読書メモ:松井 知巳著:だれでも証明が書ける—眞理子先生の数学ブートキャンプ
松井 知巳著:だれでも証明が書ける—眞理子先生の数学ブートキャンプ http://www.amazon.co.jp/dp/4535786305/ を流し読み。
2011-06-03 16:48:41ちょうど、担当している数学系の授業において、学生があまりにも証明を書けないので、証明の書き方、あるいは、典型的なパターンをまとめて、学生に教えないとダメかなぁと思っていたところだった。大学の生協書籍購買部で見つけて即購入。
2011-06-03 16:50:21本書は、使える性質と導く性質を整理した表を用いて、数学の証明パターンを説明している。この表を使う方法はとってもよい。本書の後書きによると Daniel J. Vellemanという方が提案した given-goal table というものらしい。
2011-06-03 16:52:13全体的に良い本だと思うけど、数学が苦手な人が読み通せるかというとちょっときついような気がする。理由は、論理の記号を使いまくっているため。数学ぎらいは記号を見た瞬間に苦手意識をいだくのでパラパラめくった段階で嫌になるかもしれない。
2011-06-03 16:56:16ただ、個人的には自然言語を使った数学の証明に古典論理の知識を導入しているのはちょっと嫌。というのは、選言と実質含意の古典数理論理における意味が、日本語の「または」と「ならば」の意味から大きく掛けはなれているので逆に分かり辛くなるというのがその理由。
2011-06-03 17:00:54特に実質含意が嫌だ。証明では「AならばB」を示す場合、Aが真のときにBが必ず真であることを証明するのだけれども、古典数理論理の解釈なら、Aが偽のときも「AならばB」は成り立つ。でも、証明ではそのことは考えない。個人的にここがいまいち納得できない。
2011-06-03 17:06:42とはいえ、given-goal table を利用するためには「または」「ならば」を古典数理論理の解釈で使わないといけないみたいなのが悩ましいところ。
2011-06-03 17:23:58別の話題で、私は対話形式の文章が苦手なので、本書のナチュラルモードのマリコ先生と私のやりとりがちょっと読みづらかった。それとは別に、ところどころ、マリコ先生の女らしさ(セクシャル?)な描写が入るのが内容とあんまりにも関係なくておもしろかった。
2011-06-03 17:26:50まず、わかりやすい説明とわかりやすい証明は別物であるということ。わかりやすい証明は曖昧さをのぞき、あら探しされてもよいように書かなければならない。この曖昧さを取り除く方法として古典数理論理が登場する。
2011-06-03 17:29:48次に、証明を開始する前に、証明に使える性質と証明により導く性質の二つをしっかりと列挙しなければならない。そして、証明の中では、列挙した証明に使える性質を少なくとも1回ずつ使用しなければならない。
2011-06-03 17:31:38また、証明に使える性質はできるかぎり細かく列挙する。本書ではこの性質の列挙の際に古典数理論理の知識(用語)を利用している。また、証明に使える性質と導く性質が一目でわかる表がgiven-goal tableである。
2011-06-03 17:34:01「任意の~」という論理学の用語でいう全称記号付きの命題を証明する場合には、いかなる場合にも成り立つことを証明しなければならない。一方で「ある〜」という存在記号付きの命題の証明は、1つの具体事例をあげれば十分である。
2011-06-03 17:36:12