米国における軍と情報機関の連携について

オバマ政権はパネッタCIA長官を新しい国防長官に指名し、ペトレイアス駐アフガニスタン軍司令官(元中央軍司令官)を新しいCIA長官に指名した。これが示すのは軍と情報機関の連携が益々密になるということだ。実は米国には国防予算が削減されると情報工作が多用されるようになるというある種の傾向が存在する。オバマ政権もその例外ではないが、情報工作の多用には落とし穴も存在する。
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fj197099 @fj197099

米、軍とCIAが一体化へ オバマ政権の新安保チーム(http://bit.ly/lGD64j)…CIA長官のパネッタが国防長官になり、イラク・アフガン戦の英雄であるペトレイアス将軍が退役してCIA長官になる。まさに軍と情報機関の相互連携強化の人事と言える。大変興味深い。

2011-05-31 20:18:48
fj197099 @fj197099

実はこの背景には国防予算の削減というもう一つの重大要素がある。パネッタはそもそも予算削減を期待されて国防長官となるのだ。実は米国には国防予算が削減されると外交・安保政策における情報工作の程度が高まるという一種の傾向がある。1950年代のアイゼンハワー期がそうだったのだ。

2011-05-31 20:20:36
fj197099 @fj197099

米国は大戦が終わると国防予算を削減し組織を縮小させる伝統があるが、朝鮮戦争終結で米国はWWII後に続き再び軍縮、緊縮財政の措置を採った。アイゼンハワーは退任時には軍産複合体への警鐘を鳴らしたほどの財政保守主義者だった。しかし国際関係は厳しく、冷戦華やかな時期であった。

2011-05-31 20:22:28
fj197099 @fj197099

米国がソ連中心の共産勢力の台頭をただ黙ってみている訳には行かない情勢があった。そこでアイゼンハワーと国務長官ダレスは「巻き返し」を宣言し、情報工作による形成転換を狙ったのである。それが1953年のイラクのモサデク政権転覆、1954年のグアテマラのアルベンス政権転覆であった。

2011-05-31 20:24:48
fj197099 @fj197099

これらはいずれもCIAを使った工作活動による政権転覆であり、情報工作のいわば見事な成功例であった。このように緊縮財政の下では通常の軍事力を用いた目的追求は困難なことから、工作活動が多用される傾向にあるのだ(本当は抑止の核兵器への依存も増すのだが、それはとりあえず置いておく)。

2011-05-31 20:26:44
fj197099 @fj197099

ちなみに言うと、1973年のチリのクーデターもこれに似た要素があると言える。当時、米国はベトナム戦争で疲弊し南ベトナムからの撤退が完了したばかりであった。チリに大規模な通常軍の派遣を行う訳にはいかない事情があった。そこでニクソン政権は情報工作によってアジェンデ政権を倒した。

2011-05-31 20:29:14
fj197099 @fj197099

翻って現在を見ると、米国はイラク・アフガンという二つの戦争からの撤退を開始しつつあり、中国の台頭にも係らず米国内では「大戦後」の道理として緊縮財政、軍縮ムードが強まっている。こうした中で軍と情報機関の連携が図られるのはいわば必然である。ビンラディン殺害はその嚆矢であるといえよう。

2011-05-31 20:31:06
fj197099 @fj197099

今後の米国は世界で問題が起こった場合には基本的には海空中心の遠距離攻撃による対処を心がけると思われるが、仮に必要でも大規模な陸上兵力は投入せず、特殊部隊か情報工作員(両者の境は曖昧)を通じた間接的な任務の達成を追及しようとするだろう。それが低コストで国際秩序を守る秘訣である。

2011-05-31 20:33:39
fj197099 @fj197099

ただ、過去の例を見ると情報機関への過度の依存は決まって余りよろしくない結果を生んでいることも確かである。例えばアイゼンハワー期の次のケネディ期にはCIAはピッグス湾事件という大失敗をやらかしているし、1973年チリ・クーデターのあともCIAはチャーチ委員会に取り調べられている。

2011-05-31 20:35:35
fj197099 @fj197099

ビンラディン殺害に国際法上の疑問点が存在するように、情報工作は必ず法の枠組みの外で行わねばならない要素を伴っている。それ故に情報工作の多用はある種の麻薬的作用があるとも言えるのだ。手を出せばハマるがいつかは破滅する。レーガン期のイラン・コントラ事件などはよい教訓である。

2011-05-31 20:37:28
fj197099 @fj197099

軍事力のみならず倫理や正統性を重んじる「スマート・パワー」を標榜するオバマ政権が財政難による国防予算削減という背景の中で情報工作に傾斜していく事はある種の危険性を伴っている事も否定できない。情報工作はビンラディン殺害のように正義に適う使い方もできるが、そうでない場合もあるからだ。

2011-05-31 20:40:48
esnoguchi @esnoguchi

御意、10数年前DCだけでなくピッグス湾の現場でも取材しましたがあれは失敗です。チャーチはロッキードで取材しましたが、これもおっしゃる通り。 RT @fj197099: ただ、過去の例を見ると情報機関への過度の依存は決まって余りよろしくない結果を生んでいることも確かである。

2011-05-31 20:44:05
fj197099 @fj197099

さすが、色々取材をしておいでですね。情報工作は国益の増進に時に非常に有効なのですが、失敗すると悲惨な結果になることも。@esnoguchi 御意、10数年前DCだけでなくピッグス湾の現場でも取材しましたがあれは失敗です。チャーチはロッキードで取材しましたが、これもおっしゃる通り。

2011-05-31 21:30:18
fj197099 @fj197099

現代における情報工作の成功例としておそらく最も有名なのはイランのウラン濃縮施設の遠心分離機に誤作動を起こさせて核開発を数年遅らせたとされるPCウィルス、スタックスネットだろう。米国やイスラエルの仕業と言われるが定かでない。内心日本も北朝鮮に試みればよいのにと思っていたりもする。

2011-05-31 21:32:12
esnoguchi @esnoguchi

いまいるのはアラバマのBF原発。走りながら同時に取材中はスタクスネット。モサドの友人からも米サイバー本部からも返事はない。 RT @fj197099: イランのウラン濃縮施設の遠心分離機に誤作動を起こさせて核開発を数年遅らせたとされるPCウィルス、スタックスネットだろう。米国やイ

2011-05-31 21:36:40