京アニの新CMを徹底的に分析してみた

京都アニメーションの新CM「あじさい編」の演出を徹底的に分析したツイートをまとめてみました。ブログに書けばいいんだけど、もったいないので作りましたw
4
富崎学 @manaboo2009

やっぱ、京アニって会社はおもしろいわw正直、好きです、京アニ!「信者」になってもいいね!!

2011-06-05 19:44:10
富崎学 @manaboo2009

なんで、こんなCM作ったりするんだろう?w共同性が他社より突出しているとしか思えない。だってこのCM直接には何の儲けにもならないわけよ?宗教臭い理由は最後に僕の考えを述べるけど、こんな技術だけで作られた映像はわれわれ分析派にとってはネタの投下としか思えんよw後ほど分析ツイートする

2011-06-05 19:53:54
富崎学 @manaboo2009

京アニCM①30秒の映像にストーリーはない。ストーリーという骨格がないところに映像を組み立てていくことは非常に難しい。だが、演出とは本来ストーリーに依存せずに映像を組み立てる技術だと言ってよい。テーマの「楽しさ、夢、元気」どう映像で表現するか。楽しさは梅雨の爽やかな晴れ間(続く

2011-06-05 21:02:30
富崎学 @manaboo2009

京アニCM②夢は魔法、元気は躍動感である。アニメーションにおいてはとにかくこの躍動が重要になってくる。ただやみくもに動かせばよいというものではない。本作は横の動きと縦の動き、そして、視点の転換でダイナミズムを作りだしている。それらの要素をどうやって繋げていくかが最大のポイントだ。

2011-06-05 21:08:21
富崎学 @manaboo2009

京アニCM③小さなジャンプと共に現れる愛花。後には紫陽花と日差し、梅雨の晴れ間の爽やかさの提示。顔が見切れているのは次の顔アップを効果的にするためだが、顔が見切れているのに目を惹くのは制服のすそから肌が見えるからである。注目すべきは制服の胸にあるあまりに大きすぎるリボンである。

2011-06-05 21:15:08
富崎学 @manaboo2009

京アニCM④アップになった顔が影をつくるのは(仮想)カメラに覆いかぶさるような姿勢であり、この画面が身長差のあるPOVであることを示す。左下隅の日差しエフェクトが綺麗だ。豊かな髪がスリットになっているのだろうか。光源は右上から。右上からのエフェクトはしばらく続く。この間たった2秒

2011-06-05 21:22:27
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑤後向きにスキップするという離れ技で愛花のパースはどんどん小さくなる。紫陽花と道が作り出す集中線の中心への移動だからいやでも視線はもっていかれるが、愛花が後を向くと同時にフレームインする美優の背中にもやはりリボンがある。実はこのリボンの連鎖が美優の登場を可能にするのだ。

2011-06-05 21:29:35
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑥もちろんただ単に二人の追いかけっこを描いてもいいのだが、この黄色いリボンから赤いリボンへの連鎖が、このストーリーのない姉を追いかける妹という単調な映像に必然や意味のようなものを付加している。先のPOVやセリフなど様々な要素を動員してはじめて映像に意味が生まれるのだ。

2011-06-05 21:38:01
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑦次に最初の視点の転換がある。愛花を後から追っていたカメラが今度は真正面から愛花を捕えるという切り返しがある。この視点の大転換をやると普通大きな違和感が画面に表れてしまう。これが本作で自然に見えるのは実は転換の直前に二つのカットが挿入されているからである。これは重要だ。

2011-06-05 21:43:35
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑧その二つのカットとは走る愛花の足を横から捕えたカットと正面から水溜りを踏むカットだ。愛花の横を捕えることで、後を追ってきた(仮想)カメラが愛花を追い抜いて正面に回りこんだことを表す。次カットの水溜りの水が飛び散るというショック効果は画面転換の違和感を逸らす役割がある。

2011-06-05 21:49:55
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑨この視点の転換の後は一瞬しかないが、そこでも二人は激しく動いている。ここでの動きは横移動である。先の後ろ向きスキップでも身体が左右へ横移動していたが、転換後も大きな横移動があり、愛花と美優は右と左で配置転換まで行われている。この間1秒もないが後続の二人の姉の存在も提示

2011-06-05 21:59:38
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑩次に続く第二の視点の転換は小さなカタツムリと大きな愛花の顔、大と小の視点の転換だ。このいかにも梅雨らしい一コマの導入には直前の正面から捕えられた葉上のカタツムリの唐突とも言えるカットが用いられる。愛花の横顔が横からフレームインすることでカタツムリの“発見”が表現される

2011-06-05 23:55:22
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑪この“発見”がスムーズに見えるのは、そのまた直前のカット、愛花と美優の位置が入れ替わった時、愛花が横顔を見せている。そして、この横顔の目から上が画面から見切れている。見切れている目が次ぎのカットで現れてカタツムリを発見するのだが、見切れたものがその直後に見えるのは(続

2011-06-06 00:00:34
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑫見切れていた顔が次カットで大きく強調される冒頭のシーンの反復なのである。この画面から見切れているものが次のカットで出てくるという期待は「隠されているモノは見たい」という一般的な心理を利用するもので、カタツムリカットへの目が見える横顔のフレームインを自然なものにしている

2011-06-06 00:09:29
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑬カタツムリは後方からの視点に切り替わり愛花の正面の顔の大きさとカタツムリの小ささがコントラストを作り、うしろ、横からフレームインという反復で美優がカタツムリに気づく。これが横移動の続きであることに注意。愛花の振り返りという第三の転換でいよいよ魔法要素が導入される。

2011-06-06 00:16:41
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑭傘が大袈裟に振り回されることで、これが魔法を司るステッキ代わりであることが強調される。これは後の場面転換のための重要な要素となるので強調しすぎてもしたりないくらいだ。同時に振り上げられる足が、ダンスの予兆となっている。さて、いよいよ京アニ得意のダンスシーンの導入だ。

2011-06-06 00:21:47
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑮京アニにしては地味なダンスだが、これには意味がある。彼女のセリフ「今日はあたしが主役なの」には他の3人も主役になりうることを示し、このダンスで初めて彼女達が4姉妹であることが明確になり、4人が対等に並列する。このダンスは4姉妹の簡単な自己紹介となっているのだ。

2011-06-06 00:29:27
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑯このダンスのステップで一番注目すべきは彼女達の向かって右足が大きく上げられる直前である。左から二番目最年少の美優の股はガニ股に拡げられる。9歳だけあって股を開くことに何の躊躇もない。三番目の穂実の股は内向きになっている。股開くことへの恥じらい、性的身体を持つ16歳だ。

2011-06-06 00:45:42
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑰一番右端更紗の足は他の三人くらべ上がり切っていない。この足だけでなく、他の動きも実は切れがない。この動きは『けいおん!』さわ子先生(26歳)を連想させる。イメージは老いであるが、更紗は19歳なので、運動神経の鈍さを見て取るべきだ。愛花の上げる足にも屈託がないが(続く

2011-06-06 00:53:15
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑱年齢は13歳に設定されている。エヴァ、セラムン的な14歳ではないことは意識的であろう。「厨二」というイメージをわざと避けているのは間違いない。さて、このダンスのステップが常に横移動であることに注意せねばならない。冒頭から続いてきた横移動の集大成がこのダンスなのだ。

2011-06-06 00:57:38
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑲いよいよ後向きスキップ、追いかけっこ、ダンスと続いてきた横移動が縦移動に変化する。この切り替えが見事。ステップを止めた4人は横並びで一斉に一番手前愛花に瞳で合図を送る。これは右から左への流れ。この瞬間、左下のタイムに注目。ぴったり0:15。30秒CMの丁度半分なのだ。

2011-06-06 21:07:39
富崎学 @manaboo2009

京アニCM⑳三人の姉妹の期待を受けるかのように愛花が魔法の杖である傘を振るのだが、最初、今までの横移動をなぞるように右から左へと動く傘がそのままゆっくり上方向へと導くように天に向かって振り上げられる。これが我々視聴者に対しても横移動から縦移動への転換の合図となっているわけだ。

2011-06-06 21:18:37
富崎学 @manaboo2009

京アニCM21この愛花の傘による移動方向の指示によって、天空への舞い上がりが行われるわけだが、それが唐突に見えないように、他にも前フリが行われていたのだ。「魔法」というキーワード、、そして冒頭の「大きくジャンプして~」という意味不明の愛花のセリフ、これらがこの舞い上がりを準備した

2011-06-06 21:28:05
富崎学 @manaboo2009

京アニCM22さて、後半の15秒が縦移動になるのだが、前半の15秒に比べて、流れるような、あっという間の展開となっている。何故イルカなのかということは後で説明するとして、前半に詰め込まれた情報量もぐっと少なくなり、とにかく下から上、上から下、また下から上へと移動が繰る返される。

2011-06-06 21:33:39
富崎学 @manaboo2009

京アニCM23この極めて解放的な印象を伴う上下運動はもちろん性的な運動を意識していると見てよい。だとすると最後のイルカ達のスプラッシュは“射精”のごとくもっと盛大であるべきではないかと思いがちだが、本作の演出家が女であることを忘れてはならない。直前の”落ちる”描写が凄まじいのだw

2011-06-06 21:40:19