評論集『探偵が推理を殺す』ってなあに?
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2019.12.28 (SAT) COMING SOON pic.twitter.com/mKzE4PBuaK
2019-12-22 19:44:30Amazonで公開されたようですね。予約ができます。探偵小説研究会の機関誌『CRITICA』に寄せた文章をまとめました。 amzn.to/2s2U3dW
2019-12-23 07:24:07目次と、主に論じている作家、作品は画像のとおり。序論と結論は書き下ろしで、こちらは年末までにサイトで無料公開するつもりです。いろいろ加筆修正はしましたが『CRITICA』掲載時から主張については大きく変わってません。 pic.twitter.com/hldlNQoBlR
2019-12-23 07:25:59評論集『探偵が推理を殺す』の販促ページを作りました。と言っても、序論と結論の公開はまだでごんす。Amazonのページから一ビットも情報が増えてません。もうちょっと待ってね。 bit.ly/2EP2hcf
2019-12-24 19:59:48メリークリスマス! サンタさんからプレゼントが届きましたよ? 平成時代の後ろ半分の国内本格ミステリがよくわかる評論集『探偵が推理を殺す』の序論と結論を公開しました! bit.ly/2EP2hcf また今夜にでも内容について紹介したいと思います~。
2019-12-25 07:25:16この本のおおまかな主張
はい、それではミステリ評論集『探偵が推理を殺す』について簡単に紹介していきたいと思います。序論と結論はこちらで読むことができます→ bit.ly/2EP2hcf この本の主張を短くまとめるならば「本格ミステリに本質など無い」となるでしょう。
2019-12-25 19:59:52本質が無いとは、どういうことか? 本書の主張を整理した図を添付します。人と人とが意思疎通するにはどうすべきか、あるいは倫理や暴力、実存を巡る問題は、文学一般寄りのテーマであって本格からは遠い、もしくは「広義の本格」という扱いをされがちです。それは間違っている、という話です。 pic.twitter.com/mzcCnsCWpl
2019-12-25 20:00:47推理には、根気よく論理の糸をたぐっていけば人は全知になれるという楽観的で決定論的な「蓋然性の推理」と、それは無理だという悲観的で不可知論的な「整合性の推理」という二つの傾向があります。そして整合性の推理からは、直感的には本格ミステリとして周縁に感じられる特徴が生じます。
2019-12-25 20:01:38蓋然性の推理と整合性の推理、二つの違いを比較した図を添付します。この表に記述された内容を、個々の作品論で具体的かつ詳細にひとつひとつ論じています。整合性に重きを置く推理を踏まえると、平成時代の後半に登場した国内本格ミステリ作品の、周縁と捉えられがちな特徴を説明できます。 pic.twitter.com/6IuZDFsZC2
2019-12-25 20:02:39一億総中流と呼ばれた1970年代から半世紀近くが過ぎ、みんなが週刊少年ジャンプを読んでゴールデンタイムの番組を視聴していた時代は過ぎ去りました。価値観が多様化し、経済格差や情報技術によって分断され、なぜ人を殺してはいけないのかという基本的な道徳すら唯一の正しい答えなんて無い。
2019-12-25 20:04:00そんな社会の多元化に伴い、人々はなにを「真実」と受けとめるのか感性が変化した。結果として、悲観的で不可知論的な整合性の推理が優位になったのが平成後半の本格ミステリだったのではないか。それもただ時代の影響を受けるだけでなく、不可知論的状況にどうすれば抵抗できるか模索した。
2019-12-25 20:04:55結果として、さまざまな個性の名探偵たちが生まれたのではないか、という内容となっています……というのは若干語弊があって、なにもかも蓋然性と整合性だけで説明がつくような勘違いはしないでほしいという注意も散々していますけどね。ひとまず今宵はここまで。ツイート連投お邪魔しました!
2019-12-25 20:05:48新本格ムーブメント第六シーズン!?
さて評論集『探偵が推理を殺す』 bit.ly/2EP2hcf について、もう少し。昨夜は「これまで」の話だったので、次は「これから」の話を。結論で論じていますが、新本格ムーブメントが現在までどのように変遷してきたか、五つの期間に分けた図を添付します。 pic.twitter.com/ueOra2GTRk
2019-12-26 20:02:18そして大慌てで注意! ミステリ評論に詳しい方はピンと来たかと思いますが、第三期までは笠井潔先生からお借りしています。第三の波の第一ステージから第三ステージですね。そして第四期、第五期は本書で初めて私が提案しているものであり、当然のことながらコンセンサスはまだありません。
2019-12-26 20:03:05第四期、第五期の詳細は『探偵が推理を殺す』の結論や「本格とカジュアルとの距離」を読んでください。さて、これらの時期は短くて六年、長くて九年とほぼ等間隔です。ということは? 2020年代の半ばか遅くとも後半には、新本格ムーブメント第六シーズンが来ると予想できるわけですよ!
2019-12-26 20:03:57結論に書いていますが、各時期はそこから突然なにもかも新しく始まったわけでなく、一部の試みだったものが無視できない大きな動きとなったところをスタートとしています。たとえば新本格の前にはプレ新本格があるし、カジュアル化の先祖たる「日常の謎」派は第一期から始まっています。
2019-12-26 20:04:47したがって、2020年代半ばから第六期スタートなら、そろそろ新しい動きが始まっていないといけない。それはなんなのか? あ、書き忘れていましたが、ここからの話は『探偵が推理を殺す』には書いていません。あまりに「居酒屋政談」過ぎるので。ここだけのあとがきみたいな感じでよろしく。
2019-12-26 20:05:41ふりかえれば第三期まではオールド本格派VSボクとキミ派みたいなわかりやすさがあったんですが、本書でも論じているとおり新本格第一世代の作家たちこそむしろ新しい試みに挑戦したり、出版不況もあるせいか若手作家たちも古典を勉強してエンターテイメントとしても凄い作品でデビューしたり。
2019-12-26 20:06:26いまや古典教養派VS本格なんてぶち壊せ派などという単純な構図は成立しなくなったなあというのが実感です。そういえば第十九回本格ミステリ大賞の選考で階知彦『火曜新聞クラブ』が現代性を問題視されたことについて意見めいたことをつぶやきました。 bit.ly/2PYFtxc
2019-12-26 20:07:06実を言うと私が真っ先に思ったのは「え? 本格ミステリ作家クラブって“現代性……? そんなもの、犬に食わせておけ”と小太りの軍服着たおっさんが言って取り巻きの人たち(なぜかみんな眼鏡と手袋)が一斉にワハハと大笑いするヘルシングみたいなとこじゃなかったの?」なんですが。
2019-12-26 20:07:44閑話休題! むかしは未来を予想するなら仮想敵のことを考えれば良かった。対立がどう止揚されるか注目していればよかった。それが最近は本格ミステリの仮想敵はなんなのかよくわからなくなってきた。で、今年の作品でちょっと気になったのは城平京『虚構推理 スリーピング・マーダー』でした。
2019-12-26 20:08:23