第二回eスポーツ倫理学研究会ワークショップ

2019年12月18日(水) 15:00~19:30 @立命館大学衣笠キャンパス 平井嘉一郎記念図書館1F カンファレンスルーム (研究会の詳細は以下Webサイトを参照 https://sites.google.com/view/e-sportsethics/home
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#eスポーツ倫理学 岡本「(開催の言葉)広島大の岡本です。AIの倫理学をしています。第一回、広島大学では倫理学中心の話をしました。第二回はゲーム側からの話をしたい。サイトはこちらに sites.google.com/view/e-sportse…

2019-12-18 15:13:33
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#eスポーツ倫理学 井上「05月の広島大の研究会は大変おもしろかった。岡本慎平さんがおっしゃっていた(岡本2019「ビデオゲームがなぜ倫理の問題になるのか?」)に対する主張を2つほど用意した。

2019-12-18 15:17:14
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#eスポーツ倫理学 井上「主張1:ビデオゲームのルールの特性とされるものは、そうでないものと比べた場合に相対的に抽出される特徴にすぎない(スポーツ倫理学で論じられている議論も応用できるのでは)」「主張2:ただし、“ゲーム”の定義をより狭めれば、eスポーツ特有の問題は論じられる(のでは)」

2019-12-18 15:19:28
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#eスポーツ倫理学 井上「ビデオゲームにおけるルールの独自性とされているもの。 (1) 固定されたルール (2)ルールの自動実行 (3) 身体的不平等/制約からの自由 (4) 競技者による肉体的暴力からの自由 (5) ユーザ間の慣習の不在(Rolf E Nohr 2012 や Juul 2015など、(4) のみ井上の独創)を挙げる」

2019-12-18 15:22:13
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#eスポーツ倫理学 井上「これらはどれも言われることだが、それぞれ再検討が必要。たとえば(1)ルールの固定性。主にそこで想定されるのはコンシューマ(家庭用)ゲームだが、論争的な例として、マイコンBasicマガジンを用いたプログラム投稿誌の打込がある。打ち込む側もソースコードを改良しうる」

2019-12-18 15:23:54
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#eスポーツ倫理学 井上「これ以外にも、任天堂『マリオメーカー』でもよい。さらに面倒くさい話として、1980s以前のビデオゲーム。Magnabox Odyssey “Table Tennis” (1972) には、球打ちアルゴリズムはあるが点数計算機能はなかった。同年のAtari “Pong” も、得点計算はあっても勝利条件はついてない」

2019-12-18 15:26:10
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#eスポーツ倫理学 井上「ほかにも、“あそび”におけるルールを固定するインセンティヴの弱さ。L. Hughes 1983 “Beyond the Rules of the Game” における Four Square というボール遊びの事例を挙げる。主に女の子達が遊んでおり、その中でルーイちゃんが決めた慣習的ルール(Rooie Rules)が普及した」

2019-12-18 15:29:34
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#eスポーツ倫理学 井上「その慣習的なルーイ・ルールを守っていて、それらをなんとなく守っているとと、女の子たちが“Nice!”とコールする。そこに男の子が混じって、外から競技スポーツの世界を持ち込む。けれど女の子たちはだれも全てのRooie Rulesを列挙することができない」

2019-12-18 15:31:12
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#eスポーツ倫理学 井上「したがって --------- Nice! --------- 曖昧なRooie Rules --------- Playの実践 ———— というピラミッドがあるとして、実はルールの固定性というものにも幅があるよね、Nice! を目指すことのすべてにも曖昧な領域があるよね、という話しができる。」

2019-12-18 15:32:45
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#eスポーツ倫理学 井上「ほかにもSutton Smith 1997 において論じられた7つのレトリックもある。ここには成長;運命;力/権力;アイデンティティ;想像性;自己;不真面目の7つのレトリックがある、という議論をしている。これについては『多元化するゲーム文化と社会』拙稿でも詳しく紹介した」

2019-12-18 15:34:16
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#eスポーツ倫理学 井上「サットンスミスの話からも、固定されたルールという前提が必ずしも自明ではないかも、という話ができそう。次、(2) ルールの自動実行 についても、例外をが見いだせる。ストリートファイターシリーズの「闘劇(2003-2012)」ではIIIまで豪鬼が禁止されていた」

2019-12-18 15:36:08
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#eスポーツ倫理学 井上「しかしこれは明らかにアルゴリズムで自動的に決まっているものではなく、人が決めているもの。禁止がない場合、Evo2001におけるストα3ではAkuma(=豪鬼)使いがランキング上位を占める傾向がみられる」

2019-12-18 15:37:50
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#eスポーツ倫理学 井上「日本で豪鬼禁止の慣習が生まれ、米国では生まれなかった。なぜこの差が生まれたのか明確な検証はできてないが、日本のゲームセンターのほうがプレイヤー同士の対面機会が相対的に多く、規範が衝突する頻度が多かったからという仮説(未検討)があるが……」

2019-12-18 15:40:09
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#eスポーツ倫理学 井上「ほかにも、ポケモンカードバトルやMtG等で、オフラインとオンラインで“長考時間について許される規範”がだいぶ異なるという報告もあった。同じルール、アルゴリズムでも、そのゲームを実行する環境によっても、(生成される規範が)違ったりするということも、考慮できる」

2019-12-18 15:41:47
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#eスポーツ倫理学 井上「『クローズアップ現代』で紹介された、障害者のeスポーツへの取り組み。障害者にむけた特別な機器が作られることで競技が可能になっているが、大会で認められる障壁がやや高い現状がある。これ、実はパラリンピックで実際に起きていることとパラレルだと言える」

2019-12-18 15:44:47
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#eスポーツ倫理学 井上「オスカー・ピストリウス。パラリンピックの陸上競技選手だが、彼の用いる義足が、健常者の脚より高い性能なのではないかと委員会から審議にかけられた。これはeスポーツの前線でhitbox等のeスポーツ選手の用いるデバイスが禁止される流れと近似しているといえないか」

2019-12-18 15:46:59
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#eスポーツ倫理学 井上「(4) ビデオゲームは肉体的暴力から完璧に離れられているか。これも実は理屈として苦しい。スポーツ自身も流血スポーツから改訂されて今の形になった歴史がある。(松井良明『近代スポーツの誕生』講談社現代新書に詳しい)ではeスポーツはどうか」

2019-12-18 15:49:54
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#eスポーツ倫理学 井上「eスポーツ選手がNZ銃乱射事件について、2ch(5ch)コピペを改変してネタとして投稿したが、不謹慎発言として炎上、チームも脱退する流れになった。では実際FPS選手が避けて逃げられるかというと、グロスマン『人殺しの心理学』のような議論がないではないけれども……」

2019-12-18 15:50:57
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#eスポーツ倫理学 井上「(5) ユーザ間の慣習の不在 についても、前回の岡本2019発表のように、RTAですら、視聴者を措定しての慣習の成立があるのだから、疑わしくなってくる。……ということで、(1)〜(5) いずれについても再検討ができる。これに基づきレイヤーをさらに限定すると特性を論じやすいか」

2019-12-18 15:53:47
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#eスポーツ倫理学 井上「個別には、(1) ソースコードに触れられない構造に限定 (2) 自動実行されるルールだけをルールの全体とみなす場合に限定 (3) 筋肉量の問題になる程度を減らす (4) 対面ケースを除外して考えれば打倒するか (5) 他者鑑賞やプレイスタイルに関する議論も排除できれば妥当するか」

2019-12-18 15:56:45
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#eスポーツ倫理学 【質疑タイム】 長門「ゲームにおけるメカニクスと、スポーツを論じる際に用いる{構成的規則・制約的規則}などを比較しようとするとズレそう」 井上「サールの用語ですね。確かにルール概念が多義的・多層(多相)的と言う話は複雑」

2019-12-18 16:02:20
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#eスポーツ倫理学 長門「ボクシングでベルトより下を殴れない場合は、そういう規範があるから。ドラクエで水に入れないのは、そうメカニクスで決められているから。けれどeスポーツ大会では、豪鬼禁止は(自動実行するタイプの)メカニクスに入れられなさそう」 井上「仰る通り」

2019-12-18 16:05:36
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#eスポーツ倫理学 長門「自動実行されるメカニクス、という部分についてはまとまった言及があるか」 井上「多くの著者が少しずつ論じているが、まとまった言及は頑張っても探せていない」 長門「では自動実行について我々で書けば言及される可能性が……」 (会場「大いにあるよね」という反応)

2019-12-18 16:07:10
ながと @ngtaao

スト2大会での「豪鬼禁止」は自動実行されない、というより豪鬼禁止は自動実行される/されないとは別のレイヤーに属してる規範だ、という方が正確かな。

2019-12-18 16:09:43
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