JCウイルスから見た現代日本を築いた人々／ヨーロッパ系の渡来人も貢献！

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タイトル： JCウイルスから見た現代日本を築いた人々／ヨーロッパ系の渡来人も貢献！ 前回提示した「JCV亜型の地理的分布図」に誤字・脱字があったので、訂正版を添付する。 pic.twitter.com/yBusWVEtJC

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JCウイルス(JCV)はヒト集団に常在するウイルスのひとつである。大部分のヒトの腎に寄生し、殖えた仔ウイルスは尿に排泄される。通常親から子へ伝播し、ヒトの移動に伴ってJCVも移動する。私はTogetterを用いて、JCVを指標として明らかになった人類移動やヒト集団の成り立ちを紹介しているが、今回は

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ずばり「JCウイルスから見た現代日本を築いた人々／ヨーロッパ系の渡来人も貢献！」を紹介する。＜尿収集＞尿収集は東大付属病院泌尿器科の北村唯一助教授(当時)が担当した。当初は日本列島の適当な十ヶ所ほどで尿を集めれば十分と思ったが、プロジェクトの進行に伴い、尿採取地が大幅に追加された。

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沖縄県で収集した尿検体は別の研究で使ったものを流用した。北海道に在住の人々の多くは明治時代の入植者の子孫なので、本研究の対象から外した。なお、先住民のアイヌが保有するJCV亜型については別途に紹介する。＜亜型の決定法＞JCV DNAのVT遺伝子間領域（IG領域と略す。長さ、610塩基対。他の領域

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と比べて塩基置換が多い）をPCR法により増幅した。増幅されたIG領域をシークエンシングした。得られたIG配列を各亜型の標準IG配列と共に系統樹を作成し、JCV株の亜型を決定した。一部の検体に対しては、増幅IG断片を制限酵素解析し、亜型を決定した。ただし、この方法で少数亜型が検出された場合は、

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分子系統解析によって確認した。以上の解析は大学院博士課程の大学院生、杉本智恵(敬称略)が主として担当した。＜結果＞➀全34地点におけるJCV亜型の分布を表1に示した。本土では829 JCV株の亜型が、沖縄では189 JCV株の亜型が決定された。その結果、日本列島には二つの主要亜型（CYとMY）と三つの少数 pic.twitter.com/2cyRtsv7Sk

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亜型（SC、B1-a、EU-a）が分布することが明らかになった（なお、日本列島で検出された5亜型の、旧世界における地理的分布は、本まとめの冒頭の図に示されている）。②亜型分布を尿採取地の間で比較するために、表１のデータを帯グラフで表示した（図１）。その結果、本土において二つの主要な亜型（CY pic.twitter.com/K4UTl7BgrN

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とMY）は相補的な、際立った地域差があることが判明した（図２を参照）。すなわち、宮古島から甲府までの西南日本ではCYの比率が高く（甲府の65％～宮古島の100％）、他方米澤から五所川原までの東北日本ではMYの比率が高い（米澤と弘前の64％～衣川の100％）。CYの多い地域とMYの多い地域の間には、 pic.twitter.com/zdoXouw7Ez

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両亜型がほぼ同じ比率で検出される中間地帯が存在する。端的に言えば、西みなみ西南日本ではCYが多く分布し、東北日本ではMYが多く分布すると結論できる。③三つの少数亜型（SC、B1-a、EU-a）も地理的分布に地域差を示した。8株のSCがいずれも西南地方（沖縄、鹿児島、西彼杵、福岡）で検出された。6株

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のB1-aが西南地方（鹿児島、西彼杵、甲府）で、一株のB1-aが中間地方（高岡）で検出された。4株のEU-aが西南地方（諫早、尼崎、貝塚）で、一株のEU-aが中間地方（上田）で、11株のEU-Aが東北地方（米澤、仙台、秋田、弘前、五所川原）で検出された。要約すると、SCとB1-aは西南地方で検出され、EU-aは

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西南地方や中間地方にわずかに検出されたが、多くは東北地方に検出された。＜日本を築いた人々＞日本列島には主として二つの亜型（CYとMY）が分布するので、日本人は主として二つの祖先集団（CYを持つ祖先集団とMYを持つ祖先集団）によって形成されたと言える。この推定は先住の縄文人と後から中国大陸

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から渡来した人々によって形成されたとする、人類学界の主要な説（Hanihara, 1991）と一致する。上述のように、MYは東北地方に多く分布し、CYは西南日本に多く分布するので、MYは縄文人が、CY は渡来人が持ち込んだと考えられる（渡来人は九州北部に渡来し、その後、日本列島に沿って東へ向かって進出

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したと考えられている。また、渡来人が核となって弥生文化が築かれたと考えられている。）しかし、上記の推論には一つの問題がある。沖縄にはCYが非常に多く分布するが、弥生文化は存在しなかった。私は、九州北部に渡来した人々も沖縄に渡来した人々もCYを運んできたが、日本に来た後、前者は弥生文化

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を築いたが、後者は沖縄独特の文化を築いたと考えている。＜CYを運んできた人々＞CYは中国に分布する主要な亜型一つであるが、その検出率は北部では高く、南部では低い（前回のまとめ）。中国の周辺でCYの比率が高いのは日本と韓国であるが、他の周辺地域（シベリア、モンゴル、東南アジア）では低い率

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で検出される。中国と周辺地域との歴史的な関係を考慮すれば。以上のようなCYの分布パターンは、CYを持つ北部中国の集団が周辺地域へ拡散したことによりもたらされたと考えることができる。このような、CYを持った人々の拡張が日本列島にも及んだと考えられる。＜MYを運んできた人々＞旧世界では、

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MYは日本列島と韓国に事実上限られた極めて狭い分布域を持つ（前回のまとめ）。しかし，新大陸に目をやれば，MYはアメリカ大陸の北部，中部，南部に住む様々なアメリカ先住民（ただし北極圏に住むイヌイットは除く）から検出される（Agostini et al., 1997; Zheng et al, 2003）。私たちは，日本人・

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韓国人およびカナダ、USA、メキシコ、グアテマラ、ペルーに住むアメリカ先住民から得たJCVの系統解析した（Zheng et al, 200）。その結果、日本・韓国のMYとアメリカ先住民のMYは1～2万年前に共通の先祖から分岐したことが示された。おそらく東北シベリアに居住した、祖先MYを持つ集団が二つに分かれ、

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そのうちのひとつが日本と韓国に渡来し、他のひとつはベーリング陸橋を渡ってアメリカ大陸に進出したと推定された。＜B1-a、SCを運んできた人々＞主要な亜型に加えて，日本列島には３つの少数亜型（B1-a、SC、 EU-a、）が分布する。B1-aは中国に広く分布し、SCは中国南部と東南アジアに分布する（前回

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のまとめ）。B1-aとSCが日本列島の南部にわずかに検出されたことは、中国北部と南部、および東南アジアなどの近隣からの人の流入があったことを示唆している。＜EU-aを運んできた人々＞A型に含まれるEU-aとEU-bは主としてヨーロッパと地中海地方に分布する（EU-a、EU-bはヨーロッパ・地中海地方の他に

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アメリカ大陸にも分布するが、それらの大部分はコロンブス以降にヨーロッパから移住した人々が持ち込んだものである）。今回、A型に属するEU-aが日本人の一部（特に東北地方の日本海側の人々）から検出されることがわかった。日本で検出されたEU-aの起源を解明するため、私たちは世界中で得られた、

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A型に属する株に対して，全長塩基配列に基づく系統解析を行った（Sugimoto et al., 2002）。この解析によって、日本人が持つEU-aとヨーロッパ人が持つEU-aとは明確に区別された。このことによって、日本のEU-aは開国後にヨーロッパ人またはアメリカ人から日本人に伝播したものではなく、1～2万年前に

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日本に渡来したヨーロッパ系の人々が日本に持ち込んだものであることが示唆された。＜謎解き＞ヨーロッパ系のJCVが東北地方の日本海側（五所川原、弘前、秋田）で多く見つかった。しかし、EU-aは西南日本（貝塚、尼崎、諫早）と中間地帯（上田）で散発的に検出された(表１、図１）。もしも日本のEU-aが

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東北地方の日本海側に渡来したヨーロッパ系の人々が持ち込んだとすれば、何故EU-aが一方で東北日本の日本海側に集中し、他方で西南日本では分散して分布するのか？この謎を解くヒントが、韓国でEU-aが検出されたという一連の報告である。先ず、2002年にSugimotoらは部分配列を用いた系統解析により、

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以前、制限酵素解析によりA型に分類された韓国人由来株（SK-6）をEU-aに分類した。続いて、2004年にJeongらとCuiらが韓国人由来のEU-a株をそれぞれ3株と1株検出した。これらのうち一株（SK-6）は全長配列に基づいて作成された系統樹の上でクラスター(EU-a/JK)に属した (余郷ら、2007)。以上の如く、

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韓国においてEU-aの検出比率は低いが、有意な比率（7～15％）で検出される。JCVはヒトに伴って移動するので、西南日本のEU-aは現在日本に在住する朝鮮人によって持ち込まれた可能性が考えられる。因みに、EU-aが検出された尼崎と貝塚が含まれる大阪府は在日韓国・朝鮮人が特に多い。