感想
スコット『反穀物の人類史:国家誕生のディープヒストリー』を、久しぶりに一気読みした。「わたしたち”が”コムギやコメを作物化し、ヒツジやヤギを家畜化してきたのだ」と思いがちだ、が、「家畜化されたのはわたしたちの方だ」。 現代の養鶏場の光景。人間と重なって見える。 pic.twitter.com/zhNI9lLe7I
2022-01-28 04:58:13ヒトは何処で道を間違えたのか? 答えは容易ではない。自己家畜化のプロセスは、「火の使用、調理、穀物の作物化とともに始まっていて、なかには「サピエンス」登場以前のものもある」。とはいえ「定住、密集状態、食餌の急速な穀物主体化はやはり革命的な変化で」あった。 pic.twitter.com/fzq4u9tEhv
2022-01-28 05:00:20しかし、「小規模で、階層化した、税を集める、壁をめぐらせた国家が初めて生まれのがやっと紀元前3100年頃……つまり、作物栽培と定住が始まってから4000年以上も」タイムラグがあることに論者は注目する。「国家という形態はどう見ても自然ではないし、既定のものでもない」。 pic.twitter.com/icTXQAxeVO
2022-01-28 07:22:58『反穀物の人類史』ちょいちょい読み始めてる。 人類は動物を家畜化し、次いで作物を家畜化(農耕)し、そして人間を家畜化(奴隷)した。って記述にはドキっとさせられる。
2019-12-26 12:38:21『反穀物の人類史』では、従来の定説を覆し、まず定住があり、時期を置いてから、農耕があったことを確認してる。 このへんは日本でも長らく縄文時代の定住があり、農耕に以降したことから、中近東でもそういう推移があったことは賛成。
2019-12-26 13:00:26で、あるならば、なぜ人類はメリットが全然ない農耕を始めたのかという謎が残り、このへんは考古学でも見解が一致していない。 『反穀物の人類史』では、どうやら減水農法を使い楽チンだったからという見解のようだが(1章の最後)、ちょっと説得力は感じなかった。
2019-12-26 13:04:24んで、おいらの見解としては、定住で人口が増えたことによって、定住型狩猟採集モデルが破綻し、その結果、農耕を重視するようになったからではないかとおもう。
2019-12-26 13:06:54まず人類はまず移動型狩猟採集民だったが、季節ごと作物や動物や循環する立地条件のいい場所を見つけて定住した。 定住することによって、移動を繰り返していたときに行っていた人口抑制政策(間引き=子殺し)をしなくてすむ。
2019-12-26 13:09:29その結果、人口が緩やかに増え続け、食料の供給が徐々に追いつかなる。もともと栽培はしていたが、狩猟採集という代替手段があるため重視していていなかった。 しかし人口が増えたため、定住地域からの狩猟採集の自然の循環が追いつかず、栽培を重視し始めたのではないだろうか
2019-12-26 13:12:59確か『栽培植物と農耕の起源』で、「農耕は植物の養殖」と表現していたけど、今でもウナギが取れなくなって、慌てて(苦労してでも)ウナギを養殖し始めるわけで。 農耕革命も、やはり「食えなくなったから(苦労して農耕をはじめた)」ということに重きを置くことが、一番スマートな考えな気がする
2019-12-26 13:18:57ようやく借りられたので 再度紹介 反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー ジョージ・C・スコット みすず書房 年末年始の読書は・・これで楽しむことに pic.twitter.com/4mBr0HJ95v
2019-12-27 15:35:17続き 30ページほど読んだところだが面白い。 アナキスト、アナキズム的生き方を目指す人でなくても、 「国家」を相対化できる方達にはオススメね
2019-12-28 00:00:28「反穀物の人類史」冒頭をアマゾンで立ち読みすると、こんな考えが浮かんだ(というよりは、村上春樹の買春に関する文章が先なのだが)。<国家の目的は消費である。>「ティグリス=ユーフラテス川の流域に国家が生まれたのが、作物栽培と定住が始まってから4千年以上も後だったのはなぜだろうか? 」
2019-12-28 22:37:38と本の見出しにあるのだが、その転換を生んだものは、何だったのだろうというのが、この本の主題らしい。そこは本に譲るとして、その結果生まれた国家とその目的である消費が今の社会の原初であろう。人口増加は消費の早道。労働も結果論となる。
2019-12-28 22:37:39さらに言えば、労働は文化である。少し飛躍させてもらうと、労働を非人間が代われるならば、それで良いはず。今世紀に起こった少子化。合理化が消費を超えた。パラドクス。国家の目的である消費が下降フェイズに入る。消費を守るためには量から質への転換が必要。
2019-12-28 22:37:39その先は、消費を目的としない定常経済の社会。同時に国家の役割も最小限となる未来。その過渡期がすぐそこに見えた。何より必要なのは「個人の時間」。それなくして、消費の質は上がらない。消費の為の労働を減らし、文化の為の労働を増やすこと。
2019-12-28 22:37:40進む合理化が雇用を奪うことは確実。新しい消費は生まれない(初心者にはここが重要)。引き換えに与えられる個人の時間。相互扶助が最も簡単な時間の使い方だが、流通コストゼロ(無人自動運転・ロボット・ネット等)のEC時代が、消費の質を可能にする。
2019-12-28 22:37:40定常経済←消費の質←「混沌」。この30年は「混沌」。国家意義の存亡という新しい爆弾。国家が国民と対峙する民主主義。そして、その混沌の申し子が2つ生まれる。「非中央集権型キャッシュレス」「量子が生むエネルギー」。どちらも国家の意義を奪う。最後に、きっかけになった村上春樹の文章を。
2019-12-28 22:37:40「我々は実にいろんなものを日常的に買ったり売ったり交換したりしているために、最後には何を売って何を買ったのかさっぱりわからなくなってしまったということが多々あるからである。」(雨やどり/村上春樹)
2019-12-28 22:37:41ジェームズ・C・スコット『反穀物の人類史 国家誕生のディープヒストリー』(立木勝訳 みすず書房)。 pic.twitter.com/h46mcWbXc7
2019-12-30 15:28:01≪定住コミュニティに密集した状態で、飼い馴らされた家畜とわずかな種類の穀物と一緒に、いま国家とよばれているものの祖先に支配されて暮らすようになったのは、種としての歴史のうちの、ごく最近になってからだ。≫ pic.twitter.com/gpxnK1ctdX
2019-12-30 15:31:00人類の歴史では、肥沃な湿地帯で、多様な自然の恵みに依存した、独創的でハイブリッドな生業様式を営んでいる期間が、ほとんど普遍的と言っていい期間続く。人類は、≪小さな、移動性の、分散した、比較的平等な、狩猟最終民の小集団(バンド)≫を形成し、自然に埋め込まれるようにして生存していた。
2019-12-30 15:43:32自然に埋め込まれるようにして生存するとは、狩猟採集民が、食料が手に入る自然のテンポを最大限に活かせるように、狩猟、採集、漁労、採取、罠や梁作りなど、多様な活動を、自然のリズムをよく観察して、それに合わせて自己調整していくハイブリッドなテクノロジーを開発していたということだ。
2019-12-30 15:53:58≪自然のリズムは実に多様で、そのそれぞれに固有のメトロノームがあるから、狩猟採集民はそのすべてに、つねに気を配っていたと考えられる。農民、とくに固定した畑で穀草穀物を育てる農民は、ほぼ単一の食料網の中に閉じこもっているので、日々の作業は特定のテンポだけが対象になる。≫
2019-12-30 15:57:34