クリエイターと著作権
とある雑誌による、商業写真買取り申し出契約案がきっかけ
昨年、ある雑誌社からクリエイターに送られたレターに接しました。 その内容は、クリエイターは、雑誌のために撮影した写真の著作権を雑誌社に譲渡し、雑誌社が写真を世界中で永遠に使用することに合意し、合意書にサインしろというものです。 かなり危機感を覚えてるので、少し書かせてください。
2020-01-04 22:16:02写真の著作権者は原則カメラマンなので、写真を自由に使うにはカメラマンの同意が必要です。 雑誌で撮影した場合、同意が及ぶのは、通常、掲載号の雑誌とそのデジタル版、その雑誌の宣伝(次号予告など)で使うことくらいまでかと思います(契約書はないため、合理的意思を探ることになります)。
2020-01-04 22:17:47昨今、雑誌社のデジタル化やグローバル化に伴い、雑誌社は写真や誌面をあらゆるところに自由に(一々許可をとることなく)使用したいと考えるようになってきました。 そこで、あらかじめ包括的にすべてに合意させておけばいいと考えたわけですね。
2020-01-04 22:18:21多くの雑誌社がこれに追随するでしょう。中には最初から広告に使う目的なのに、黙って編集ページとして撮影させるケースも出てきそうです(広告の撮影料は編集ページのそれよりずっと高いので)。 こうしてカメラマンの撮影料の相場はどんどん下がります。 これではクリエイションが死んでしまう。
2020-01-04 22:20:22これは非常に問題です。 1本分の撮影料でカメラマンに撮影してもらった写真で、雑誌社は何度でもお金もうけできることになります。 雑誌社はその写真を広告にして、イメージアップを図り収益を上げられるわけです。 カメラマンには一銭も入らないのに。
2020-01-04 22:18:54こうした雑誌社の対応で何が一番嫌かって、確実に相手を選んでいるんですよ。 たとえば、タレントの写真はタレント側の事情で使用期間が決まっています。雑誌社はタレント事務所には、最初のギャラだけで永遠に使わせろなんて絶対に言いません。 クリエイターならいけると思ってるのがどうかしてるわ。
2020-01-04 22:21:24さて、悩ましいのが若手カメラマンです。 若手は無料でも売り出したいと考える傾向があるので、世界中で永遠に自分の写真が使われるとなれば喜んでサインする人もいるでしょう。 でもね、その行動が業界全体を下げ、いつかは自分の首をしめることにも思いを巡らせてほしいと切に願います。
2020-01-04 22:21:43できればこのレターについては、サインしない、またはサインするなら修正してからにしてほしいですね。 または、サインするなら、最初のギャラを大幅にアップするという条件を付加してもいいかも。 いずれにせよ、もし不安なら私でも周りの方でも、ぜひ聞いてみてください。 夜分に長文失礼しました。
2020-01-04 22:22:42カメラマンの話だけどカメラマンだけの話じゃない…
これは…。 私たちも無関係ではいられないお話かもしれません。 利便性考えると、著作権譲渡して、という雑誌社側の言い分はわからないでもない。 でも、クリエイターにとっては、経済的にも、ブランディング的にもダメージが大きすぎる。 twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 22:48:01@shibuya_camera @ebisawa_miyuki そうですよね。 海老澤先生のおっしゃる通り、それ相応に払ってもらうしかないのではないかと…。 力関係的に交渉は大変かもしれないけれど、そこは(未来の自分と後輩のために)1人1人が頑張るしかないと思います。
2020-01-05 07:17:44そろそろクリエーターも弁護士と顧問契約を始める時代になってきていると思う。弁護士と税理士には知り合いを持っておいたほうがいい。絶対いい。 twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 22:57:21@ebisawa_miyuki 法律は言葉が難しすぎるし、大手には顧問弁護士がついてるので、やはりプロに頼むのが一番ですよね。それも裁判になってからじゃ遅いから、日頃から相談できる弁護士さんが必要だと思います!
2020-01-05 00:58:30いろんな作家につながる話やけど、写真は「買い取りで」という言葉を特に聞く気がするのでいろいろ思いながら読んでた… twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 22:58:13@q9x9ptter しろくまったーさん、ありがとうございます! これまで契約書がなかったため難しいところですが、使用許諾と解釈できないこともないので、悩ましいところですね。
2020-01-05 00:45:58@ebisawa_miyuki そもそも、適切な対価を払わずに著作権譲渡させることは、下請法または独占禁止法違反(買いたたき、不当な経済上の利益の提供要請、優先的地位の濫用)なのではないでしょうか?私はこういった書類を受け取ったら公取委に申告しています。 コンテンツ取引と下請法 jftc.go.jp/houdou/panfu_f…
2020-01-04 23:20:07これは、いずれにせよ、公取委か中小企業庁に申告したほうがいいのでは? 申告窓口はこちら→ jftc.go.jp/soudan/denshim… コンテンツ取引と下請法 jftc.go.jp/houdou/panfu_f… twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 23:00:11@ebisawa_miyuki 問題意識はよくわかります。逆に、雑誌社からそういう合意書を作ってほしいと依頼された場合、先生だったら、どう対応したらよいと思いますか。顧問先で有名な雑誌という設定で。
2020-01-04 23:08:57@mototakiryu mototakiryuさん、ありがとうございます。 正直、悩ましいところですよね。 独禁法その他に抵触する可能性や他の事情を挙げつつ、使用範囲や期間を適切に狭めるよう説得するのが現実的かもしれません。
2020-01-05 01:06:45イラストでいうと、雑誌でも書籍でも報酬は基本一度の使用料です。広告は相場が高いのは買取だからです(何度も使える)。一回コッキリ使用料での買取はありえない。 twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 23:16:27@monmonbooks monさん、ありがとうございます! そうなんですよね、写真についてもふつうは同じ感覚だろうと思います。
2020-01-05 00:50:27若手よりも、既に食えてるベテランとかが価格破壊に無自覚に手を貸すということもあり… デフレって嫌だわ。 twitter.com/ebisawa_miyuki…
2020-01-04 23:40:14