存在しない特異なポイントが各々にいくつもあります。 この2振のことに想いを巡らせるといつも夜しか眠れません。。。

2019-09-18 22:49:04

まとめ 本作長義(以下略)の銘文から 銘の切り方考察 つるぎの屋@日本刀買取専門店 @tsuruginoyaさんのツイートをまとめました。 「本作」の話から銘のことまで 7408 pv 27 2 users