兼原信克『戦略外交原論』査読

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polalis @_polalis_

兼原信克『戦略外交原論』は、名誉革命の後にマグナカルタが作られたり、ヘンリー八世による英国教会創設を「宗教改革のうねりの中」の事象とみなしたり(p251)する。こうした本を「圧巻」と評することは、「外交史」研究を如何なる方向に導くのだろうかなぁ。

2011-05-15 05:37:19
polalis @_polalis_

兼原信克『戦略外交原論』pp.135-136は杜甫の詩を3つ引く。しかし、「羌村三首」は「北征」の、「石豪吏」は「石壕吏」の、「茅屋為秋風所破嘆」は「茅屋為秋風所破歌」の誤り。原文との乖離も著しく、例えば石壕吏では「老母の息子は、すべて戦死していた」と改竄。

2011-05-16 07:27:36
polalis @_polalis_

「三男鄴城戍一男附書至二男新戦死」は「すべて戦死」とは読めぬ。兼原信克『戦略外交原論』は「外交官になると、まず最初に叩き込まれるのが知的謙虚さであり、「無知の知」である」(p.23)というが、身に付いていないようだ。原典の確認もせずに「無知」を晒すことは「無知の知」とは言えまい。

2011-05-16 08:04:59
polalis @_polalis_

さて、今日の兼原信克『戦略外交原論』は、 p.256。「元の時代にクビライから、モンゴル人、色目人(イラン人など)、漢民族、南方アジア人という順番で身分を押しつけられ、差別を受けてきた漢民族…」と。漢人・南人ってそう言う意味じゃないよねぇ。

2011-05-17 10:32:04
polalis @_polalis_

兼原信克『戦略外交原論』は「優れた歴史家の書いたものは、外交を考える上で多くの霊感を与えてくれる」(p.484)と言い、宮崎市定書を勧める。しかし、彼は先ずは高校世界史教科書を読むべきではないか~。

2011-05-17 10:35:39
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p1 外交官の武器は「言葉」であり、人間には普遍的に共通の「言葉」があるという。本書に顕著な傾向として、重要と思われる語ほど明確な定義や解説が意図的にか避けられているという物があるのだが、一先ずここで言う「言葉」とは一種のlogicを指すかと思われる。

2011-05-17 21:58:55
polalis @_polalis_

今日の兼原信克『戦略外交原論』はp.43。リップマンAmerican Diplomacy-Shield of Republicなる本に言及。どう見てもU. S. foreign policy: shield of the republicの間違いです。ありがとうございます。

2011-05-18 09:08:27
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p2 「言葉」を生むのは群れで生存を獲得する動物である人間に与えられた機能にして普遍的な「良心」であり、「良心」に迫る事の出来ない人間は魔にはまるという。また、独善に陥らない為には、普遍度の高い人間、社会、国際社会のイメージを持つことが必要と説く。

2011-05-18 22:56:07
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p2 「良心」が先天的な物か、後天的な物なのかすら判然とせず、明確化されていない。人間、社会、国際社会のイメージを持てというが、往々にしてそれ自体が偏見の種を内包がちである。「普遍度」が高ければ高い程、況してそう認識するイメージ程、危険ではあるまいか。

2011-05-18 22:59:00
polalis @_polalis_

兼原信克『戦略外交原論』p.185「しかし、迷った時、最後に自分に問うのは、「天に向かって恥じることはないか」という一点に尽きる。孟子もまた、天に向かって愧じるところがないことこそ、君子の楽しみである、と述べている(「仰不愧於天」孟子・尽心章句篇)」と。「こそ」じゃないだろ、と。

2011-05-19 09:10:32
polalis @_polalis_

兼原信克は『孟子』に見える所謂君子三楽の一つ「仰不愧於天、俯不怍於人」の前半だけ引き「俯不怍於人」を無視する。三楽の一つの一部分だけを引いて「孟子もまた~こそ」と主張するのは、文意の改竄だよね。兼原君、君は先ずはこういう行為を愧じたり怍じたりするべきではないか?

2011-05-19 09:11:53
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p3 筆者は「柔軟に応用の利く有益なモデル」としてウパニシャッドの「馬車の喩え」を用いて、意識の上位に「真の自我」が存在すると言う。これは意識ではなく、フロイトの言う無意識でも無いらしい。それでは何か、薄々予想は付くものの、答えは次頁にあるようだ。

2011-05-19 22:56:32
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p3 便利な例え話は知らず牽強付会の具となりがちである。また、何かに例える事で対象となる事物を説明、或いは理解した気になってしまうのも危険だ。更に、権威者の言を都合よく取り込んで自説を補強するのは楽ではあるが、その分だけ論を脆弱な物としてしまう。

2011-05-19 23:43:14
polalis @_polalis_

今日の兼原信克『戦略外交原論』はp.17。「人間が文字を使いはじめたのは、メソポタミアのシュメール文明以来であり、わずか一万年程度のことにすぎない。」と。シュメールと楔形文字の歴史も、随分と古くなったものだ〜。

2011-05-20 09:43:12
polalis @_polalis_

こんな調子で続けたら、一年経ってもツッコミ終わらない。出版前に、誰か添削してやらなかったのか、と。

2011-05-20 09:44:24
polalis @_polalis_

@zeong_dictator モスクワ=ロシアと帝政ロシアの区別ができないような人が、元欧亜局ロシア課首席事務官だったりするは……私も呑もう。

2011-05-20 10:58:12
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p4 「真の自我」とは「良心」である。人間は本能によって善悪を見極める事が出来ると共に、倫理に関わる感情がそれを指し示してくれるという。また、人類は広く普遍的、かつ先天的に与えられた道徳心である所の「良心」を持つと幾つかの古典を引いて主張している。

2011-05-20 23:05:15
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p4 斯かる「人間の条件」を設ける事の危険性については改めて指摘するまでも無かろう。寧ろ、文中に引用されている幾つかの古典、正確にはその訳文について、恣意的な引用や妥当性が何によって担保されているのか不明な独自解釈が為されてい点が気になって仕方が無い。

2011-05-20 23:11:29
polalis @_polalis_

@zeong_dictator 兼原信克『戦略外交原論』は、「未だ書き言葉を使いはじめて一万年にすぎない人類」(p.13)とか、「マグナ・カルタは、清教徒革命後の混乱の中で(中略)生まれた名誉革命の産物である」(p.303)とか同じ間違いを繰り返す。全て彼の「良心」の現れかもね。

2011-05-21 10:00:51
polalis @_polalis_

今日の兼原信克『戦略外交原論』はp.140。「隣の朝鮮半島でも、15世紀に大王世宗が出るまでハングル文字が出ず、漢字を使っていた。ベトナムではフランスによる植民地時代まで、漢字だけを使っていた」と。チュノムを無視するのは何故??

2011-05-21 10:28:25
polalis @_polalis_

@zeong_dictator @tiger07_sub 新約聖書について、極めて「独創的」な解釈を開陳していたりしますし、頼むからクリスチャンの前でその話をしないでくれ、と。

2011-05-21 10:31:01
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p5 善悪の判断自体は後天的かつ相対的であるが、しかし、善悪を判断する機能である「良心」は先天的、普遍的に存在する。故に、善悪の判断を行う際は自己の「良心」と直面せねばならないと説く。また「良心」は人間集団の生存に資する行為を善とし、逆を悪とするという。

2011-05-21 20:57:57
zeong @zeong_dictator

兼原信克『戦略外交原論』 p5 文意に従えば、甲が善とした事を、乙が悪とする事は起こり得るが、甲乙が善悪を判断する事自体は普遍的であり、それを「良心」と称するらしい。それならば、更に「良心」が人間集団の生存に資する行為を善とするなら尚のこと、「良心」こそが抗争を生むのではないか。

2011-05-21 20:58:04
polalis @_polalis_

兼原信克『戦略外交原論』 p.121。「(中略)元朝や清朝はもともと騎馬民族による征服王朝である。/しかし、漢民族が優れているのは、軍事よりも文明である。(中略)それゆえ、結局、万里の長城を越えて中原に乱入した北方諸民族は、ことことく中国文明に感化され、漢民族の中に溶解した」と。

2011-05-22 01:39:27
polalis @_polalis_

おいおい、兼原信克君。「征服王朝」も「漢民族の中に溶解」ですか。ウィットフォーゲルに土下座して謝れ(w しかもこれを、「東アジア史における力と道徳の関係」という項で述べるって、どうよ…

2011-05-22 01:43:31
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