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詩はもう真理の探求ではない。感情の芸術でもない。宗教や倫理の代用品でもない。人間の記録でもない。人間に与えられた唯一の装飾である。(人生派からデコル派まで)
2019-12-02 11:03:52病院の裏で蛭が楽器ももたずに泣いている 茨が月をかじり首をつって死んだ人びとに親しげに呼びかける 自殺する子どもの激しさで叫ぶのは誰だ? 猫
2019-12-04 08:03:32この虹をみる わたしと ちさい妻、 やすやすと この虹を讃めうる わたしら二人 けふのさひわひのおほいさ (虹『秋の瞳』)
2019-12-05 19:02:57「よく知ってるのに、隠しちゃだめだ、ごまかさないで。こんなにも本をよこすなんて。なぜ、ぼくに渡すんだ、こんな汚らわしい外典、千冊目の写本、できそこないの偽書を。あの〈書物〉はどこにやったの」 ーー書物
2019-12-08 19:55:50私の頭の中には、いつの頃からか、 薄命さうなピエロがひとり棲んでゐて、 それは、紗(しや)の服なんかを着込んで、 そして、月光を浴びてゐるのでした。 - 幻影
2019-12-10 06:53:17ぼくたちにとって 絶望とは あるなにかを失うことではなかった、むしろ 失うべきものを失わなかった肥大のことだ。 おびただしい椅子と白壁とにかこまれて 撓みながら 鏡は過ぎゆく歴史の記憶をすべる。
2019-12-14 16:07:37そんなに凝視(みつ)めるな わかい友 自然が与へる暗示は いかにそれが光耀にみちてゐようとも 凝視めるふかい瞳にはつひに悲しみだ [続]
2019-12-17 01:03:54夜中に目をさました。/ゆうべ買ったシジミたちが/台所のすみで/口をあけて生きていた。/「夜が明けたら/ドレモコレモ/ミンナクッテヤル」/鬼ババの笑いを/私は笑った。/それから先は/うっすら口をあけて/寝るよりほかに私の夜はなかった。/『シジミ』
2019-12-18 10:21:21満月に酔い痴れて じゃがらたの夜を行けば たまゆらに ガメランぞ鳴り出でぬ、 しみらにも掻いさぐり はた、高鳴らす その楽の音(ね)は、 ふるさとの かかる夜の かかる夜の思ひ出に 顫(ふる)へつつ、咽びつつ。 (続)
2019-12-19 10:03:54鉛筆を削る。 木の新しい匂ひの中から光つてくる鉛筆の心(しん)。 私は聞く。 眠る山の底にひびく人人の声声を。 もひとつ大きくひびく爆発(はっぱ)の音響を。 その鉛筆がこんな詩を書く。 (「鉛筆」/未刊詩篇)
2019-12-20 21:43:13この世の酷薄さをキュッとしぼって形にしたような てるてる坊主は 時として 私のなかで いまだにゆれる ひとびとのやさしさのなかで ひとびとのいたわり深さのさなかに
2019-12-25 16:16:40