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パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』感想について、上田早夕里先生によるtweet、リツイートを中心にまとめ。

翻訳SFの注目作、パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』(ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞/キャンベル記念賞受賞)。 各所で様々な感想が語られています。 その中で上田早夕里(Ued_S)先生が昨年、『ねじまき少女』と自作『華竜の宮』との共時性を語るいしがめ(wishgam)さんの感想に興味を惹かれて諸々twitter上の他の方の感想も踏まえつつ連続tweetをされていたので、取り急ぎまとめてみました。
書籍 文学 バチカルピ 海外sf ねじまき少女 パオロ・バチカルピ 上田早夕里 SF
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@wishgm
上田早夕里『華竜の宮』読了。やー面白かった。やっぱりバチガルピ The Windup Girl との共時性があるなあ。まあそのへんはまたあとで。
@wishgm
で上田早夕里『華竜の宮』だけど、読んでてバチガルピ The Windup Girl とずいぶん見える景色が似てるなと思った。この二作に共通してるのは、いま社会の死命を制しているのは「環境」と「食料」、またその両者の肝を握る存在としてのバイオテクノロジである、と描いてるとこ。(続
@wishgm
ただもちろん、土台が似てても扱い方はぜんぜんちがう。端的にいえば『華竜の宮』は「人類の知恵」みたいなものを根っこのとこで信じてる感があるけど、 The Windup Girl はそうじゃない。どちらも社会全体のサバイバルを描いてる部分があるんだけど(続
@wishgm
バチガルピのほうは「外的要因の崩壊とともに決定的に破綻するもの」として社会を捉えてる。建て直しを担うのはほぼ、個人の絶望的な努力だけ。既訳の「第六ポンプ」と『華竜の宮』を比べるとわかりやすいかも。
@wishgm
他のバチガルピ作品では The Gambler と Ship Breaker がかろうじて希望といえそうなものを描いてるけど、それとて救済されるのは個人で、社会はほとんど揺らがない。The Windup Girl では人類がサバイバルするためのある方向が示されて(続
@wishgm
それは『華竜の宮』と一見ひじょーに似てるんだけど、手段も動機も結果として立ち現れる世界もまるでちがうのよな。このへんふまえて『華竜の宮』と The Windup Girl を読み比べると面白いんじゃないかと思いました。まる。
@wishgm
さあつぎは『時の地図』だ。
@wishgm
クロ現見終わったが結論としてはぬこかわいい
A.C.◆NCC1710hh2 @AerospaceCadet
@wishigame ブラッドミュージックまであと1歩って感じでしたねえ。あとタイトル忘れたけどスターリングの短編でハッカーがいたずらでばらまいたウイルスで脊椎動物の知能がみんな上がって大変なことになる話とか。
@wishgm
@AerospaceCadet @jnmoo テロや暴走みたいな80年代的な華々しい展開もありますが、いまはむしろもっと微妙な、それこそバチガルピが描くような社会体制の到来のほうが恐ろしいな、と思いますた。
おひっぷ @ohip_up
バチカルピの「ねじまき少女」面白いじゃないか!これは賞を総なめにするのもわかる、忙しいときは読み出しちゃだめだ、途中で置くのがもどかしい。こんなに奥行きのある世界を書ける人だとは、短編読んでたときは気づかなかった。細部はイラッ、カチンとくるとこもあるんだけど。
おひっぷ @ohip_up
なんたってキャラクターがみんな魅力ある。ついでに、バチカルピさんにちょっと不満を感じていた「政治的に正しけりゃいいのかよ」という部分をキャラクターの厚みでもって見事カバーしたと思う。いかんともしがたい矛盾を抱えたクールな女隊長、かっけーなあ。しかも、みんな全部は語らないの。
おひっぷ @ohip_up
「ねじまき少女」で食い足りないところのひとつは、問題のねじまき娘が「イノセント」のアレの映像でしか浮かんでこないところかも。あの手の人造少女(?)ではリチャード・コールダー「モスキート」の印象が強いなあ。ハイブランドコピー品のにゃんにゃん娘たち。そういやあれも似た話だった。
@Koompassia
バチガルピ『ねじまき少女』読了。面白いには面白いけれど、こういう文芸的なソツのなさが売りなの?と拍子抜け。SFだからといって必ずしも斬新である必要はない、という意見には首肯する部分もあるのだけれど、いざそういうものを読んでみるとどこか物足りない
@Koompassia
カニヤ派である、とここに宣言して寝ることにする。おやすみなさい。
@Koompassia
@ohip_up なんだかんだ言いつつ新しさに拘るのは、研究職ゆえの職業病的思考バイアスなのかも、と思ったりもします。論文と小説を同一視するなんて完全にナンセンスだとわかってはいるのですが…
@Ued_S
@Koompassia 大変申し訳ないのだけれど、私はエシカルとかいうものには何の興味もないし、それを基準に小説を書いたこともただの一度もないんですよ。ごめんね。なお、『ねじまき少女』はいま読んでる最中なので、(続く)
@Ued_S
@Koompassia (続き)最後まで読まないと何とも言えません。でも、他作家さんの作品を読むときにもエシカルとか考えないんで、たぶんそこを軸にした感想は抱かないでしょうね。だって、つまんないもんね。そんなことを基準に小説を読んでも。
@Koompassia
『ねじまき少女』の未来では、再び民族間紛争が起きてしまうマレーシアだけど、1969年の衝突以降、政府による民族間の緊張緩和策はかなり成功している、という印象を受ける。計1年半ほど滞在した限りでは、わだかまりこそあれ憎悪のようなものを感じることは全くなかった。
@Koompassia
政府は、民族間衝突を避けるため、という名目で検閲を敷いていて、結果、当然のように与党有利な報道になってしまう訳だけれど、意外なことに、野党党首の痛烈な与党批判が一面記事になったりもする。このバランス感覚がどう担保されているのか、不思議。
@Koompassia
まぁ、その結果、与党連合(その名も国民戦線)が大敗し、州政府レベルではイスラム原理主義政党に政権奪われて、未婚男女の交際禁止条例が可決、華人男女が逮捕、なんて事件も起こってしまうのだけど。
@Koompassia
お前は、なんで検閲なんて擁護してるの、と怒られそうだけど、人口比・信教比があれだけ割れながら、民族の融和を達成している国家なんてほとんどないのだから、現状の絶妙なバランス感覚が維持される以上は、仕方のない策なのでは、と思う。
@Ued_S
ねじまきまき中。
@Ued_S
ぜんまい少女、ねじまき銃、という単語が使われていたら、またちょっと作品のイメージが違ったんだろうな(^_^;
@Ued_S
バチガルピ『ねじまき少女』に関して。長いけれど、SFの人たちの面白いやりとりだと思うのでRTします。「SF」と「道徳や倫理」(エシカル)の問題について。(続く)
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コメント

相楽 @sagara1 2011年6月5日
もろもろ、「ねじまき少女」関連tweetを追加(東浩紀さんのはたまたま発言時間がかぶっただけのような感じですけど、一応、参考までに)
相楽 @sagara1 2011年6月5日
「ねじまき少女」関連まとめに諸々追記。
相楽 @sagara1 2011年6月6日
話題の拡散し過ぎの防止のため、まとめた以降の派生コメント追加を現在見合わせていますが、ohip_upさんの「ねじまき少女」感想の発端部分(5/27の三発言)が抜けていたのは明らかに問題でしたので、追加しました。まとめとしての不手際でした。すみません。
相楽 @sagara1 2011年6月8日
上田早夕里先生(Ued_S)の『ねじまき少女』感想等を追記しました。とりあえず、これで一旦まとめ終了です。
相楽 @sagara1 2011年6月8日
ただ、余計かとは思いつつ、個人的なまとめの方針関連のtweetなどもリストに入れておきました。なにか追加・訂正・削除などのご要望がありましたら、リプライ等でのご連絡か(「誰でも編集可」ですので)直接のご編集をお願いします。
相楽 @sagara1 2011年6月8日
(なお(「ねじまき少女」に限らない近年のSF作品に対する)"イーガン、チャンとの無闇な比較"に関するいしがめ(wishgm)さんのtweetから派生して、北野勇作(yuusakukitano)先生やanannymouseさんによる、日本と英米(特にイギリス)のSFの流行の違いなどに関する個人的に面白いやりとり等も見掛けたのですが、まとめも長くなってしまいましたし、今のところ追加は控えます)
相楽 @sagara1 2011年6月8日
続いて、最後の上田先生の問いかけに対してoship_upさんからの返信が続いていますので、そちらもまとまり次第追加予定です。
相楽 @sagara1 2011年6月8日
なお、まとめに関連して私も「ねじまき少女」と「華竜の宮」について上田先生と何やら雑談させて頂いたりもしましたが、出しゃばるのもなんですので、そちらはご興味とお暇のある奇特な方だけ、6/8分のtwilogででも見て頂ければと。そうして頂けると喜びます。私が。
相楽 @sagara1 2011年6月12日
どうもすみません。当初、派生した話題も取り込もうとしてもしつつまとめていた時期の名残です。『ねじまき少女』が内容そのものとは別に、各種受賞歴や煽るような帯でも注目を受けている作品でもあることから、それ絡みの発言として追っていました。
相楽 @sagara1 2011年6月12日
最近のヒューゴー賞/ネビュラ賞(や関連発言があればローカス賞/キャンベル記念賞も)の傾向。日本では近年やたらにイーガン、チャンが引き合いに出されるが、海外ではどうなのか。流行や宣伝の手法はどうか。そういった種類の話題への関心です。
相楽 @sagara1 2011年6月12日
途中で上田先生から指摘を受け方針を変え、その後の追加内容を絞り上のコメントでも触れている海外との流行の違い関連の発言等をまとめに引き込まなかった関係もあり、流れとして大変分かりにくくなってしまっていました。指摘があった通り、当初から一貫して話題を絞るべきでした。ご迷惑、お手数をお掛けしました。