「ドクタースリープ」レビュー 『"映画の続編"とはかくあるべきか』

「ドクタースリープ」に関するツイートをまとめました
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

#ドクタースリープ」見てきました。 結論から言うと、面白かったです。 『映画・原作 #シャイニング ファンどちらも楽しめ』はウソじゃなかった。 ネタバレ全開で書くのでご注意ください。 なるべく無情報で見たほうがいいタイプの映画です #映画 #映画レビュー #シャイニング完結 pic.twitter.com/7jth5tZryU

2019-11-29 23:54:48
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

本レビューではこちらの「原作・テレビ版・映画 #シャイニング レビュー」を踏まえます。 よければご参照ください。 togetter.com/li/1436444 togetter.com/li/1436447

2019-11-29 23:54:48
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

まず思うのが「これってサイキックバトル映画だよね」ということ。 正直、ホラー映画とは言い難い (笑) 元々原作シャイニングがそういう話で、キングは「キャリー」などでもいち早くサイキックものをやっていた作家なので、これはまあ別に想定内映画だけしか見てないと面食らうかもしれません。

2019-11-29 23:54:49
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

フィクションの「続編」にはいくつかのパターン、やり口がある。 1「前作のコンセプトをそのままにパワーアップ」 2「前作とは全く違うアプローチ」 3「前作と基本やることは同じ」 4「前作の世界観を拡張する」 5「名前だけ同じ別物(オイ)」 といったもの。

2019-11-29 23:54:49
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

今作は#シャイニング」から40年後。主人公は前作で子供だった「ダニー」 で、基本的な人間ドラマはこの40年後の状況をもとに構築される新たな人間関係つまり「新キャラ」によるものなので、この場合 4「前作の世界観を拡張する」にあたる。

2019-11-29 23:54:49
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

映画「#シャイニング」は、原作と全然別物になってるということで原作者のスティーブン・キングが激怒したことが有名。 で、この「#ドクタースリープ」も原作があるわけだが、たぶんほとんど原作通りじゃないでしょうか(原作は未読)

2019-11-29 23:54:50
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

#シャイニング」のレビューでも書いたが、あれは「キューブリックのシャイニング」であって、他人がマネ出来るものではないし、別にしなくてもいいというのが私の考えである。 映画版を軸に考えると 2「前作とは全く違うアプローチ」 と言える。

2019-11-29 23:54:50
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

しかし、サイキック描写が多い原作シャイニングを軸に考えると 1「前作のコンセプトをそのままにパワーアップ」 とも言える。既に1、2、4の条件を満たしている。

2019-11-29 23:54:50
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

さて、映画版ファンへの最大のサプライズはその「再現度」だろう。 続編やリメイクの場合、前作の映像をどう扱うかという問題にぶち当たる。 最近では「昔の俳優をほぼそのままCGで蘇らせる」という手法が流行っている。

2019-11-29 23:54:51
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

#ブレードランナー」「#スターウォーズ」「#ターミネータ」「#レディプレーヤーワン」「#ジェミニマン」等でそういう技術を目の当たりにして驚かされている。「#アイリッシュマン」も似たもの。 これは現在の「ハリウッドの流行」なのである。

2019-11-29 23:54:51
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

で、本作はどうかというと、なんと「そっくりさん大会」である。 昨今の流行を知ってる身分としてはこれには純粋に驚かされた。「あぁ、そうくるのか(笑)」とサプライズだった。 しかも、みんな容姿は「微妙な似加減」である。 笑っていいとものそっくりさん大会の「あぁ・・・(苦笑)」レベルである。

2019-11-29 23:54:51
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

しかし、役者の動作の癖や「話し方」がソックリなのである。 ウェンディの「ダァハニィ!」という独特な喋り方の再現でまずそれに気づく。 吹替え版はやってないと思うが、だので今作は絶対に字幕版がオススメだ。

2019-11-29 23:54:52
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

この「微妙な似加減」というのは本作を象徴していると思う。役者、映像、物語、どれも「微妙に似てる」=「1、2、4を満たしてる」のである。 前作と同じだけど違うところもある、でも忠実なところもある。なんともニクイ塩梅の「続編」だ。

2019-11-29 23:54:52
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

前作のレビューで「恐怖の性質」について述べたが、今作はまぁ当然だがキューブリック版の恐怖の継承は出来ていない。 お化け屋敷的な「急な物音でビックリさせる」が多かった印象だ。 音楽のイメージが前作によく似ていて、どうでもいいシーンでもおどろおどろしい音楽が流れているところは「似てる」

2019-11-29 23:54:52
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

シナリオ面の話に移ろう。 前作は「物を語る」ことを放棄して「恐怖」を構築した(原作を無視した) 今回は、極めてオーソドックスな物語だ。 初っ端から視点が三つある。「ダニー」「真の絆(敵対者集団)」「アブラ」である。 序盤はこの三者の行動が並行して描かれる。

2019-11-29 23:54:53
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

これは原作シャイニングもそうだった。ジャック、ウェンディ、ダニー三つの視点で物語が進む。おそらくキングの叙述を忠実に再現した脚本だと思う。 だので、前半は映画としてはちょっとかったるい印象だ。

2019-11-29 23:54:53
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

今作には明確に「敵対者」が居る。「真の絆」というアヤシイ団体だ。概ね満足した作品だが、この敵対者はいただけなかった。 というのもこいつら「弱い」のである。設定的には凄いことをやっているのに割とあっさり倒される。 敵のボス「ローズ」も、正直凄味に欠けていた。

2019-11-29 23:54:53
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

「真の絆」の描き方には大いに不満がある。ホラーとしてもスリラーとしても正直陳腐なイメージだ。 これは原作を再現しすぎたのではと勘ぐっているが、とにかく「おしゃべり」なのである。 「エモノを捕獲したのに無駄口を叩いて反撃される」よく見るパターンの迫力不足の悪役だ。

2019-11-29 23:54:53
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

大体、奴等「何が楽しくてそれをやっているのか」が伝わってこない。 永遠の命や若さのために生贄を欲するというのは古代からある邪教的思想だ。 どこかの宗教団体やどこかの富豪の島なんかで、今でもある儀式である。

2019-11-29 23:54:54
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

そういう連中は大体「肉欲」だとかに溺れているが、今作の「真の絆」にはそういった「強い欲望の描写」がない(もしかしたら原作の描写がエグすぎて規制した?) ただのヒッピーキャンパー集団にしか見えない有様である。

2019-11-29 23:54:54
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

更に新キャラの少女「アブラ(前作でいうダニーのポジション)」が困ったことに「強すぎる」 原作の前作では幼少期のダニー壮絶なパワーの持ち主として描かれていたがこのアブラはそれを凌駕する能力の持ち主だ。 これが緊迫感の減退を助長してしまっている。

2019-11-29 23:54:54
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

ケラケラと笑って他者を余裕で蹴散らすのは #大友克洋(敬称略)の「#童夢」の「エッちゃん」を思い出した。 今作のダニーは基本部外者で、物語の軸はこの「アブラvs真の絆」である。 ここは前作を映画版だけしか見てない人には5「名前だけ同じ別物」に見えても仕方ない部分である。 pic.twitter.com/8VEcjpIe1M

2019-11-29 23:54:56
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齋藤 雄志 @Yuusisaitou

ホラー映画として、あるいは恐怖描写は正直陳腐で大したことはない。 冒頭の「老婆」がシャワー室から出てこようとするところで「カチャカチャ動くドアノブ」をアップで映した時点でキューブリックと別物とわかるのでそこはいい。 (空間を重視するキューブリックならドア全体が映る引きで見せただろう)

2019-11-29 23:54:56
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

しかし、本作は「サイキック描写」がなかなか独特で秀逸なのだ。 画面ごと重力が動く、ローズの妙なテレポートはなかなか珍しい表現だと思った。 「前作(原作)とは全く違うアプローチ」でも、それが優れていれば問題はない。それこそキューブリックが「#シャイニング」でやったことではないか。

2019-11-29 23:54:56
齋藤 雄志 @Yuusisaitou

物語の終盤「オーバールックホテル」に向かうのはどうしても燃えてしまうここの展開は「#スカイフォール」を思い出した。 罠にはまったと見せかけて自分のホームに敵を誘い込む。 自身のルーツでありトラウマの地に再び赴いて向き合う。 #スカイフォール同じ流れだ(移動シーンも似ていた) 続く pic.twitter.com/Ewrd1bVBem

2019-11-29 23:54:58
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