津原泰水@tsuharayasumi より津原小説講座(2015年開講)の書籍化『小説教室』刊行に向けての投稿抜粋

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津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

津原小説講座では、そういった事をマシンガンの如く捲し立ててきた。途端に上手くなられた受講生も、逆に悩み込んでしまわれた方もいる。いまテープ起こしが進んでいる。単行本化する予定らしい。講座はあと二十年はやらないつもりなので、仔細はそちらにてご確認ください。

2016-01-22 08:56:20
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

津原小説講座のテープ起こしが進んでいる。なにせたった六回の講座であったから、受講生の皆さんにすこしでも「伝えたい」という切迫感のようなものがあり、普段から早口の僕がなお一層のマシンガン。再生速度を半分近くに落としたら、やっと普通の人の話し言葉になったという。

2016-02-16 14:14:25
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

津原小説講座(ジュンク堂ではないほう)の文字起こしが、3/6回目まで終了したとの報。僕の推敲を経たのち、ここまではウェブで無償公開するらしいです。もう、こういうことは滅多にやらないから、貴重な機会だと思ってくださると嬉しい。毎回、自身の短篇を自己分析しています。

2016-02-25 06:25:06
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

講座なんて事態になったのは、僕が意外とロジカルに作品を組み立てていることにエージェントが気付いたから。「誰にでも書けるよ」「いや、そこは津原さんだからであって」は水掛け論だが、なにかヒントにしてくださると嬉しいです。小説シーン全体が活性化しなかったら、僕も食い詰めてしまう。

2016-02-25 06:31:39
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

『津原泰水短篇小説講座/最前線の技法(仮)』(出版社未定)。昨年、限定六回で日本近代文学館にておこなった講座の、書き起こしです。版元が未定なのはエージェントによる主催だからで、テープ起こしは半分以上まで進んでいます。ノーアイデア、ノープロット、ノーキャラ立ちから、どう書くか?

2016-03-24 08:41:31
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

高い受講料を支払ってくださった受講生諸氏には、本当に感謝しています。僕も精一杯に手の内を見せました。ただそれは、諸君が追い付いてくるころ僕は次の段階にいる(いるべきだ)という気概の顕れです。エージェントが「本当に巧くなるんですね!」と驚いていたのが、我が事のような喜びでした。

2016-03-24 08:49:35
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

昨年行った短篇小説講座の単行本化が進行しているが、まだ版元の条件を見合わせている状態らしいので、新たに挙手の意あらば、遠慮なくアップルシード・ エージェンシーにご連絡ください。僕がこうしてツイートしているあれこれも放り込むらしい。「『火花』を読む」も入れるかと云い出しそうな……。

2016-07-02 13:11:10
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

以前やった小説講座のテープ起こしも進んでるんだけど、意外と思い付きでは喋っていなかったらしく、今回のメイキングと大いに整合性があるそうです。受講生聴講生諸氏には、ある意味で痛快なサブテキストかも。インタビュアーは人物の造形法を尋ねたいのに、僕はまったくそこに関心がないとか。

2016-11-11 02:50:07
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

僕の小説講座は一冊の本になります。もう版元も確定している。売り文句は、アイデア不要、キャラ立ち不要、情景描写不要、その他諸々とにかく要らない、みたいな感じ。奇を衒ったのではなく、既存の講座に慣れている人にはそうとしか聞えなかったという次第で、役立つかどうかは読み手次第。

2016-11-11 03:32:40
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

小説講座の書き起こし本は来春、東京創元社より。神懸かったように整然と喋っているため、大きな修正はない模様です。タイトルはそのまんま『小説教室』。キャッチは「読めば小説が書きたくなる」らしく「受賞」でも「売れる」でもなく動機付けのみというハードルの低さが、奥床しくて宜しいかと。

2016-11-17 05:55:14
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

講座はまず短篇にフォーカスし、長篇はそこからの応用という体裁でした。アドリブでご披露しましたように、脱・アイデア主義、脱・設定病とプロット病、脱・描写ノルマ等を標榜、コピーを重ねられ現状に合わなくなっているメソッドは一端忘れて頂き、前線ではこう書かれている、をお伝えする内容です。

2016-11-17 06:06:27
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

既存の小説メソッドに喧嘩を売るも売らないも、まあどっちでもいいんですが、指摘しておきたいのはその大半がハリウッド、つまり脚本を規範にしていることです。ケーキの土台を量産するためのノウハウを、羊羹に持ち込んじゃった。だから土台を湿らせたりコーティングしたりの珍妙なプロセスが生じた。

2016-11-17 07:00:04
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

ハリウッド方式も一作法としては面白いと思います。あくまで選択肢の一つとしては。小説『ペニス』に僕はこんな架空の作法を記しました。原稿用紙一枚に筋書を記す。つまらなくてもいい。文字数だけで十分割して各々を一枚に引き延ばす。半端な行はそのまま解釈する。三回繰り返せば千枚の大作になる。

2016-11-17 07:14:52
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

自分が長らく偏愛を寄せてきた事物を題材にしてしまうと、作品は暴走しがちです。先刻の僕の、小説にまつわる弁と同じです。読者はその題材の何が「分からない」のかを、書き手が分かっていない場合が多いんです。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-20 21:19:21
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

アマチュアにとっての高いハードルは、「その題材で締め切りまでに書ききってください」と言ってくれる存在がないことです。裏を返せば、意識のうえで作家と編集者の二役をこなせる人は、凡百のアマチュアの中でも合格圏内にいることになります。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-20 21:51:34
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

(バレメカの)発想の原点は地下鉄の路線図です。上京したてのころ駅で——東京の鉄道網は凄いですよね。僕は未だに路線図を見ずには地下鉄に乗れないんですが——睨めっこしながら、これは脳のシナプス構造じゃないかと思った。乗降客が情報です。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-20 22:47:26
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

『小説教室』のテープ起こしを読める文章に直しつつ、なんとなく目に付いたところを抜粋しています。意図するところの1/3は、編集者への「ここまで進んでいる」報告です。別の1/3は、読者への本の内容のご紹介です。残りは、いままさに生みの苦しみの最中にある人々へのクリスマスの贈り物です。

2016-12-20 22:56:39
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

「僕」や「私」で書いて主語を「君」に一括変換すれば二人称になるかといえば、まあ形ばかりは。でも各所に歪みが出てしまって見苦しく、やらないほうがましだったという文章になります。一人称とは違う、独特な主人公との距離感が必要なんですね。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-20 23:20:42
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

自らの書き方を縛り、表現を限定する事に何の意味があるかと申しますと、書く方も読む方も意識の集中のさせどころがはっきりしますから、スピードスケートのショートトラックよろしく、通常の書き方では望みようのない緊迫感、疾走感が生まれます。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-21 00:31:28
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

「小説なんて自由に書けばいい」と誰もが口を揃えます。なんだけれど、そう言っている人たちの本音をよく聞き出してみると、「自由に自分の手足を縛ってください」という矛盾した要求なんですね。あるいは「礼儀正しく乱れてください」といった。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-21 00:53:44
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

不特定多数の人に物事を伝えるというのは本当に難しくてですね、ここだけは聞いて帰ってもらいたいという時は皆さん余所見をされていて、あとでノートを覗かせてもらうと、滑ったおやじギャグに限って必ずメモられてるんですよ。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-21 01:34:08
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

むかし専門学校で教えていたとき「一行で百年を経過させてください」と言ったら、誰も出来なかった。「百年が経った」でいいんですよ。「原稿用紙一枚以上書きなさい。そこで経過する時間は一秒だけです」。これも出来た子はほとんどいなかった。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-21 02:11:20
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

先日も資料として川端康成の『浅草紅団』という作品を読んでいまして、これには続編があるんですよ。それを書くため正編を読み返した川端、なんでこんな代物、と自分で嘔吐しそうになっている。もう嫌で嫌でしょうがないとまえがきに書いてある。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-21 04:29:40
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

ひけらかしの誘惑には常に気をつけてください。前代未聞の比喩表現を見つけたとしても、その文章が果たすべき役割を阻害しそうなら、あるいは有っても無くても同じだと感じたなら、惜しげもなく消去してください。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-23 18:18:11
津原泰水(やすみ) @tsuharayasumi

メモしておく必要さえありません。作家に必要なのは、いつか使えるかもしれない貴重な部品のコレクションではなく、凡庸な道具箱から最適な部品を選び取る選択眼です。——津原泰水『小説教室』(2017年3月刊行予定)

2016-12-23 18:18:43