『大学改革の迷走』感想

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Atsushi Oshio / 小塩真司 @oshio_at

2001年に働き始めた自分の印象と重なる本。PDCAとかシラバスとか、原典も効果もわからないものに基づいて改革がどんどん進んでいって、改革そのものが目的になっていく。読んでいくとホラーかと身震いしてくる。 大学改革の迷走 (ちくま新書) amzn.to/2Yof4v9

2019-12-05 14:31:28
Atsushi Oshio / 小塩真司 @oshio_at

他国に比べて状況が悪化しているのは間違い無いのに、変えること自体が目的だから変わっていることに満足して間違っても戻れないのですよね。

2019-12-05 14:35:29
Atsushi Oshio / 小塩真司 @oshio_at

読んだ本のまとめ第4弾。「科学立国の危機」「誰が科学を殺すのか」「大学改革の迷走」そして「科学の発見」と、科学つながり。日本の科学と大学がもう危機、という本が最近多いです。 2019年に読んだ本のまとめ4|Atsushi Oshio @oshio_at #note note.com/atnote/n/nb89f…

2019-12-26 06:55:45
Atsushi Oshio / 小塩真司 @oshio_at

「選択と集中すべきだ」とは言いますが、もともと日本の大学は東大に超集中させる予算配分になっていて、その傾斜は海外よりもきついのです。すでに集中していてさらに集中させれば集中投資のギャンブルになっていきます。

2019-12-26 07:02:02
Atsushi Oshio / 小塩真司 @oshio_at

大学でシラバスとかPDCAとか最近だとループリックとか、文科省主導で「これをやれ」と言われるものは多いのですが、その出どころが怪しかったり出典が違うまま広がって効果も検証されないというのが「大学改革の迷走」に書かれている日本の怪奇物語です。

2019-12-26 07:10:51
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

『大学改革の迷走』まだ途中だけどそうだよなあと思いながら読んでる。「実質化」という言葉の経緯はあんまよくわかってなかった。しかし「実質化の実質化」ってもはやコントに近いよなあ…。 chikumashobo.co.jp/product/978448…

2019-12-18 08:05:11
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

読み終わった。特に7章はいま読まれるべきだろう。知らなかったけど2020年度に予定されているという「60万人調査」についても,このままだとGarbage in, garbage outになってしまうと警鐘が鳴らされている。

2019-12-19 11:23:33
Yosuke SUNAHARA @sunaharay

あとEBPMについて,単に政府によるEBPMがPBEM (Policy Based Evidence Making)になりがちとだと指摘。それに加えて,RCTなどに偏重するだけではなく,家庭追跡などで過去の失敗を分析することも同じように重要ではないかという指摘が行われている。

2019-12-19 11:27:22
増田聡 @smasuda

佐藤郁哉『大学改革の迷走』(ちくま新書)amzn.to/2N1oHLX 正月休みに読む。著者も書くとおり、本書は大学業界内部の人が皆わかっているのに、外部の人がわかってくれないことを、ほんとうに丹念に丁寧に説明して「わかってもらいたい」と訴える悲痛な叫びなのです。本当に読んでもらいたい本

2020-01-06 22:11:22
増田聡 @smasuda

本書とはつまり「日本では往々にして「大学改革”で”何かを実現する」というよりは「大学改革”を”実現する」「ないし「改革をおこなっているという体裁を整える」ことそれ自体が目的になってしまっている」(86)状況について、478頁を費やし歴史的かつ具体的に懇切丁寧に語りかける本に他ならない

2020-01-06 22:11:49
増田聡 @smasuda

「PDCAサイクルをめぐつ五つの神話」「あらゆる改革関連用語の中でも、PDCAサイクルほど数多くの誤解を生み出してきたものはありません」(92)。PDCAは和製英語、発案者はデミングではなく日本の工学者、というのは初めて知った

2020-01-06 22:12:27
増田聡 @smasuda

「出自も有効性も明らかではなPDCAサイクルというモデルが大学の世界に導入されてきた背景には、〈ビジネス界で成功しているとされる事例でありさえすれば公共セクターでも有効なはずだ〉という、盲信に近い思い込みがあります」(154-5)

2020-01-06 22:12:49
増田聡 @smasuda

「このような盲信ないし「妄信」にもとづいて民間の経営手法を安易に導入していこうとする発想を「経営ごっこ」と呼ぶことができるかもしれません」…ただ無言で、ブンブンと激しくうなずくばかりのオレたち

2020-01-06 22:13:40
増田聡 @smasuda

「日本における大学改革の不幸は、政府あるいは内閣府や文科省などの府省が、外来のモデル(と一見そのように見えるもの)を付け焼き刃的に借用した上で大学現場に対して押し付けてきた、というところにあります」(202)首肯ブンブン丸

2020-01-06 22:14:05
増田聡 @smasuda

「「実質化としての改革」の努力が何ら実質的な成果をともなわないものだったとするならば、その失敗を引き起こしてきた主な原因の一つは明らかでしょう」(247)続く

2020-01-06 22:14:42
増田聡 @smasuda

「つまり、改革の形骸化は、そのための施策として提案されてきた制度の多くが外からの借り物に過ぎず、大学現場の内在的な要請や必然性とかけ離れたところからトップダウンで押しつけられてきたことによると考えられるのです」(247)うなずきすぎて首痛い

2020-01-06 22:15:19
増田聡 @smasuda

「日本はシラバスやFDなどをはじめとして海外(欧米)の大学における実践を盛んにモデルとしてとりあげて模倣しようとしてきた一方で、教育に対する公的支援という点については海外の「お手本」に学ぶことは無かったと言えるのです」(249)首ふり頷きブンブン丸ですよほんまにもう

2020-01-06 22:16:02
増田聡 @smasuda

「政府はしばしば大学側に対して、大学の力量というだけでなく「国力」という点から見ても身の丈をはるかに越える過大な要求を突きつけてきました。(略)これは、第二次世界大戦中に日本で繰り返し強調されていた「大和魂」という言葉を思い起こさせます」(250)

2020-01-06 22:16:22
増田聡 @smasuda

308頁。「大学院生の二極化と日本人院生への国語(日本語)指導」。涙なくして読めない。私ですら似たようなことはありました。守秘をこととする査読制度の元、同様の涙を誰にも言えず噛みしめている研究者は多かろう

2020-01-06 22:16:42
増田聡 @smasuda

「政策の重要な当事者である行政が、「官が誤りを犯すことなどあり得ない。政策が失敗したとしたら、それは民の責任だ」と言い続けているようでは、失敗から何かを学ぶことはできないでしょう。つまり、PDCAサイクルが回るはずなどないのです」(314)

2020-01-06 22:17:04
増田聡 @smasuda

332頁「無責任体制の一翼を担ってきた審議会委員たち」。「官僚の側は荒田氏に対して意味不明のことを大声で叫び、結局その会議はそのまま散会になってしまったそうです」。「意味不明のことを大声で叫んだ官僚」の話がぜひうかがいたいとことです。誰か取材してくれんかな

2020-01-06 22:17:24
増田聡 @smasuda

「年輩の教員たちが若手教員の窮状を悪化させている場合もあります。というのも、それらの人々には、終身雇用的な慣行に守られてとりあえず退職までの現状維持や「逃げ切り」を図る一方で、改革関連の面倒な仕事を若手や中堅の教員に対して押しつけてしまう、という傾向があるからです」(348)

2020-01-06 22:17:46
増田聡 @smasuda

これほんま重要で、こういう指摘が大学内部の「カイカク」の議論で前景化することはほとんどない。ようゆうてくださいました、なんだけど、オレもそろそろ「年輩の教員」になるので他人事ではなく「改革からの防波堤」を自ら担わなあかんと思うのです

2020-01-06 22:18:11
増田聡 @smasuda

393頁あたりから、ヴォーゲル「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の「日本の大学は全体的にダメ」論の根拠のなさ、かつそれが確証されないまま広がった可能性の指摘。「不確かな二次情報に基づく紋切り型の一般化」

2020-01-06 22:18:32
増田聡 @smasuda

「モデル学習の方向が常に「企業(会社)→大学(学校)」というのは、考えてみれば奇妙な話です。実際には、企業の側が大学における優れた組織運営や人間関係のあり方から学ぶべきこと(メンバー間のフラットな関係、相互扶助の精神など)は大量にあるはずです」(466)注に重要な指摘があるのも本書

2020-01-06 22:19:40