【スプーンと骨】福間健二 #k2fact241

12月1日から12月10日まで。書き出し、カギカッコのなかは、いま公開準備中の映画『パラダイス・ロスト』のチラシに使うものとして考えたもの。夫を失ったヒロインの言葉。それに対して何をやったことになるのか。ミスティフィケーションになるのを恐れずに言えば、生と死の境界に立って言葉を発したいということだったかな。4の、体育館の裏に「いろんなものを落ちていた」というのは、ほんとうにこの五月に亡くなった加藤典洋さんの遺した詩に出てくる。後半、思っていたのは「創作の基本はロマン主義」ということ。 音楽は、6で使ったSamantha Fishの「Kill Or Be Kind」。彼女は、この11月29日にシカゴでライヴをやった。 https://www.youtube.com/watch?v=XEDgMsI7fd8
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福間健二 @acasaazul

「夢で会う人。その手に助けられて地上に戻ったわたしを彼は昼間も見ている。人々の通る道に影を踊らせながら。でも、彼はもう生きることはない」ときみは書いている。八月、熱した石と光る砂の上に。スプーンと骨。音はしたが、だれもきみが投げたとは気づかない。(スプーンと骨1)#k2fact241

2019-12-01 12:01:25
福間健二 @acasaazul

この絵。赤い屋根の学校がある。たぶん、休みの日。でも、校庭にだれかいる。学校の外の、ポプラの木の下の道にもだれかいる。どちらもひとりで、もう子どもじゃないが、性別不明。二人の瞳におたがいのいるところは映っていない。消えそうな昼間の月が二人を見ている。(スプーンと骨2)#k2fact241

2019-12-02 10:22:19
福間健二 @acasaazul

音のことを言わなかった。チェロが聴こえている。伴奏のピアノ、そしてかすかに遠くの戦争の音も。でも、脱線、逸脱、陰陽どちらへの迷い込みにも慣れているぼくたちの場合、あまり前もって考えなくても大丈夫かな。「飲む」と「腹を立てる」をすぎないようにすれば、ね。(スプーンと骨3)#k2fact241

2019-12-03 10:52:48
福間健二 @acasaazul

だれかの心がだれかの心から逃げようとしている。そんなSPの音。見えない場所のことも考えさせる。たとえば体育館の裏。「そこにはいろんなものが落ちていた」と去年の冬に書いてこの五月に旅立った人がいる。きみの知らない彼が見た未来。スプーン、何をすくいとるか。(スプーンと骨4)#k2fact241

2019-12-04 10:53:52
福間健二 @acasaazul

ロンドンにはなかった。きれいな空と心のかげりに気づく鳥たち。思い出した。屋根につもって人を眠らせる雪は降った。そんな冬への鍵も落ちているかな。じゃなくても、きみにできること。スプーンを使ってできること。量る。つぶす。混ぜる。食品。薬品。作品の断片まで。(スプーンと骨5)#k2fact241

2019-12-05 19:18:12
福間健二 @acasaazul

十一月二十九日、ミズーリ生まれのサマンサのライヴのあと。いったん別れ、それぞれの用事をすませてから会う約束をした店に彼は現れなかった。深夜の、やわらかい肉。ひとりで食べた。店が閉まるまで待った。Kill or Be Kind. どっちかだ。決めろとサマンサは歌った。(スプーンと骨6)#k2fact241

2019-12-06 08:26:28
福間健二 @acasaazul

なにかやってくれと言われた。驚きながらもちょっとうれしくて音を出した。即興で、骨になって。いくつもの未遂をめぐる騒ぎのあとの、小雨のなか。ぼくはもうなだらかな坂道を降りていこうとは思わない。朝のコーヒーをおいしそうに飲む人たちには、でも嫉妬する。(スプーンと骨7)#k2fact241

2019-12-07 10:19:43
福間健二 @acasaazul

「わたしを見ている人がいる」。この木はそう思って葉の色を変化させている。そんな思い込みに別な思い込みもかさなって、十二月、追いつめられた心にもこうして逃げ道が。別な思い込み、それは「わたしを待っている人がいる」。その人はスプーンでなにかかきまぜている。(スプーンと骨8)#k2fact241

2019-12-08 09:50:40
福間健二 @acasaazul

そのカップの中身。いいもの、悪いもの、どちらとも言えないか。内出血するガラスのむこうに見えるこの世の景色。ブルーブラック、破れたところ多いけど、一度破れてまたつながる線の動きは官能的だ。約束の場所に連れてけよ。捕まった心がしかたなさそうに笑って言う。(スプーンと骨9)#k2fact241

2019-12-09 08:54:47
福間健二 @acasaazul

スプーンと骨。正直な犬に吠えられ、逃げ込んだ眠りから引きずりだされ、節穴に見つめられて。泣きたい。いいよ、泣きなさい。どっちがきみのセリフだろう。人間学、一から勉強しなおしだと薄明かりに誓いながら舞いおりた。この場所。恋人たちの場所。ぼくたちの場所。(スプーンと骨10)#k2fact241

2019-12-10 08:10:56

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