茂木健一郎さんの「パターナリズム(父権主義)」
- toshihiro36
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パタ(1)「広げるに値するアイデア」を議論する場として注目されているTED (http://www.ted.com/)に参加した時のこと。3日目くらいに気付いた。誰も、連邦政府に言及しないし、大組織の話もしない。みんな勝手にやっている。
2011-06-04 06:42:43パタ(2)TEDでは、組織や、肩書きがあればいい、などとは誰も思っていない。大切なのは、「広げるに値するアイデア」だけ。政府に期待だとか、補助金がどうのとか、そんなことを一人も言っていないのは、きわめて爽快であった。
2011-06-04 06:43:53パタ(3)子どもは、親が何でもやってくれるものと思っている。その期待が裏切られると、地団駄踏んで泣いたりする。どうして買ってくれないんだよ〜! そのうち、親もまた人間であり、完璧ではなく、いろいろ欠点もあるのだということが見えてくる。
2011-06-04 06:44:57パタ(4)どうも、日本人は、国というものを何でもやってくれる親だと思っているところがある。だから、裏切られると怒る。わめく。なんでやってくれないんだ、と追及する。しかし、それは裏返すと、国が面倒を見てくれるはずだ、という期待があるということである。
2011-06-04 06:46:00パタ(5)「パターナリズム」が、日本で飛び交う言葉の背後に見え隠れする。大新聞が社説で「国はもっとしっかり」などと書くのも、その一例である。国はどうせ大したことをやってくれないんだから、自分たちでさっさとやるよ、という気持ちが、そこには感じられない。
2011-06-04 06:47:15パタ(6)情報を隠蔽していた、というのもパターナリズムの裏返しである。隠蔽していたも何も、最初からたとえば英語圏にはその情報があったりする。言葉の壁を考慮しても、自分で情報を集めようとすれば、それはとっくに存在しているものだったりするのだ。
2011-06-04 06:48:16パタ(7)国がだらしないとか、政治家がダメだとか、そういう言説を信用しない。「しっかりと保護してくれるはずだ」というパターナリズムに対する期待の裏返しに過ぎないからである。国だって政治家だって、しょせんは人間。あなたや私と同じように、不完全なのだ。
2011-06-04 06:49:38パタ(8)子どもは、最初は親に頼るが、そのうち大きくなって、自分で生きるようになる。それから、親の面倒を見るようになる。日本人はいい加減に、パターナリズムの幻想から覚めて、自分の足で立つようになったらどうだろう。
2011-06-04 06:50:44パタ(9)親が小さく見えた時、人はきっと大きく成長している。国が小さな、頼りなく、情けない存在に見えた時初めて、私たちは精神的に一人立ちできるんじゃないかな。国なんて、所詮そんなもんだよ。だって、不完全で弱い人間が集まってできている幻想に過ぎないんだから。
2011-06-04 06:51:56