観劇報告書2019(11月-Ⅲ)

【ネヴァダの月】
【作品紹介】
西部開拓時代、ネヴァダ山脈のゴーストタウン。
人々はそれぞれの旅の途中、たまたま立ち寄ったにすぎない希望を求める家族、追われる女、追う男、逃亡するガンマン、住處を奪われたネイティブアメリカン、一人佇む世捨て人、それぞれの人生という旅路における、一瞬の、泡沫のできごと…(◆案内チラシより引用)

あるゴーストタウンに開拓民の女家族が馬車が壊れたってんで立ち寄ったらば、何かの抗争で父が傷ついたガンマン一家が来て、そして、移民が好き勝手やるのでどっちか言うと余り快く思ってない土着民のネイティブアメリカンがやって来て、そうこうしているうちにカップルとしてはどうみても不釣り合いなひ弱そうな男と娼婦の女が逃げて来たって感じのお話ですね。

全般になんかスゴい劇的にハッピーなことやバッドエンドなことが起こる訳でもないし喧嘩の場面やら抗争を除けばドタバタ劇が起こるって訳でもないのです。ホントに筋書きだけみると右から左に流すじゃないですけど通りすがりの人の話なんです。ただあとで考えてもみれば人との出会いってそんなもんだよなぁ〜って思わなくもない訳で。なんせ本来なら出会うはずのない人たちがその場所に理由もなく集ってる訳ですから。今ここにいる小劇場の劇場だって恐らくそうでしょう?造る側、観る側に一応仕切りがあって別れるとはいえ、同じ空間を一時とはいえ共有している訳ですからね。そして、きっとその中には二度と会うかどうかもわからない一期一会みたいな人も含まれていたりする訳です。なお、劇中では家族の描写が多かった気がしたのですがそういや確かに家族だってアカの他人同士が出会ってくっつくんですもんねぇ。

登場人物の主な特徴として全般に薄暗い井戸の底あたりになんか落っこして来たのだろうか?と言いたくなるキャラが多かった気がします。また全般に家族っていうか繋がりってものが強調されていた気もします、仲間意識というか。
【登場人物】
☆開拓民の女家族
★妹、モーリー（演:水野詩織)
★姉、ライラ　(演:原みなほ)
★母、バ―バラ　(演:YA-SU)
★祖母、マリア　(演:うえだしおみ)
(敬称と所属団体名は略してあります)

のっけから名古屋弁丸出しなんです。なんでそこ名古屋弁なんだよ!?みたいな感じで笑。
モーリーの第一印象は花飾り付きの帽子含めてメルヘンチックな甘え上手って感じですね、でも家族以外だとずいぶんと性格変わるというか…いやむしろそっちが本当の顔なのか?もっともジャッキーにそこを見破られてお前に何がわかる!?って感じで睨んでましたしねぇ。きっと過去に何かがあって壊れかけてるであろう彼女なりの家族への思いやりなんでしょうね。
ライラの第一印象は世話焼きな感じなんですね、ただダンの傷をやたら気にする所と終盤に彼に抱きつく所が気になりました。あれきっと劇中では一切触れられていないのでわかりませんが、(たぶん)死んだ父親って何かの傷が原因で亡くなったんでしょうね。それをずっと口には出さずともずっと後悔していたそんな気がします。
バーバラの第一印象はまんまアル中。そういやこの演目はやたらいろんな酒が出てきますなぁ。それはさておき彼女が酒の入った酒瓶を愛おしげに抱きしめる場面があったと思うのですが、モーリーも劇中では結構人形を抱きしめてた場面多かったからひょっとして、この人たち以外にも実は兄弟姉妹がいたんじゃないか?なんて少し考えてしまいました。
マリアは聖母マリアには程遠いイジワル婆さんって感じでしたね、にしても笑い方が…どっかにこんなアニメキャラいたよなぁ…ベンジャミンとは良いコンビ笑。にしてもマージャンは無いわ笑。

【登場人物】
☆ガンマン一家
★父、ダン　(演:いちじくじゅん)
★兄、アル　(演:樋口大輔)
★妹、ジャッキー（演：田口佳名子）
（敬称と所属団体名は略してあります）

ガンマン一家はなんか過去の経緯がよーわからんのですが、どこの組のモンがお見えになったのか?と言いたくなるくらい極道入ってましたな。使ってた方言としては広島弁あたりの様な気もしますがごめんなさい、詳しくないんで。
ダンは息子であるアルをフルボッコにした後良い子じゃのぉ〜と愛おしげになでくり回すあたりがもろ組長っぽいですよね、あれ。
そのアルは恫喝してフィリップから金を巻き上げているのでやっぱ暴力団の若頭あたりにしか見えないという笑。ついでに奪われた時も醜態晒しているのでいかにも小者っぽいし笑。
そしてそのアルやダンあたりにフルボッコにされまくってひどい目にしか合ってないのがジャッキーでした。なんせ20年くらい前の作品の再演なんでそりゃ女性に対する偏見が今より遥かにひどいと思うんで…とはいえ扱いが雑すぎ。もうこの辺になると暴力団の使い捨て（←おい)あたりの若い衆にしか見えない笑。そういや、ここも含めて銃を構えたりしてみんななんだかんだ威嚇的なことこそやってるものの、人は殺めていないのですね。

【登場人物】
☆ネイティブアメリカン
★ポポ　(演:松竹亭ごみ箱)
★ブブ　(演:ジル豆田)
★チチ　(演:宮田頌子)
(敬称と所属団体名は略してあります)

さて、ネイティブアメリカンですが、衣装と変な言語の上では最も西部開拓時代というのがわかりやすい種族ではありましたが何故に東北地方あたりの雪ん子かなんかの登場なのかってのがまずよーわからんのですよね、雪降ってね―し笑。見るからに怪しいしw　でもやっぱそこは色分けしてるんでしょうね、そういや言語も東北弁っぽかったし。でも考えてみると彼らだけが元々土着の民にも関わらずその土地にいることを許されず流れることを余儀なくされたんですよね。そうやって考えると結構劇中でも否応なしに引き裂かれた感じありましたよねぇ。チチの様に他の未開拓地あたりに行ってネイティブの精神を守るのか?それともポポとブブの様に既に白人あたりが入植しているけど故郷に帰るのか?みたいなとこがそれっぽいですよね。また同じくブブの様に白人に対し親近感を持って接するのか?チチの様にむしろ警戒が必要だと思うのか?ってとこもそれですよね。
それにしたって話変わりますけどね、ベンジャミンのチチとブブの扱い方不公平すぎじゃね?笑。美人ってのはいつの時代も得だ笑。あとそれとネイティブの祈りってのがスペシウム光線ってのは初めて知りましたわ笑。

【登場人物】
☆逃亡者たち
★フィリップ（演:菊池綾）
★イルザ　(演:きくちまや)
(敬称と団体名は略してあります)

最初、ずいぶんと不釣り合いなカップルが出てきたなぁーって感じだったんです、片や丸眼鏡の頼りなさそうな若い男、片や色気ムンムンのキツめの若い女ですからね、見ようによっては女怪盗とその助手あたりにも。まぁ実はその正体は金持ちの息子と娼婦なんですけどねw にしてもここでは問題はこのフィリップよりイルザの方ですよね、昔ザルマン好きだったっぽいし、この時だけは女というより明らかに雌に戻ってるし。にしても月の光が照らしてるっぽい井戸を覗き込んだ時彼女は何を思ったのでしょうね?フィリップから急に離れた件も含めて少し気になりました。新たな人生を歩むことで過去を精算してやり直そうとしたのでしょうか?それともやはり…。最後フィリップは少し置き去りで可哀想でしたね。

【登場人物】
☆その他
★ベンジャミン
★ザルマン

ザルマンは金に汚い系の見るからにマフィアっぽい男って感じでした。実際、劇中では列車強盗あたり企んでるし。登場こそ多くないもののなかなかに人物的には渋い。さて問題はベンジャミンという男の方なんですよね、人を食った様な下品な笑いとその言動からして怪しい浮浪者っぽいのです。最初は遺された井戸の残留思念くらいに思っていたのですがどうやらそうでも無さそうだし笑。もっと言うとそもそもどっから来たのかもよーわからんしねぇ、最後荷物まとめるは良いにしてもこれからどこに行くつもりなのかねぇ?この御仁…って感じでほんとに謎が多すぎるんですよね笑。結局彼が何者なのかは劇中明かされることは無かったと思うのですが、登場人物達にとっては全てを繋ぐという意味で、また観客にとってはあんた、誰!?という意味できっと強烈なインパクトを残したとは思えるキャラでした笑。(←なんやねん、それw)